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月別ア―カイブ: 8月 2025

キッズドームソライ 無料化実証への原案賛成討論 6月議会


キッズドームソライ、コガタランド スパール無料化の当局提案の原案に賛成!討論 令和7年6月議会最終日

 

ただいま議題となっております、キッズドームソライ他3施設の無料化の実

証事業を行おうとする、子どもの遊び場環境の充実に向けた議案に対し、市

民の声・鶴岡を代表し、原案に賛成の立場で討論を行います。

 

●まず、本議案を審議するにあたり、我々はその根源にある問題を明確に直

視しなければなりません。それは、榎本前市政の時代に行われた、キッズ

ドームソライ整備における重大な失政であります。

 

そもそもこの施設には、約2億円もの貴重な市税が投じられました。これほ

ど巨額の市民の財産を投じながら、運営は完全に民間任せとし、持続可能な

官民連携の制度設計を怠ったのです。悪天候時でも遊べる施設をという市民

の願いに応えるという大義名分のもと、肝心要である運営面での公的支援と

いう視点が全く欠落していました。

 

2億円もの税金を投入しておきながら、1500円という高額な利用料を払

わなければ市民が使えない。結果として、多くの市民が利用をためらい、天

童市とか山形市など遠方の無料施設へ向かわざるを得ない状況を生み出して

しまった。これこそが、今日の問題の根本原因であり、計画段階における紛

れもない失政であったと言わざるを得ません。

 

この事実は、皆川市長が、一筆入魂 令和2年、2020年1月号で、前榎本市

政の平成28年11月までに制度の大枠が決まったことに触れ、「その制度設

計の時点で運営面での公費投入などの官民連携が必要であり、その点が欠落

していた」と指摘されている通りであって。現皆川(みなかわ)市政が、前

(えのもと)市政の事業の構造的欠陥を明確に認め、それを正そうとしてい

るのであります。

 

 であるならば、今、我々議会に問われている責務は何か。それは、この過去

の失政を乗り越え、2億円という市民の財産を、今度こそ真に市民のものと

して、子どもたちの笑顔に繋げることではないでしょうか。前回に続き、今

回提出の本議案は、そのための唯一かつ最善の是正策であると考えます。前

榎本市政の与党で、今般この予算を削る修正案を提出した自民系議員の

みなさんは、過去の失政も認めず、今、子どもの数がどんどん減っているわ

が市にとって大変重要な子育て支援政策を、更に停滞させたいのでしょう

か。

 

●ここで、一部から聞こえてくる「受益者負担」の原則や、「民設民営」の

施設へ公費を投入することへの疑問について、私たちの考えを明確に申し述

べたいと思います。

 確かに、行政サービスにおける受益者負担は、財政の公平性を保つ上で重要

な考え方です。しかし、未来を担う子どもたちの健やかな育ちに関わる事業

は、全く次元の異なる議論が必要です。子どもたちの元気な声、健やかな成

長は、地域社会全体に活力をもたらす未来への投資であり、その真の受益者

は、私たち鶴岡市民全体に他なりません。

 

 私たちは、子どもたちが公園の遊具で遊ぶとき、図書館で絵本を読むとき

に、利用料を徴収するでしょうか。いたしません。それは、子どもたちの遊

びや学びの機会を保障することが、目先の収入以上に、社会全体にとって計

り知れない価値を持つと知っているからです。

 

 キッズドームソライの無料化も、これと全く同じです。利用料という障壁

を取り払い、どんな家庭環境の子どもでも、気兼ねなく、平等に利用できる

環境を保障する。それは、単なる施設の無料化ではなく、「子どもの育ちは

社会全体で支える」という、このまちの揺るぎない価値観を示す政策的決断

であると考えます。

 そして、その考え方は、決して突飛なものではありません。先進事例とし

て、この場で何度も述べた群馬県太田市では、民設民営の屋内遊戯施設「こ

ども広場Bのくに」に対し、市の児童館を補完する重要な施設と明確に位置

づけ、実に10年以上も前から料金を低廉化するための補助を拠出していま

す。

 『民設民営の施設であっても、それが子どもの育ちにとって重要であるな

らば、行政が公費を投入してその公益性を高め、市民が利用しやすくするべ

き』という、その根本的な考え方にこそ、我々は学ぶべきなのではないでし

ょうか。

 

●「ソライは高いから、なかなか行けない」「結局、無料の天童市や山形市

の施設まで、時間とガソリン代をかけて通っている」。これらは、私が日々

の活動の中で耳にする、子育て世代の現実の声であり、本議案はこうした市

民の切実な声に応えるものです。

 

 県内の他の自治体では、同様の大型児童遊戯施設は、おおむね8,000万円か

ら1億円程度の公費を投じて無料開放されており、それが標準的な子育て支

援のあり方となっています。今回の約3500万円弱の公費負担による無料

化は、この県内標準と比較しても、決して過大な要求ではありません。

 

●この議案の意義は、単に一つの施設の無料化に留まりません。鶴岡市の未

来を左右する、極めて重要な戦略的投資であると確信するものです。

先日、私は東京銀座の「ふるさと回帰支援センター」を訪れました。全国の

自治体が移住・定住促進にしのぎを削る中で、子育て環境の充実は、移住先

を選ぶ際の最重要項目の一つとして、絶対的な競争力を持つとのお話を伺い

ました。そして、この鶴岡市の「キッズドームソライ無料化」の行方は、同

センターのスタッフの間でも注目の的となっていたのであります。

本議案原案の可決は、「鶴岡市は子育て世代を本気で応援するまちだ」とい

う、具体的で強力なメッセージを全国に発信することに繋がると考えます。

 

●最後に、本議案が持つ極めて重要な性質について強調したいと思います。

今回の予算は、恒久的な制度を拙速に決めるものではなく、あくまで「実証

実験」を行うための実証事業であります。

ソライ、こがたランド、スパールという特色の異なる3施設で社会実験を行

うことで、どのような効果や課題があるのか、具体的なデータを収集するこ

とができます。

実際に利用していただき、アンケート調査などを通して市民の生の声を伺

う。その貴重なデータをもとに、現在進められている「遊び場に関する協議

会」での議論を深め、将来の本格的な整備構想へと活かしていく。これこ

そ、責任ある行政の進め方ではないでしょうか。特に、「こがたランド」は、

今後廃校などを活用した、新たな遊び場づくりの可能性を広げる、先駆例

としても、大いに注目すべき施設です。

この「まず試してみる」という、慎重かつ建設的な一歩すら認めないとする

ならば、この問題は永遠に解決されず、子どもたちのための遊び場整備は一

向に進みません。

 

 榎本市政の失政のままの、現状維持という名の停滞を選ぶのか、未来のた

めにデータを取るという建設的な一歩を踏み出すのか。我々に問われている

のは、その選択であります。

 

 以上の理由から、本議案は、過去の行政の失政を正し、受益者負担の原則論

を超えて公共福祉を実現し、市民の声に応え、そして鶴岡市の未来を切り拓

くための、必要不可欠かつ、極めて妥当な第一歩であると断言します。

 

 子どもたちの笑顔こそが、このまちの活力の源です。議員各位におかれまし

ても、7年前ソライ建設時、あるいはそれ以前から長年にわたり市民の要望

が大きかった、無料の大型屋内遊戯施設を望む声に応え、10年後、20年後

の鶴岡市の未来像を見据えた、賢明なるご判断をいただけますよう、心から

お願い申し上げ、私の賛成討論といたします