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月別ア―カイブ: 11月 2014

小国川を守る闘いはこれからだ!ー会報への随筆


ダムで本来の力を失った最上小国川に、つり人は来ない

小国川を守る闘いはこれからだ!

最上小国川の清流を守る会 共同代表 山形県議会議員  草 島 進 一

 

故沼沢組合長の自死事件から未だ半年。

6月28日の臨時総代会では過半数の漁民はダムやむなしとしたが、特別決議で2/3をしめる得票には及ばなかった。しかし、山形県農林水産部の水産課はダム賛成の組合理事らとともに「ダムのない川以上の清流」といった漁業振興策を掲げ、ダム容認ならば懸案の中間育成施設の井戸の整備をやってあげる。ダムを拒否するならばそれはやらない」といった事を流布しながら漁協総代を懐柔し続けていったようだった。私は会のメンバーとともに、9月のはじめに発表された9月28日の臨時総代会に向けて、なんとしても1/3を死守したいという思いで県に対して申し入れをおこない、流域にちらしを配布し、車にスピーカーをつけて街宣活動もおこなった。

 総代の中には案の定「漁協幹部にダムを容認しなかったら死活問題の井戸の整備をやってもらえず、漁協はつぶれる」と諭され、「私は反対だったけれど漁協をつぶすわけにはいかない」と賛成にまわった方がいると報告をうけた。

 そこで9月県議会に計上されたアユ中間育成施設(井戸を含む)が漁協のダム容認と関係性があるのか、知事与党の県議会議員にはたらきかけ、9月22日、県から今般県議会に上程されているアユ育成施設の井戸整備に「条件はついていない」との見解を引き出した。

 また、ダム建設に必要な「漁業補償契約の締結」について、関係組合員全員の同意は、「第五種の内水面漁業には必要ない」という県の見解が新聞に掲載された事を受け、9月17日、水産庁に確認に赴いた。水産庁の見解は「漁業種別に関係なく、影響を受けうる関係組合員全員の同意をとることがのぞましい」と指導助言をしているとのことだった。私は9月18日に記者会見を開き、それを記者に伝え、一部報道された。この趣旨は9月19日にダムに反対する漁協組合員有志から漁協に向けて提出された「穴あきダム問題に関する公開質問状」に反映された。すると公開質問状に対して漁協から9月24日「当組合は定款に基づき、また、漁業法及び水産業協同組合法に基づいて適正かつ適格に業務を行っております。ご指摘されるような事実は一切ございません」との回答がきた。それに対して9月25日、渡辺、三井、下山三名が共同代表を務める「ダムに拠らない治水と漁業振興を求める小国川漁協組合員の会」は抗議声明を提出した。

 

それは以下のようなものである。

 9月28日の総代会前日、熊本一規明治学院大学を迎え、清流を守る会のメンバーと漁協、総代の渡辺さんらとともに戦略会議をおこなった。

 9月28日の決議後「ダムに拠らない治水と漁業振興を求める小国川漁協組合員の会」は、「決議1,2ともに漁民の持つ漁業権などを補償なしに侵害することを決める違法な決議であり無効である」「ダムにより権利を侵害されるので補償を受ける権利があるが、県から説明も同意も求められていない」、ということで、漁協に補償を委任しない、と宣言した。

 10月8日、漁協、県、舟形町、最上町はダムを建設し、漁業振興策を図る協定を締結、ダム建設に伴う環境保全についての覚え書きも件と漁協で交わした。その際、高橋組合長は「本体着工容認は、漁協が一体となって考えた結果」と語ると同時に「前組合長に約束を果たしたぞと言いたい」などと会見の席で話した。これにはダム反対の漁協組合員が皆で激怒し、10月10日付けで抗議声明を組合に提出した。

 

10月10日に下山久伍共同代表、熊本一規明治学院大学教授とともに3名で水産庁を訪れ、以下の三点の見解について部長を含む5名の担当官と協議した。

1.9月28日小国川漁協総代会における1号議案決議は、権限のない者が勝手に声をあげたに過ぎず、小国川ダムにより損害を被る漁民の追認を得ない限り、「無権代理行為」にすぎない。当決議に基づいてダム建設に着工すれば、漁業行使権を侵害する違法な工事になる。

2.9月28日小国川漁協総代会における2号議案決議は、入会集団の決定を踏まえての決議でなく、入会集団の同意、及び漁協からの入会集団ヘの補償がなければ法的効力を生じない。

3.「禁漁区域」の設定に伴う漁業補償を県が支払うのは違法であり、漁協が支払わなければならない。小国川漁協の「補償は不要」は、補償を支払わなければならない者が「補償は不要」と言っていることになる。

 

 その場で下山氏は、アユ釣りでのおとり鮎の販売や、釣りガイド等で生計を立てていること、ダム建設で河川環境への影響が懸念される事、それによって釣り客の動向に影響する事等を説明した。二時間にわたる協議でそこに同席した方々の間では上記三項目は概ね同意をいただいた。協議中で感じたのは、水産庁の中には「総有説」が担保されているということである。

 

<*総有説=総有説は「共同漁業権は入会権と同性質の入会権的権利であり、入会集団が総有(一箇の団体が所有の主体であると同時にその構成員が構成員たる資格において共同に 所有の主体であるような共同所有)する権利である> 社員権説は 「共同漁業権は漁協の持つ権利で、組合員が共同漁業を営めるのは、漁協の構成員(社員)としての 社員権に基づく」とする。

 

 これらを受け、議事録を書き起こし、県への申し入れと会見内容を作成しつつ同意のポイントを探った結果、以下の公式見解となった。水産庁は当日、10月10日に山形県に対し指導・助言をおこなった。

○ 組合自らが補償交渉の当事者になるときにおいても、組合の運営が円滑に実施されるためには、漁業補償契約の締結及び補償金の配分に当たっては、組合は当該協同漁業権の変更等により影響をうけることになる組合員の同意をとっておくことが望ましい。2号議案も同様。

○ 財産権の侵害だといっておられる方がいらっしゃるなら、本日のやりとりを県に伝えるので、具体的に県と話合うべき。

 

というものである。このことは、読売新聞、朝日新聞に掲載された。

 しかし県は、「プロセスが重要な補償交渉の協議の必要性」をぼやかし、通常業務の聞き取りでいいなどと矮小化している。

 一年前、沼沢組合長が漁業権の剥奪を示唆され、無理矢理つかされた県との治水協議の場は「ダムありきの協議の場」であり「ダムに拠らない治水の協議がようやくできる」と考えていた沼沢さんの想いは無視され、無念のまま自死に至った。その後の協議はダム推進の組合長や漁協幹部がイニシアチブをとり、ダム容認とセットの漁業振興という県の思惑をそのままに受け入れた。更に以前から反対者に行政から圧力がかかるような町政の中、今般総代会の「記名投票」という手法が2/3の総代がダム容認に動くことになった。

 しかし、漁業を営まない組合委員がいくら多数欠で決議したとしても、漁業で生計をたてている方々(関係組合員・関係漁民)の漁業行使権や補償、その交渉のプロセスもなく奪うことはできない。水産庁は山形県や漁協のプロセスの問題を認識したようである。

 

 私は、これからの関係組合員・漁民と県との補償交渉の場を、故沼沢組合長が求め続けた真実の協議の場にしなければならないと考えている。本来は漁協がイニシアチブをとるはずだった協議の場を懐柔し、変容させ、清流の守り人である漁協組合員、漁民の権利を奪い、清流を破壊しようとしている県の暴挙を、なんとしても止めたい。

 実際に釣りやアユで生計を営む、または生計の足しにしている方々に対して、改めて結集を呼びかけたい。

 10月20日、岐阜県では長良川の清流とアユを世界農業遺産として申請し国内候補になったとのニュースがあった。ダム先進国米国がダム撤去に方向転換した事を伝えるドキュメンタリー映画「ダムネーション」も公開がはじまる。

 年間9千人も人口減少する山形県で最も大事にしなければならないことは、地域が本来持っている価値を失わないことだ。人がつくることのできない自然、豊かで多様な生物によって支えられた人々の営みが有ることこそ、山形の豊かさにつながっている。生物多様性の観点では淡水環境の消滅が国際的にも危惧され、森・川・海の連環を取り戻すダム撤去や河川を自然にもどす公共事業がもう十数年も前から世界の潮流になっている。

赤倉温泉街の治水対策は、ダムの無い治水とともに、温泉街に手をいれたほうが未来への発展と持続可能な地域づくりにつながることは明白だ。

県が進めようとしている穴あきダムが小国川のような清流環境につくられるためしはこれまでにない。

 私は山形の持続可能な発展のためにもダムによらない治水をなんとしても叶えたいと思うし、12月開催の山形県議会で改めて、以上の趣旨に添った質問を行なう予定だ。

今や希少な存在となった内水面漁業の漁業者を守り、この川のいのちを守りたい。

 がんばりましょう。