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カテゴリー: スウェーデン

トルビョーン氏と再会。2/16.17 「東北復興と生態適応」シンポジウム


2月16,17日、東北大でのシンポジウム「東北復興と生態適応」に参加。

http://gema.biology.tohoku.ac.jp/sympo2012/


16日は午前10時から午後6時半までみっちり。
冒頭のスウェーデンESAMのトルビョーンラーティ氏のプレゼンでは、08年の時以来のナチュラルステップ関連の進化の一端を見ることができた。スウェーデンのエコ自治体数は現在84箇所
エコ自治体とは、4システム条件をベースとしたサスティナブルプランを議会が承認しているかどうかにある。

 トルビョーンのプレゼンは東北をエコ自治体10.0
 
 僕は、水道問題、ダム問題での不毛な対立といつも「真実がテーブルにのらない」状況に思い悩んでいた。建設推進派の人達はよく「反対のための反対をしている」などという。でも僕らの思いは、
「真に持続可能ないい社会をつくるため」なのだ。
 
こうした不毛な二項対立を解く方法はないだろうか? 僕は悩んだあげく出会ったのがナチュラルステップだった。実はナチュラルステップを紹介してくれたのは、98年に来日した、デビッドブラウアー氏、そして震災後の神戸で出会った、高見幸子さんだった。
デビッドブラウアー氏は、当時ブループラネット賞授賞式のプレゼンテーションでナチュラルステップの事に言及している。そして、NEWS23の映像で「企業も「心」をもつべきではないか」と諭している。

 で、枝廣さんが企画した基礎講座、高見さんが企画したアドバンス講座を受けて更に08年、スウェーデンのエコ自治体視察と初の国際エコ自治体会議に参加した。
 創設者 カールヘンリクロベール、そして「ヒューマンファンダメンタルニーズ」を提唱するマックスニーフのプレゼンテーションを聞いた。
 そしていかに日本という国でこの「持続可能な社会」とか「サスティナビリティ」が、定義もなくいいかげんな使われ方をしているか、言葉はいいが、実質がともなわない。といった事になっているかを考えさせられている。

Natural step 創設者のカールヘンリクロベールのプレゼン 
http://www.youtube.com/watch?v=XaZUgnYenb4&feature=related

16日は大学、国行政機関、工学、生態学、人文学と枠を越えて今後の復興に向けた構想について、実に示唆に富むプレゼンテーションを聴くことができた。何名かの先生方とは意見交換、今後もリンクさせていただきながら、山形で何をすべきかとともに地域の持続可能な発展のあり方を模索していきたい。

ちなみに明日 というか本日は沿岸の湿地地帯や冬水田んぼプロジェクトのエスカーション。

19日は名取市でトルビョーンとともに、ナチュラルステップ市民講座がおこなわれる。


ミツバチの羽音と地球の回転、上映会8/28


17日は、山王ナイトバザールにて、映画のポスター看板掲げて宣伝しておりました。



エコビレッジ国際会議模様。



エコビレッジ国際会議の模様です。

持続可能な地域社会へ。


朝、鶴岡八文字屋前、つじ立ち。朝、まぶしい光。きょうの天気は最高ですね。

今日は、「公共事業を持続可能な事業に変える。」 がテーマ。

昨日 遅くにエコビレッジ国際会議tokyoからもどりました。

昨日のプレゼンの様子は以下で見ることができますので、ぜひご覧下さい。


http://www.ustream.tv/recorded/7323152

要旨を記しておきます。

これからの地域社会を「持続可能」にするには、社会に「持続可能な社会」の認識が先ず必要。
   これがないから、環境アセスがアワスになり、持続不能な公共事業が続き、持続不能なエネルギーへの再投資が止まらない。生物多様性も保全されなければ、地球温暖化にも歯止めがかからない。

スウェーデンでは、科学的な根拠に基づく、ナチュラルステップの「持続可能な社会の定義が特にエコ自治体の職員や政策決定者に浸透し、政府の「持続可能な発展」政策をひっぱっている。
  とにかく、「持続可能な社会」とは何か、いかに今の社会が「持続不能」な方向に進んでいるかをまずは知ること。
鎌仲ひとみ、最新作、映画 「ミツバチの羽音と地球の回転」は、私たちの地域で、「持続可能な社会」をバックキャスティング方式で実現するための、ゴールの姿を提示している。 と思います。

僕は、「公共事業」「公共投資」を持続可能な社会に貢献するものに変えるためにも、ナチュラルステップのフレームワークを広めていきたいと考えています。

どうぞご意見を。

6月4日、お披露目上映会 四谷、東京にいらっしゃる皆さん、ぜひ見に行ってください。

2010年 6月 4日 (金曜日)
場所東京都新宿区 (地図)
説明完成お披露目上映会「持続可能な未来を求めて-映画上映とミニトーク」 http://888earth.net/staffblog/2010/05/post-51.html ●2010年6月4日(金) 【会場】四谷区民ホール〒160-8581新宿区内藤町87番地 TEL:03-3351-2118 【プログラム】開場18:00 上映19:00 トーク21:00 終了21:30 上映後、鎌仲監督ミニトーク






エコビレッジ国際会議に登壇。


5月28日、29日、30日と、東京で、エコビレッジ国際会議があり、30日、鎌仲ひとみさんと一緒に登壇、
ナチュラルステップのファシリテーターとして、講演します。
   これまで取り組んできたダムなどの公共事業の問題。対立の不毛さ。そしてそれを乗り越えていく新たな軸としての「持続可能な社会」という判断基準を提示しているスウェーデン環境NGO、ナチュラルステップ。
そして、そのコンセプトを基盤として発展計画を描くスウェーデンのエコ自治体。
  鎌仲監督の「ミツバチの羽音と地球の回転」では、そのエココミューン第一号のオーバートーネオがピックアップされ、そこからはじまったエココミューンの大きな軸としてのエネルギーシフトがとりあげられています。
   
私は、「持続可能な社会」「持続可能な発展」「サスティナブル社会」という意識付け、判断基準が今こそ必要と考えています。

エコビレッジ国際会議 私の登壇は5月30日、午後2時50分からです。

では、これから、行ってきます。

http://ecovi.begoodcafe.com/

http://greenz.jp/2010/05/20/ecovillage201/

鎌仲ひとみ監督「ミツバチの羽音と地球の回転」予告編が完成!


鎌仲ひとみ監督、「ミツバチの羽音と地球の回転」本編がこのほど完成し、その予告編ができました。

持続可能な形成のために_スウェーデンに学ぶ 福島郡山での講演


福島 郡山の皆さんにお招きいただき「持続可能な社会とはーーースウェーデンに学ぶ」 と題して講演す。
2008年に訪れたスウェーデンのエコ自治体。そして共通して導入している「ナチュラルステップ」の理論。また、持続可能なオリンピック開発をナチュラルステップを導入して実現したウィスラー。
サスティナビリティを実現するには、判断基準がある。その判断基準とは? 
 この数日間、この日のプレゼンの資料づくりで集中していた。仕上がったのは結局朝。じっくりと聞いてくれたみなさん、ありがとうございました。

ぶんぶん通信No1上映会と鎌仲監督トーク 5.23




●鎌仲ひとみさんとトークライブ。終了! お越し頂いたみなさん、ありがとうございました。トークセッションだけでもいつのまにかs2時間超。実に有意義な映画&トークライブでありました。
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ドキュメンタリー映画の監督、鎌仲ひとみさんを招いて、最新作、『ミツバチの羽音と地球の回転(仮)』の制作過程の報告を兼ねたビデオレター『ぶんぶん通信 no.1』の上映と、鎌仲ひとみ監督のトークライブをおこないます。

鎌仲ひとみ監督は、青森の核燃料サイクルプラントの建設をめぐる地域住民に密着した話題作「六ヶ所村ラプソディー」の監督であり、以前は、NHKスペシャル「エンデの遺言ーお金を根元から問う」で世界中の地域通貨や、マイクロクレジットなどを紹介したドキュメンタリー監督です。

 今回の最新作、『ミツバチの羽音と地球の回転』は、山口県祝島の原発建設問題に揺れる住民に密着し、そしてまた、20年前から「持続可能な社会」に向けて着実にシステムの転換をおこない歩みだしている、スウェーデンの自治体づくりの現場を取材し、紹介しています。

今回は、制作過程を報告する「ぶんぶん通信」を上映し、鎌仲さんから、現在撮り続けているドキュメンタリー映画の背景、日本の社会の何が問題なのか、そして、今後の日本の地域づくりの今後のあり方などをお話いただきます。

なお、実は、今般映画の中で紹介されているスウェーデンのエコ自治体会議や低炭素社会づくりの映像は、昨年5月、草島とともに同行取材してきたものです。持続可能な社会づくりに向けてどのように社会システムを転換しなければならないか。鎌仲さんの映像は、問題の核心を突き、日本の社会に生きる私たちにとって、大きな発想の転換になる映画だと確信しています。

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5.23 鎌仲ひとみ監督と
持続可能な社会を語る。
『ぶんぶん通信 no.1』上映会&鎌仲ひとみ監督トーク

『六カ所村ラプソディー』から3年。鎌仲ひとみ監督が新作を制作中です。新たな長編ドキュメンタリー映画『ミツバチの羽音と地球の回転(仮)』は、「持続可能な社会」をテーマに、新しいエネルギーを模索する人々や地域の存在を記録。カメラをスウェーデンと日本の山口県祝島に向けています。わたしたちは、どのようなエネルギー選択をするのか、どんな未来の可能性があるのか、考えさせてくれます。今回は、映画の制作途中の報告を兼ねたビデオレター『ぶんぶん通信 no.1』の上映と、鎌仲ひとみ監督のトークライブを行います。

日時:5月23日(土)   午後1時半開場   午後2時開演   上映と監督トーク。
場所:鶴岡市立中央公民館 3F 視聴覚室    
■ 参加費: 前売り予約: 1000円 当日1200円。
(*会場の都合があり、22日まで電話・メール予約をお願いします。)

『ミツバチの羽音と地球の回転(仮)』 鎌仲ひとみ監督作品   2009年秋 公開予定  
公式サイト http://888earth.net/

■主催、お問い合わせ先:ナチュラルステップジャパン鶴岡
電話 0235-28-3338     cafe Solai 予約メール  nsjtsuruoka@gmail.com
■映像:「ミツバチ」製作プロジェクト (株)グループ現代  http://888earth.net/


プロフィール

監督:
鎌仲ひとみ

大学卒業と同時にフリーの助監督としてドキュメンタリーの現場へ。
初めての自主制作をバリ島を舞台に制作。その後カナダ国立映画製作所へ文化庁の助成をうけて滞在する。カナダの作家と共同制作。NYではメディア・アクティビスト集団ペーパータイガーに参加。95年に帰国してからNHKで医療、経済、環境をテーマに番組を多数制作。98年、イラク取材をきっかけに「ヒバクシャー世界の終わりに」を作る。現在は東京工科大学メディア学部助教授に就きながらその後も映像作家として活動を続けている。
代表作品

「ヒバクシャ――世界の終わりに」(2003年)
(グループ現代制作/16mm/116分/文化庁映画賞文化記録映画優秀賞、平和・協同ジャーナリスト基金賞<グランプリ>他多数受賞)
「スエチャおじさん バリ・夢・うつつ」(1990年)
(自主制作/16mm/120分/芸術文化振興基金助成事業)
「エンデの遺言――根源からお金を問う」
(NHKエンタープライズ21・グループ現代制作/ビデオ/60分/ギャラクシー賞)
「がんを生き抜く――希望を支える医療の記録」(2001年)
(NHK情報ネットワーク・グループ現代制作/ビデオ/60分/ATP優秀ドキュメンタリー賞)
「心の病がいやされる時 今日本の家族に何が起きているのか」(1998年)
(NHK情報ネットワーク・グループ現代制作/ビデオ/60分/ATP優秀ドキュメンタリー賞)
                            他



ナチュラルステップ  人間の基本的なニーズ  マンフレッド=マックスニーフ Max Neef 考。


今朝の会では、温海温泉を元気にしようと奮闘するhttp://blogs.yahoo.co.jp/momotosedesign/今朝の会では、温海温泉を元気にしようと奮闘するhttp://blogs.yahoo.co.jp/momotosedesign/
の講演を聴く。うむ。温海の逸材だ!なかなかやるのう。
その後、八文字屋前で街頭演説、風がいきなり冬の風で体が凍えた。

雇用の危機。派遣労働者の大量解雇がいわれているこの3月末。鶴岡の状況はどうなのか、300人とも500人ともいわれている。本来働き盛りの20代、30代の方々の暮らしをどうするか。とにかく仕事をつくらなくてはならない事は喫緊の深刻な課題だ。そして経済危機の時の住民サービスを考える中で、自治体は何をまず優先すべきか。と、そもそものところから考え始めている。

    ダム問題を抱えている最上小国川にかかわる中で、ダム推進派の主張を聴いていると、「せっかくようやく俺らの町のバブルがくるんだから邪魔するな」というような声が聞こえてくる。そしてそれは、その動きをつくれば政治資金がもらえるさと考える政治家が結びついて政治的に大きな声になる。その波に、まさに政、官、業
学、が、呑まれてしまい、まさに、これまで、確実に、着実に長年経済を育んできた清流小国川でのアユ釣り客や松原鮎でにぎわってきた本来の流域経済は呑まれようとしている。根底に、「今更農業では食えない、漁業といってもそれだけでは食えない(内水面漁業のこと)」という声がある。でも、最上小国川なんか、鮎に惚れ込んで流域にIターンして、鮎だけでほぼ生計をたてている人がいるというのに。といいたくもなる。それにそうした清流が、そこを泳ぎ、魚をとる、どれだけ多くの子供たちの心に潤いを与えてきたのか。

この、「今ある自然資本が、生み出している経済が、失われてしまう事の損失」というものを全く無視して、こうした事業は進められてきたし、いまだに、そうした重要な経済が、政治の議論のテーブルにのっていない。

巨大ダム事業や原発などの公共事業の根底には、地域の経済という問題が必ず横たわっている。その「経済」をいかに考えていくか。

かれこれ15年ぐらいか。ダムや水問題に直面しながら、ずっと考え続けてきた。これまでは、どう考えても短絡的に環境破壊をおこない、せっかくそこにある自然資本を破壊してしまっていた。心洗われる清流がこの数十年でどれだけ失われてきたかを思うと心が痛い。清流を失った川には釣りにいかないしカヌーにもいかない。そしてダム湖にたまったヘドロは水質を悪化させ、生物多様性を蝕んでいく。結局、月山ダム下にあった旅館は工事が終わるとすぐに経営破綻してなくなってしまった。仕事がなくなったら、なくなったでそれまでとのギャップが激しくなる。ダムができたら維持費用は毎年10億以上かかる。一部は自治体負担。よっぽどのメリットがなかったらできないのだ。月山ダムの問題では、地元の本当の資源である地下水が、わざわざ放棄され、使えなくなっている。地域の資源がまさに台無しになっている。そして月山ダムの水道事業は、人口減少に突入した今、どう考えても持続不能の状況と言わざるを得ない。

最近、僕はこうした、持続不能な経済に陥ってしまおうとする大きな流れをいかに、本来の流れに再生させていくかの糸口を探り続けてきた。それに、これは月山ダムの水道事業が直面している難問であるが、「人口減少」時代へ大きく舵をきった社会でどうするのか。ということも。

そんな暗中模索の中で、スウェーデンの環境保護団体、ナチュラルステップに出会った。「持続可能な社会」への判断規準を定義づけ羅針盤とするコンセプト。 そのコンセプトというのは、まずは、科学の原則のような話からはじまる。

1) 物質とエネルギーはなくなることはない。

2) 物質とエネルギーは拡散する傾向がある。

3)物質は物質の濃度と構成だといえる

昨年の3月に鶴岡で講演された、ナチュラルステップの理事で、特に、この20年間、スウェーデンのエコ自治体運動に取り組んできたリーダーである、グンナルブルンディーン氏は、
「ガソリンタンクが空になったとしても、それがなくなったわけではなく、大気上に拡散されたのだということ。湯船にいっぱいの水にインクをたらすと、ずっと拡散をしてインクとしては使えなくなる。
この法則は自然の法則なので、これを議会が変えようとしても無理なことなのだ。
でも世界を見ているとこれが変えられると勘違いしている政治家もみられるようだが、、、。 と解説してくれた。

それをふまえた上での以下の4つがナチュラルステップのフレームワークだ。

1)地殻から掘り起こした物質の量が増え続けない
2)人間がつくりだした物質の量が増え続けない
3)物質循環の基盤となる自然が物理的に劣化しない。
4)人々が満たそうとする基本的なニーズを妨げることをしてはいけない。

そして、その4の基本的なニーズ(human fundamental needs )というのを概念化したのが、

マンフレッドマックスニーフというチリの経済学者だ。

彼の論考は次のようなものだ。

開発の目的は基本的な人間のニーズの満足であるに違いありません。(人間のニーズは人類のニーズだけではなく、また、存在のニーズでもあります)。 私たちは、「生計維持」がすべてのための不自由しないほどの収入、栄養、住宅、および仕事で満たさなければならない基本的な人間の欲求であることを決して否定するつもりではありません。
   しかし、また、私たちは、保護、愛情、理解、参加、レジャー、創造、アイデンティティ、および自由がまた、基本的な人間のニーズであると考えます。
   私たちの窮迫している開発モデルは生計維持に主に関係がありました。 しかし、そのようなモデルが経済効率の宗教と市場の魔法により支配されて、彼らは人類の大部分の災いを犠牲にしていくつかの満足を飽和状態にし過ぎました。しかし、基本的な人間のニーズは満たせているでしょうか? 」
と説いている(オルタナティブ ノーベル賞授賞式での講演にて)

生命維持(食、住宅、仕事)、保護、愛情、理解、参加、レジャー、創造、アイデンティティ、自由 という9つの基本的なニーズを満たすことを人間のニーズとして示したマックスニーフ。
   彼は、13年にわたり第三世界の貧困社会の場に身をおいて、「裸足の経済学」としてリアルエコノミーを提唱した経済学者としてスウェーデンなどではよく知られる経済学者なのだと聴いた。

彼の説には、こうした説がある。
「GDPの成長は、経済発展の初期の段階では生活の質の向上をもたらすが、“しかし、ある一定の点(閾値)まで であり、それを越えると経済は成長しても生活の質は低下していく”(Manfred Max-Neef, 1995 Manfred Max-Neef(1995)“Economic Growth and Quality of Life : A Threshold Hypothetis”Ecological Economics 15 pp.115-118 )との「閾値 仮説」である。

日本のような成熟消費社会では、GDPが大きいといえども、自殺率が高かったり、1000兆円もの借金を抱えていたりする。「トリクルダウン」効果を助長するように規制緩和をおこなって、格差社会が広がった今、実際は、人々の幸福や満足との乖離は著しいのではないか。と問う声もある。これを言い当ててるのかもしれない。

今、まず、 僕らは、行政サービスのあり方、つまり公として何をすべきか。といった時の「地域経済」の考え方のひとつにこのマックスニーフの9つの基本的なニーズをきちんととらえ直してみたいと思うのだ

実際、今、欠けている事はなんだろう。そしてマックスニーフは、人間のニーズというのは原則的にこの9つで、これは文明や文化の違いがあっても変わらないのだという。サティスファイアーというそのニーズを満たすことができる手段はそれぞれだが、基本的にはこの9つが満たされるように、妨げる事のないように、することが肝要と説く。
  これは社会的なセーフティネットを張っていこうとするときの指針にも役に立つかもしれない。ベースとしては生活保障をすべきその暮らしにこの9つが成立しているようにしたいということか。

実は、昨年5月の持続可能なスウェーデンエコ自治体会議ではこのマックスニーフの講演を聴く事ができた。改めてサスティナブルな社会変革の先進国であるスウェーデンで重要視され、ナチュラルステップとしてもフレームワークの柱の一つとして定めている彼の「リアルエコノミー」論に注目していきたいと思うし、関心のある方々と情報交換や講演録の整理をしていきたいと考えている。


G8終了。うーむ。


結局、数値を示せないで終了のG8。フランスは原発利権。米国は石油利権。日本は、経済界に遠慮して、、、インド、中国は、経済成長を妨げられることをいやがり、、、。
 月曜日、「シェルパ達の攻防」というNHKスペシャルのドキュメンタリーで改めてこの国益をかけた闘いの一部をかいま見ることができたように思う。

地球温暖化の危機感をどれだけ共有できているのか。ということ自体がすごく露呈した、そんな結果としての今回の「首脳宣言にG8としての「50年半減」の合意が明記されず終い」ということになっているのではないだろうか。
と思っている。
 
「地球がなくなったらどんな経済も成長しない」とデビッドブラウアーが説き、
そして、世銀のニコラススターン氏が
二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス削減に向けて国際社会が行動を起こさなければ、地球温暖化による将来的な経済的損失は世界各国の国内総生産 (GDP)総計の約20%に上る。これは、第一次、第二次世界大戦の被害規模に匹敵する。
・温暖化対策を取らなかった場合、今後50年間で地球の平均気温が2〜3度上昇する。自然災害が多発し、今世紀中盤までに2億人が自宅を失い、15〜40%が絶滅の危機に直面する。
・今すぐに温暖化防止を始めれば、これにかかる費用は年間、世界のGDPの1%(約300億ドル)ですみ、経済発展と両立することが可能である。つまり「行動しないこと」のコストが、必要な対策のコストを圧倒的に上回る。

とスターンレポートを提示した。

その危機感をどれだけ共有した結果だったのか。

目標値も期限も明確に定められない。そうした「ゴール」も明確でない今般のやり方は、スウェーデンで学んできた「バックキャスティング」とは対極的なやり方だ。
日本が提唱しているセクター別アプローチはあくまで手段であって、「ゴール」を示すものではない。

 サミットとは、毎回、妥協の産物で、セレモニーなのかもしれないが、地球の危機に直面した今日的な課題に、どれだけ貢献する結果を得たのか。正直言って疑問の方が大きいのではないだろうか。

 さて、僕としては、低炭素社会を実現しながら、経済発展を果たしているスウェーデンの社会に希望を見た。 
 国の動きは、どうあれ、まずこの自治体で何をするかだ。僕らの進むべき道を真剣に考えたい。