持続可能な鶴岡ブログ

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月別ア―カイブ: 11月 2006

12月議会にむけて


12月5日から、鶴岡市議会定例会 12月議会がはじまります。
日程は以下のとおり。

12月 5日(火)本会議(開会、提案説明、総括質問等)、
          予算特別委員会

    7日(木)本会議(一般質問)
 
    8日(金)本会議(一般質問)
                  
   11日(月)本会議(一般質問)

   12日(火)常任委員会(総務)

   13日(水)常任委員会(市民生活)

   14日(木)常任委員会(厚生文教)

   15日(金)常任委員会(産業建設)
   
   21日(木)予算特別委員会
     
   22日(金)本会議(閉会)



12月議会 にむけて、以下の項目を一般質問に掲げました。

1)世界遺産への取り組みについて


2)地域資源の活用について

を提出しました。

ご期待ください。


知事が穴あきダムを採用。「最上小国川を穴あきダムの実験台にするのか」


知事が穴あきダム案を採用と発表。

先日提出した公開質問状に答えることなく、また、今本名誉教授らとの再協議をすることなく、一方的な県土木、また国土交通省の情報のみで、判断した斉藤弘山形知事の姿勢は、市民サイドの声に立脚した田中康夫元山形県知事とは、全く違うものだとうことが明らかになった。

声を大にしていいいたいのは、

「山形の誇る清流、最上小国川を穴あきダムの実験台にするのか?」    ということだ。

ほとんど実績データ全く科学的根拠も示されないのに、穴あきダムが環境にやさしいダムなどといっているのは、全くおかしなことだ。現地にいってみてわかったのだが、この穴あきダムというのは、「堆砂」を排泄できる新たな方法というだけだ。結果として河道が上流部とつながり、運がよければ魚類がダムを通過できるという類のものだ。
   下に穴がある分、上流や減水地プールに貯留した土砂やヘドロがじわじわと流れ続けるおそれがある。実際、川辺川流域の下に穴がある砂防ダムで、ずっと濁水が流れ続け、アユに深刻なダメージを与えているという報告がある。
   
   それから、そもそも赤倉温泉地域の温泉街だが、川沿いに建ちすぎ、中には河道にせりだしているものもある。これは以前から景観的に問題があると住民自ら指摘されている。こうした温泉街を再生しながら拡幅したほうが、将来的に有利だというのが、私たちの代替案だ。
  
   いかなる洪水にも対応でき、環境に甚大な影響を与えず、なおかつ日常的にも役に立つ治水。これを今本博健 京大名誉教授は「真の治水の3要素」という。
   
 世界の潮流はとっくの昔にこうなっている。なぜなら、ダムを撤去しなければならない時代を迎え、その経済合理性が完全に崩壊しているからだ。そもそも河のそばで危険なところに立地している家屋などを移転し、河をダイナミズムのある自然のままにもどす。
  実際、ダムが2つもあったのに、18名もの死者を発生させた新潟五十嵐川流域では400軒の移転をさせる計画が進んでいる。

 そして、来年度から国土交通省は、「あふれる治水」を掲げ、新たな治水策へのメニューを創設しようとしている。

 こうした時代に、この斉藤弘 山形県知事の判断というのは甚だ疑問だ。

「脱ダム宣言」の本意が全くわかってないな。この人は。

「改革派」としても「官僚の声は聞く。住民の声には聞く耳もたず」の姿勢だ。

市民サイドにつく、田中康夫 元長野県知事、かだ 滋賀県知事、潮谷 熊本県知事とは全く異なる姿勢の知事だということがはっきりした。



27日、公開質問状を提出。




11月27日、県知事宛、これまで、全国の釣り人。川を愛する市民。また小国川流域で集めた方々による署名2137名の署名とともに、以下の公開質問状を山形県知事に提出しました。

昨日、これまで集めた2173名の署名(第一次集計)とともに、以下 の公開質問状を提出しました。



           平成18年11月27日月曜日

       ダムに依らない“真の治水”の要望と公開質問状
                                             
山形県知事   斉藤 弘 殿
山形県土木部長 池田 隆 殿                 

                   最上小国川の“真の治水”を考える会
                           代表   押切喜作
                           事務局長 草島進一

 先般11月24日、これまでの検討経緯について県側から説明がありました。その後、質疑応答がありましたが、経過の説明を聞いていて、私たちは、これまでの治水策、環境面での議論がいかに不十分だったか、又説明不足だったかを再認識する結果になりました。また、当日もたった一時間足らずで質疑打ち切りとなり、これまで開かれた公聴会と同様、議論が尽くされたといえるものではないと確信いたしました。

 委員会の構成について、土木部長は「『純粋客観的に審議した』と委員の方が言っていた」と主張されましたが、委員会構成の内、「専門家」として河川工学者がダム推進・容認論のみ主張されていた風間氏 一人のみであった。ということであれば、他のメンバーが「客観的に話している」といっても河川の技術的な議論は、その「専門家」の方の意見に従う結果になることは当然であります。治水対策について、真の議論は、ダムによる治水論者と、ダムによらない治水論者がいてはじめて成立します。そのこと一つとっても、これまでの流域小委員会の議論は極めて不当であります。

 県の説明は一応は3案を示したようになっていましたが、ダム案については問題点が指摘されず、メリットだけが強調されています。

 つまり、県のこれまでの説明は、穴あきダムのメリットを強調し、他の案についてはどちらかというとデメリットを強調し、ダム案に誘導してきたことを強く感じるものでありますし、こうした、穴あきダムのデメリットの部分を慎重に考慮にいれご判断いただきたいと、希望するものであり、又、改めて、“真の治水”のあり方について再検討をすべく、真の治水代替案(基本方針)の作成に加わった専門家との再協議を更に求めるものです。

今本博健 京都大学名誉教授 河川工学 元京大防災研究所所長 は、最上小国川ダムの問題点を次のように指摘しています。


 最上小国川ダムは旧来型の治水方式であり、真の治水の「3要件」を満たしていない。

�治水機能が限定的である。
 1)計画規模を超える洪水に対しては治水機能を発揮せず、下流での急激な水位上昇により、逃げ遅れなどで被害を大きくする恐れがある。
 2)ダムの集水面積は37.5km2に過ぎず、治水上の効果が現れるのは直下流の赤倉温泉などのごく限られた地域のみである。
 3)「穴あきダム」は、計画規模以下の中小洪水には調節効果がなく、効果を発揮するのは文字通りの数十年に1度だけである。
 4)放流口が1門しかなく、それが巨石や流木などにより閉塞されると、重大な支障となる。放流口の数を増やせば大きさを縮小せねばならず、閉塞の恐れがさらに大きくなる。

�河川環境に重大な影響をもたらす恐れがある。
 1)穴あきダムでも、短期間であるにせよ、洪水の濁水を貯留する。このことにより湛水域の樹木は枯死し、生物は死滅する恐れがある。
 2)ダム建設予定地点上流に2基の砂防ダムが設置されているが、このことは上流からの土砂の供給が多いことを意味している。こうした土砂のうち粒径の大きな砂礫は洪水の減衰時に排出されない恐れがある。
 3)湛水域に貯まった細かな土砂は洪水後にも排出され続けるため、濁水状態が長期化する恐れがある。
4)河川環境や土砂移動についての説明は定性的であり、定量的な検討が不足している。

�日常にも役立つ治水という視点が欠けている。
 1)赤倉温泉の一部の建物は川にせりだしており、清流を活かしていない。
 2)川の両岸に増水時には水没する程度の高さの歩道を新設し、清流に親しめるようにするとともに、河道の流下能力の増大をはかるといった検討がなされていない。
                                以上。


なお、私たちは、現在推し進められようとしている穴あきダム案に対して以下なる疑問があり、回答を求めるものです。



1)穴あきダムの環境への影響について
 「日本屈指の清流最上小国川を環境影響の実験台にするのですか?」


最上小国川は、「松原鮎」の里として有名なアユが数百万匹天然溯上する清流です。最新の穴あきダムである益田川ダムのある島根県益田川は、隣接する清流高津川と異なり、昭和のはじめに紡績工場の誘致に伴う廃液を流す段階で漁業権を県が買い上げている川でした。又、最新の益田川ダムでも環境アセスはおこなっておらず、事前事後で魚類の個体数の定量的な実測などがおこなわれておりません。

先日、最上町でのダム推進の説明会で講演し、▽水質や環境、景観などに変化はほとんどない。▽貯水池が常に空であり、管理が容易▽スイスなど、海外で有効に機能している。などを挙げ、「穴あきダムは21世紀のダムとして提案できる」とした角 哲也氏に対し、今本博健 京都大学名誉教授(河川工学 元京大防災研究所 淀川水系流域委員会 委員長)は、「環境にほとんど影響がない」という科学的根拠を示せと11月14日に質問状を送っておられますが、しかし、未だ回答はありません。

 先般の説明会でも、県が主張している「穴あきダムは環境に影響がほとんどない」について、科学的根拠を質問いたしましたが、具体的な根拠を示した回答は全くありませんでした。
 
漁業権があり、小国川ほどの魚類数、生態系に匹敵する清流環境のある河川での運用実績、環境モニタリング、魚類数の変化などの実績を示してください。
また、「環境に影響がない」科学的根拠を示してください。



2) ダムのコンク リートには寿命があります。例えば熊本、球磨川の荒瀬ダムは完成後50年で撤去が決定しました。ダムの寿命がきて、撤去することになると大変に巨額な費用がかかります。つまり、ダムでは永続的な治水を叶える事はできないのではないですか。穴あきダムは、ある一定程度は土砂がたまることを防ぐことは可能かもしれませんが、このコンクリート本体の寿命という問題はつきまといます。 米国ではすでに老朽化した600ものダムを撤去する時代にはいっていますが、この撤去コストははかりしれません。結局、次の世代に莫大なツケを背負わせることになります。ダムの寿命をむかえたら、巨大産業廃棄物の行方と、流域の治水はどのようにしておこなうのでしょうか。

3) 建設コストについて、ダム案が他の案よりも30億円低く見積もられていますが、例えば月山ダムの場合、780億円の計画が1780億円になりました。結果的に130億なのか甚だ疑問です。最上小国川ダムとほぼ同規模の益田川ダムは総事業費300億円です。また、他の穴あきダム計画地のダムデザイン検討委員会では、ダム上流で水位変動が激しく斜面崩壊を起こしやすいため、上流部ののり面や斜面保護工事、地滑り対策工事が続けられる可能性があり、莫大な費用がかかるのではないかと指摘されています。130億円の中にこうしたコストははいっているのでしょうか。また、それぞれの案の積算根拠を示してください。
 


最後に、今年8月13日の朝日新聞一面には「あふれる治水」という表題で、来年度に国交省は、公共事業費減を背景に、堤防整備が遅れている河川の流域で伝統的治水施策の「二線堤」や「輪中提」を整備する新たな治水策を検討し、制度の創設を予定しているとの記事があります。要するにダムだけではない、治水策が紹介されております。(別紙)
 また、この国の動きを受けて、筑後川流域でも、そうした治水策を採用しようと研究がおこなわれはじめているとの報告もあります(別紙)。


「一定規模以下の洪水では水害を発生させない」というこれまでの方式を

「いかなる大洪水でも少なくとも壊滅的な被害を回避するようにする」
「自然環境に対して重大な影響を与えないようにする」
「治水に役立つだけでなく、まちづくりにも役立つようにする」

これを今本博健先生は、「真の治水の三要件」と呼んでいます。

こうした“真の治水” 策がまさに21世紀型の治水策であり、今後普及が進むだろうことをこの2つの報告は示唆しているのではないでしょうか。

 私たちは、このような新しい制度も考慮にいれ、また、新潟水害の後、五十嵐川で400軒もの家屋移転を伴いつつも河道改修をおこなっている事なども考慮にいれ、赤倉温泉地域の河道拡幅案による治水策についてもっともっと検討すべきであり、まだまだ検討の余地があると考えております。

ダムによって栄えた町はありません。
日本の遺産ともいうべき、日本屈指の清流環境と天然アユ「松原鮎」をいかし、持続可能な、赤倉温泉地域の真の活性化と、真の治水を叶えるために、ぜひ、賢明なる知事のご判断をいただきますよう、よろしくお願い申しあげます。                                                     
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20−24日 穴あきダムは環境にやさしい?


20日、島根県益田市 益田川ダム視察。
21日移動
22日、高野山 世界遺産への取り組みなど、高野町 を訪ね、視察。取材。

穴あきダムが今、大流行の気配がある。

そして今回訪れたのが、現代型の穴あきダムとして初めて島根県益田市につくられた益田川ダムだ。このダムがモデルとなって「穴あきダムだったら魚類に影響も少ないし、アユにもほとんど影響がないだろう」これが、県の見解だった。しかし、現場にいってみたら、どうも違っていた。

以下、レポートである。

   穴あきダムの実態について 益田川ダムを視察して。
  「穴あきダムが環境にやさしい」の科学的根拠は全く不明。
      
11月20日、山形県が「穴あきダム」先進地として紹介している島根県益田川ダムを視察し、また、流域の住民、高津川漁協らに話をうかがった。
以下、要旨。
1)益田川について
▽益田川にはダムをつくる以前に漁業権がなかった。
▽益田川は、高津川流域に紡績工場(ダイワ紡績)の誘致の際に(昭和のはじめ)、漁業権を返上。紡績工場の廃液が流れる川となっている。
▽高津川漁協センター長によれば、天然アユで有名な清流 高津川の隣にある益田川に、天然アユは若干遡上するものの、高津川とは比較にならない。又、益田川のアユは、食味が悪いので、食べることはない。とのことであった。
▽ 隣接する清流高津川とは比較にならないほど、濁り清流環境とはいえない川相であった。清流最上小国川の清流環境ともほど遠い。

2) 益田川ダム現地視察をおこなう。
▽ダムの下流部、本体とエンドシルの間には水がたまるプールがあり、水が滞留していた。また、よどんでいる箇所があった。この減勢工部分には、土砂も堆積していた。担当者も土砂は貯まると説明。洪水時にはおおむね流れると説明したが、洪水がおこらない場合、土砂、泥、枯れ葉などが堆積し、ヘドロとなる可能性も容易に考え得る。
▽ダムの上流部、本体と流木止めの間にはプールができ、水が滞留。淀んでいた。こ
▽ 穴から、シルト分が流出していた。
▽ ダム上流部の川沿いには土砂が堆積してできた州がところどころにできていた。

ダム担当安部氏は、

▽ ダム担当 島根県益田県土木整備事務所 ダム建設グループ課長 安部 徹氏 は「このダムはそもそも“環境にやさしいダム”として造ったものではない。」「そのため、魚類個体数の変化、濁水の変化など、モニタリングが全くおこなわれていない。つまり環境に対する影響などについて、なんらデータがない」と言及した
▽ 益田川流域住民 によれば、益田川ダム建設中の2年間は、川全体が濁り、魚影もみえず、住民は「川が死んだ」と嘆いていたとのことだった。
▽ 益田川の上流にある笹倉ダムは、昭和41年から稼働していた「穴あきダム」だが、今般改修工事により穴をふさぎ、貯水ダムに変更する工事がおこなわれていた。穴あきダムはいつも貯水ダムに変更できる。


▲考察。
県は「環境にやさしい」穴あきダムと主張するが、その根拠はどこにあるのか。「水を貯めない」というが、ダム上下流にプールができ、水が滞留。土砂も堆積していた。実際は、最新の穴あきダムでさえ、環境に対する影響などについて、全くデータがそろっていないことが確認できた。
 今般、実際に穴からシルト分が流出しているのを確認できたが、以前、県と交渉の際に指摘した、堆積土砂からシルトが流れ続ける可能性を裏付けるものとなった。
 
▲ 穴あきダムは、全国屈指の清流環境をとどめる最上小国川の精密な生態系のバランスを崩しかねない。特にダム上下流にできるプールより、濁り水が長期間流出する可能性がある。
▲ 「いまだ、穴あきダムの自然環境に及ぼす影響を軽微と判断される科学的根拠が示されていない」

写真も含め、ご覧ください。また、映像などもhttp:/www.ogunigawa.org にupしました。

宇井純先生の志を胸に。


本日は、宇井純先生の葬儀がおこなわれた日でもありました。
11月11日にお亡くなりになった宇井先生。
私は2000年の12月、山下弘文氏を追悼する意味も込め、おこなわれた長良川デイ2000(http://kjc.ktroad.ne.jp/001217repo.html)
で先生の講演を聴きました。
以下、その時のルポよりーーーー

 反公害闘争の先駆者である宇井純・沖縄大学教授は、具体的に下水道をとりあげ、日本の公共事業がいかに環境を破壊し、ムダの多いものであるかを話した。
 かつて日本は、経済成長にばかり夢中になり、公害患者に対しては非常に冷淡だった。労働者を酷使し、自然を破壊し、農村漁民を工場にかりたて、“追いつけ追い越せ”でやってきたが、国民生活はいっこうに豊かになっていない。また、下水道にみられるように、“大きいことはいいことだ”でやってきた。
 いま、日本の行方やあり方を考えると、ずっと間違った道を歩んできたと思う。日本の環境問題についていえば、70年代後半からの20年間は“失われた20年間”であったと考えている。
 アメリカのように基本的なことを教える教科書に相当するものが、日本にはない。たとえば、下水道についていえば、その実態や問題点などを国民は知ったり、考えることができない。だから、役人が勝手に好き放題にやっている。下水道工事は、とんでもない伏魔殿となっていて、金をいくらかけても国民生活には役に立たないものになっている。いまの下水道は、工事が進めば進むほど自治体財政を圧迫し、住民は負担がどんどん増すことになっている。逆に、工事の進み具合をストップしたり、規模を縮小したり、小規模なものに転換すれば、自治体が喜ぶようになっている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
杖をつき登壇した、先生の力強い口調は、当時、鶴岡水道の住民投票活動に打ち込んでいた僕の心に大きな励ましとなって響いていたことを今も覚えています。

先生は、水俣病の公害の問題の他、下水道問題、石垣空港の問題など、環境と公共事業の問題にずっと取り組み、政府の言うなりになって発言する「御用学者」に対し、市民のサイドにたって真実、真相を究明し、反論、時に企業や行政に対し訴訟を起こす側に立つ研究者を貫かれました。
   御用学者たちは、「今後の出世のために」「また仕事が県や国からもらえるように」と、はっきりしたことをいわず、そして時には真実を隠し、政府や自治体の都合のいい事だけを言います。
これまで政府や自治体の審議会、委員会第三者機関の「有識者」のほとんどが、こうした「御用」学者だけか、それに偏った形だったのではないでしょうか。
    田中康夫氏が知事として在任中の長野や、そして、全国の川の流域委員会では淀川水系流域委員会が、とても稀な形として、「御用」学者偏重でなく「真の公益」を軸とした「市民視点の研究者」を構成した第三者機関をもうけることができたのではないかと僕は思っています。
   ダム問題、原発の問題、下水道、薬害エイズ、GM、溶融炉、ダイオキシン問題,バイオ、、、全てにおいて、「真の公益よりも出世のため、研究費獲得のため、私欲のため」に動く「御用」学者がいる事を。また、御用でいなくてはならない立場にある研究者がほとんどである事を、私たちは知っていなければならないと想います。
  そして、宇井先生を代表とする、「万年助手」であっても、研究費を獲得できなくても、「真実を追求し、真相を明らかにし、住民のために尽くす」、研究者が少数ですが、存在することを私たちは忘れてはなりません。
  そして、公共事業の現場では、先日、新庄で菅直人さんも指摘されましたが「常につくる」側にインセンティブが働き、御用学者を動員し、理論構築していることを注意深くチェックしないといけない。ということだと思います。
   小国川の問題では、全国で最も、公益を貫いて議論をしていると評価されている淀川水系流域委員会の委員長である京都大学名誉教授 今本博健先生、又、長野や新潟の流域委員会の委員でもあり、全国各地のダム問題で対案としてのダムに依らない治水を唱え続けてきた大熊孝 新潟大学教授にご参画いただいています。まさに、お二人とも、宇井先生と同様、私利私欲ではない、真の公益に立脚した、研究者です。

  山形県でおこなわれている最上川流域委員会は、まさに「御用」学者で固められた流域委員会と指摘されても反論できないでしょう。

本来、私達の税金を使い、公益のために使われるはずの公共事業の多くが、実は「ある意志」に偏ったかたちで進んでいる事をもっと私たちは知らねばなりません。
  
今年おこなわれたボランティア学会では、学会代表の栗林先生から、宇井先生が、ボランティア学会で「私にとって、公害問題に取り組むことがボランティアだ」と名言されていたとおうかがいしました。
   
   僕も、災害ボランティアも、ダム問題も、全く同じ志で動いています。

宇井先生の志を、山下弘文氏の志を、デビッドブラウアーの志を胸に。 行動しましょう。


筑後川の治水作



鶴岡市議会行政視察で、別府市の観光戦略、日田市の林業、農業政策、下関の景観条例、松本清張記念館などを視察。それぞれに有意義だった。
  さて、宿泊席の福岡で朝日新聞を購入してみると、この記事。

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朝日新聞 福岡版 11月16日 朝刊

先人の治水施設 脚光

筑後川中流域の「控堤」
国交省事務所 氾濫域狭める機能 報告書で保全提言

ダムと堤防主体の治水から、川があふれることを前提とした伝統的な治水技術の活用へと国土交通省が新たな方針を打ち出すなか、同省筑後川河川事務所(久留米市)は、筑後川中流域に残る歴史的治水施設を初めて実地調査し、報告書「今なお残る先人たちの知恵〜筑後川の控堤」にまとめた。九州一の大河による水害と戦い続けてきた人々の「遺産」が再び脚光を浴びている。 (奥村智司)

久留米市東部、筑後川支流の巨瀬川。左岸の近くを高さ5メートルの堤防道路が走る。かつての二線堤(控堤)だ。筑後川の堤防の決壊などで氾濫した水を受け止め、巨瀬川を通じて再び筑後川に戻すことで氾濫の拡大を防ぎ、住宅地を守る役目を果たす。

 現在も、筑後川からみて控堤の上流側には畑が広がるのに対し、下流側は住宅が密集している。
 「筑紫次郎」の異名を持つ筑後川は、昔から洪水の多い「暴れ川」として知られた。中流域には、九州の他の河川ではあまり見られない控堤ような治水施設が各地に残る。同事務所は「あくまで連続堤防の補完的役割」としながらも、今年7月に策定した筑後川の整備計画に「歴史的な治水施設の保全」を盛り込むとともに、報告書「今なお…」を作成した。
 同事務所は計画策定に際し、実地調査を始めて実施。担当した師岡文恵技官(28)は、「あの辺りに堤防があった」という話や標高のデータをもとに車でたどり、車が入れない所は歩いて調べたという。その結果、久留米市内で控堤7カ所や輪中提など計9カ所を確認。整備計画では「保全に努める施設」として具体名が挙げられた。
 報告書ではそれぞれの控堤の機能を検討。巨瀬川の控堤については、大水害が発生した1953(昭和28)年と同じ量の降雨があった場合、筑後川の堤防からあふれた流れを完全に遮断し、控堤を一部撤去した場合はさらに下流に5キロ氾濫が広がるというシミュレーションを紹介している。

 一方で、道路と交差するために高さが切り下げられて治水機能が低下したり、氾濫時に湧水地になる一帯が新興住宅地として開発され、被害が懸念される所も指摘した。
 
 各施設が造られた時期は正確にはわかっていないが、明治より前とみられる。報告書は「控堤は古くて新しい、筑後川が誇る治水施設。被害を抑える効果のある控堤を保全するための規則を作る必要がある」と提言する。
 国交省は公共事業費減を背景に、堤防整備が遅れている河川の流域で伝統的治水施設の「二線堤」や「輪中堤」を整備する新たな治水策を検討。来年度に制度の創設を予定している。
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伝統的治水施設 二線堤(控堤)は本堤の決壊などで氾濫した水を受け止めて再び河川に戻す事で氾濫域の拡大を防ぐ。本堤との間に遊水効果もある。輪中堤は住宅地や耕地を輪のように囲み、洪水から守る。
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→ 治水の考え方が変化している。金と期間がかかりすぎるダムに依らない治水。
筑後川水系の担当者に拍手を送りたい。
最上川水系もこうした考えを基本に、で河川整備をすすめるべきだ。

穴あきダム?



本日おこなわれるダム推進派の集会のチラシから やれやれ 環境にやさしい実績はどこにあるの?

県知事宛要望書を提出


本日、以下のような要望書を県知事宛に提出。

知事面談の要望について
             
 2006年11月13日     
 斉藤 弘 山形県知事 様
                        
京都大学名誉教授   今本博健
新潟大学教授     大熊 孝
法政大学教授    五十嵐敬喜
アウトドアライター  天野礼子

                  
 私どもは、日本ではもう稀となった、天然アユが大量に溯上する最上小国川の美しい魅力を次世代に手渡しつつ、安全、安心とともに赤倉温泉の振興を叶える「真の治水」を求め、これまで地元の皆さんと協力し、現地調査や研究、勉強会などを行って参りました。

 10月28日には、民主党代表代行であられる菅直人氏を招いたシンポジウムを新庄市にて行い、元「京大防災研究所」の所長であり現「淀川水系流域委員会」委員長である京都大学名誉教授 今本博健、2004年の新潟水害の際の調査委員である新潟大学河川工学教授 大熊 孝、法政大学教授(公共事業論)五十嵐敬喜、作家 天野礼子が、地元の皆さんと共に、“穴あきダム”に替わる代替案を知事宛に提案させていただきました。
 11月8日には、河川工学の専門の立場から今本と、天野が地元の皆さんと、県土木部長ら担当の皆さんとこの代替案について、マスコミ公開のもとで討論させていただきました。

 その際、穴あきダムの治水効果の認識、又、対案への認識をはじめ、多くの認識、見解の相違がございました。




土木部長は、「流域委員会で議論を尽くした」、特に「流域委員会に東北大の風間先生という河川工学者がいらしたから問題はない」と言及されましたが、私どもは、この11月8日の議論は、ダム推進、容認のプランと、可能な限りダムに依らない治水策を提唱する私どもの案が議論できた「初めての場」ではなかったかと感じました。しかしながら、対論の際、初めて両論が同じテーブルで討議されたことを重視せず、再検討する姿勢も全くみせようとせずに「流域委員会で議論をつくした」という姿勢を土木部長はとられました。1997年改正された「新河川法」の「住民対話」「環境重視」の趣旨を踏まえた上で「21世紀の治水方策」の議論を尽くそうという姿勢がみじんも感じられなかったことは、大変残念です。
 
 しかし、斉藤知事におかれましては、「子供夢未来宣言」を掲げられ、行政改革を進められる志のある改革知事の一人であると確信しておりますし、また選挙の際には「“脱”ダム宣言」をおこなわれた田中康夫 長野県知事に応援を要請された事も存じております。
 そこで、知事のご判断の前に、「清流環境」を活かし、安全安心とともに赤倉温泉地域の活性化を考慮した“真の治水策”を実現していただけるよう、私どもと知事の「対談」をお願いいたします。 
 
今の時代、また、将来にとってふさわしい「真の治水策」、「正しい公共事業」を実現するためにも何とぞご考慮お願いしたく存じます。
 このお願いペーパーの提出を、「最上小国川の“真の治水”を考える会」の皆さんに委任致しますので、よろしくご検討ください。
 
なお、作家・天野礼子の「日本の名河川を歩く」には、小国川が日本第二位の天然河川として紹介され、「だめダムが水害をつくる!?」のP118には、貴県の担当者の「なぜ小国川にダムが必要と考えるか」が公共事業問題の病理として取り上げられています。また、今年の8月13日、小国川の清流がNHK「ふるさと自然紀行」で取り上げられておりました。ご参照のためにお届けいたしますので、お目通しいただけると幸いです。
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この文書を県知事室秘書宛とどけました。





ダム必要度?


朝日新聞関西版より。

関西人「ダム不要」 NGOがネットで全国調査

2006年11月11日
 建設の是非論が割れるダムについて必要と思うかどうか、「市民満足学会」(日下公人会長)がインターネット上で意識調査をしたところ、近畿地方では「新設ダムは必要だ」とする人の割合が全国最低クラスであることがわかった。嘉田由紀子知事が県内6ダムの「凍結」を打ち出した滋賀県は、最下位だった。

 調査は今年1月中旬から2月上旬にかけて実施し、1万9122人が回答した。新設ダムと既設ダムの必要度などについて、「非常に必要」から「全く不要」までの5段階評価で聞いた。

 新設ダムの必要度ランキングでは和歌山県が30位、奈良県が37位、兵庫県が38位と続き、大阪府が45位、京都府が46位、滋賀県が最下位。既設ダムも似たような傾向で、京都府が38位、滋賀県が44位と続き、最下位は大阪府だった。

 一方、新設ダムが必要と考える人が多かったのは、渇水や水害に苦しむ中国・四国地方。1位の沖縄県を除くと、香川、愛媛、島根が2、3、4位と上位を占めた。

 同会の大島章嘉事務局長は「大阪や滋賀のニーズの低さは『琵琶湖があるので渇水にならない』と感じる人が多いからではないか。ダム整備を進めたい行政と、市民の意識のギャップを感じる」と話した。
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さて、ダム必要度 山形県はどうなのか。WEBを見たけれど情報を見れなかった。

今日は情報整理とメディアコミュニケーション論。行政工法のデザイン力の重要性。地域経営、情報共有。を学ぶ。うむ。

小国川ダム問題 県との交渉


11月9日、今本博健京都大学名誉教授、アウトドアライター天野礼子さんとともに、県 土木部長と折衝。報道は以下。
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県と反対派 平行線
最上小国川 「穴あきダム」討論

最上小国川ダム建設問題で、反対派の「最上・小国川の真の治水を考える会」(押切喜作代表)と専門家らが8日、県と意見交換した。県が計画する「穴あきダム」案と、反対派のダムを造らない代替案について話し合ったが、議論は平行線。県は、穴あきダムによる河川計画を11月中に策定する方針だ。
 県は反対派が示した代替案のデメリットとして拡幅は多くの建物の移転が必要▽放置された人工林を伐採して森林の保水力を高めても大雨による大洪水は防げない▽建物の耐水化は費用負担が大きいことなどを挙げた。
 反対派の今本博健・京都大学名誉教授(河川工学)は「県は川底の掘削は湯脈を傷つけるというが、現在の技術なら可能」と主張。池田隆・土木部長は「硬い岩盤があり、影響がないように工事するのは不可能だ」と反論。
 また、ダムによる温泉街への影響も議論。県が「ダムは景観資源として地元の活性化につながる」と主張すると、反対派は「ダムがある温泉に誰が行くか」と一蹴。県は「安全安心な温泉街はつくれる」と議論はかみ合わなかった。
 アウトドアライターの天野礼子さんは「反対派と賛成派のそれぞれの立場の専門家が一緒に話し合うべきだ」と訴えた。
 意見交換後、池田土木部長は「計画を変更する必要はないと思う。十分議論した」と話した。反対派は「改革派の斉藤弘知事は無駄なものはいらないと考える人。(脱ダム宣言した)長野県の田中康夫前知事とも振興がある知事ならわかるはず」として、近く知事にも面会を求める。


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山形新聞 最上小国川 穴あきダム案
県と反対派 平行線
県と反対派、平行線−最上小国川穴あきダム案
県と反対派、平行線−最上小国川穴あきダム案
に対してダムに代わる案の検討を求めた今本博健京都大名誉教授(左から3人目)ら=県庁
 最上小国川で計画されている穴あきダム案をめぐり、見直しを求める市民団体「最上小国川の真の治水を考える会」と県との意見交換が8日、県庁で行われた。考える会側は、穴あきダム案で意見集約した最上川水系流域委員会を「十分に検討されていない」と批判し、再検討を求めたが、県は議論は十分と主張。議論は平行線をたどった。

 考える会側から、淀川水系流域委員長の今本博健京都大名誉教授(河川工学)らが出席。既に提出している代替案をもとに河川拡幅や掘削、遊水地指定、間伐などを併用したダムによらない案を提唱したが、湯脈の調査技術、堆積(たいせき)土砂量のシミュレーションなど多くの点で見解の違いが目立った。

 再検討を求める考える会に対し、池田隆土木部長は「議論は尽くされており、これ以上の検討は必要ない」と回答した。

 今本名誉教授は「聞く耳を持たない行政の傲慢(ごうまん)さを感じた。自治体は補助金欲しさにダムを造るが、ダムが出来て栄えたまちはない」と指摘。県が今月中にも新たな河川整備計画を策定する方針のため、考える会は近く、斎藤弘知事に直接訴える場の設定を求めていくという。

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毎日新聞
最上小国川ダム問題
反対の市民団体との会合で県
最上小国川ダムの建設に反対する市民グループ(最上・小国川の真の治水を考える会」(押切喜作代表)と県は8日、県庁でダム建設の意見交換会をした。
 県側は、10月28日に同会が提出した「穴開きダムによらない最上小国川の真の治水案」に回答した。河川掘削や拡幅▽赤倉温泉下流域の遊水池指定▽上流部の森林の伐採ーーーなどの提案に対し、いずれも否定的な見解を示した。
 同会の今本博健京都大名誉教授は「穴あきダムの効果は温泉地区だけで、その下流域には効果はない。街づくりにも利用できる治水を検討すべきだ」と主著王した。
県側は5年、10年に1回の洪水でも被害が出る地域なので建設は急ぐ必要があり、穴あきダムは50年に1度の洪水でも耐えられるものになる」と反論し、議論は互いの立場に歩み寄りなく終わった
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土木部長は「議論をつくされた」などと主張していたが、
今般。ようやく今の時代の治水策にふさわしい本当の議論ができた感がある。

流域小委員会を4回の予定を6回やったというが、10人の構成メンバー中2回まで推進派9対、ダムに依らない治水1(漁協)、3回からはダム容認、推進派10だけでおこなわれてきた「委員会」。
最上流域委員会は「小委員会の議論」を再検討することなく承認するという「真摯な議論が感じられない」委員会だった。
   部長は「風間先生が河川工学の専門家とはいっている。はいっている」と大きな声で主張したが、「ダム容認、推進の専門家」だけの構成では議論にならない。
また、最終の結論をだす流域委員会にその「専門家」は参加しなかった。

今本先生は「私だったら、この川の魅力、流域の魅力をそこなわないように慎重に考えつくす。議事録をみていて「なぜ、こうしたことが話題にならないのだろう」と疑問に思う箇所がたくさんあった。と指摘されている。

 ●今、タウンミーティングの「やらせ」問題が話題になっているが、この県でおこなわれている「流域委員会」は委員構成、から、「ダム推進」のアリバイづくりのためにおこなわれたものだととえられても仕方ない。

こんなことで、山形県内、唯一ダムのない天然河川のいのちが失われてはたまらない。

「小国川は山形が誇る天然資源」

真の治水をめぐる議論を求む。