持続可能な鶴岡ブログ

持続可能な鶴岡ブログ
トップページ > 持続可能な鶴岡ブログ > カテゴリー: 汚染水の海洋放出
カテゴリー: 汚染水の海洋放出

ならぬことは、ならぬ!放射能汚染水の海洋放出、反対!


ならぬことは、ならぬものです。

うそを言うてはなりませぬ。


イチエフ(福島第一原発)からの汚染水の海洋放出、反対!

政府は「処理水」。IAEAがお墨付きを与えたかのような報道。ちょっと待った!
 

世界初!の事故炉からの放射性物質を含む汚染水が海洋放出される。

量は134万トン。


東京ドーム一杯(124万トン)より多い大量の汚染水を,希釈しながら40年以上も放出するというものです。
日本の福島から、世界中の海を汚染する、深刻、大規模、長期にわたる犯罪的な環境汚染です。

 

世界の市民社会と連帯し、絶対に辞めさせよう! 汚染水の海洋放出、絶対反対!

What is not to be done is to be done.
Do not tell lies.

I oppose the discharge of contaminated water from 1F (Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant) into the ocean!
The government says it is "treated water," as if the IAEA endorsed it. Wait a minute!

This is a world first! Contaminated water containing radioactive materials from the accidental reactor at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant will be discharged into the ocean.

The amount is 1.34 million tons.

That's more than the size of the Tokyo Dome (1.24 million tons), and it will be discharged for more than 40 years while being diluted.
The more we listen to the people of Fukushima, the more questions erupt!

The more we hear from the people of Fukushima, the more doubts we have!

From Fukushima in Japan, it will contaminate the oceans of the world,
It is a serious, massive, long-term, criminal environmental pollution.

We stand in solidarity with civil society around the world and must call it off! We absolutely oppose the discharge of contaminated water into the ocean!


ドイツは2023.4.15に脱原発!日本は?(記事) 


9月8日、福島の漁業者をはじめとする151名が東電や国へ訴状を提出。 

 9月8日 提訴行動(動画)会見

訴状をぜひご覧下さい。(40頁ありますが、論拠明快です。)

●海洋放出をおこなう理由がない。
タンク用の敷地は未だ地域に豊富にある。東電はモルタル化や大型タンクなど、代替案を全く真摯に検討していなかった。
●核種の全てをあきらかにせず、生態系への影響など、安全性が担保されないままの海洋放出
●福島の漁業関係者と交わした「関係者の理解を得ないままの放出はおこなわない」という事を完全に反故
●ロンドン条約他、国際的な法例違反。

他。
 


 

福島県民有志の請願を紹介議員となり、鶴岡市議会に提出! 2023.8.29

 


東京電力福島原発からの処理汚染水の海洋放出の即時中止を求める

意見書の提出を求める請願

【請願趣旨】

2023年8月22日、政府は東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理汚染水について海洋放出を決定し、24日午後1時、東京電力は海洋放出を開始しました。国内外から多くの反対の声が噴出する中の強行です。この放出には、明らかに以下の問題が存在しています。

1、「関係者」の理解は得られていない                                         2015年8月、政府及び東京電力は福島県漁業協同組合連合会(以下県漁連)に対してALPS処理汚 染水に関して、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束した。その後も8月17日のNGOと東電、経産省交渉の際に至るまで「約束を遵守する」と繰り返してきた。「関係者」とは、影響を受ける漁業関係者、福島の人々をはじめ、本件に関心を有する日本国内外の市民はすべて含まれると考え得る。岸田首相は、2023年8月20日、福島第一原発を視察し、東京電力幹部と意見交換を行ったが、福島県漁連関係者には会わなかった。関係者の筆頭というべき地元福島の漁業者にも会わず、確認しない上での決定は許されるものではない。

福島県内の市町村のうち、7割以上の自治体が処理汚染水の放出に関して、反対や慎重な対応を求める内容の意見書を可決している。

2、放出される放射性物質の総量が不明なままの排出                                         タンク貯留水には、トリチウムのみならず、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129などの放射性物質が残留し、タンク貯留水の約7割で告示濃度比総和1を上回っている。東京電力は当初、ALPSによりトリチウム以外の放射性物質は除去し、基準を下回っていると説明してきた。トリチウム以外の核種が残留していることが明らかになったのは2018年の共同通信などによる報道によってである。

東電は、トリチウム以外の放射性物質が基準を超えている水については、「二次処理して、基準以下にする」としているが、どのような放射性物質がどの程度残留するか、その総量は未だに示されていない。それどころか、東電が詳細な放射能測定を行っているのは、全体の水の3%弱に相当する3つのタンク群にすぎない。東電は、「放出前に順次測定し、測定後、準備が整い次第放出する」としているが、これでは放出する直前にしか、何をどのくらい放出するのかがわからないことになる。また、放出される放射性物質の総量は、すべてのタンク水を放出し終わるまではわからない。

放出後の環境省のモニタリングは、トリチウムの他は想定核種の200種の内、60種しか予定がなく即時測定は不可能。モニタリングは第三者機関で全核種おこない即時公表すべきである。

3、「海洋放出ありき」で進められた検討

政府の審議会における一連の検討プロセスをふりかえると、代替案の検討は極めて表面的にしか行われず、結論を「海洋放出」に誘導するものであった。2018年当時、海洋放出を含む5つの案が示されたが、その際、海洋放出の費用は17〜34億円、期間は52~88か月とされ、5案の中ではもっとも安く、かつ短期間の案として示された。しかし、その後、海洋放出の費用は膨れ上がり、現在わかっているだけで1200億円以上、放出期間は東電のシミュレーションでは30年以上とみられている。

また、技術者や研究者も参加する「原子力市民委員会」が提案した、「大型タンク貯留案」「モルタル固化処分案」は、十分現実的な案であるのにもかかわらず、公の場ではまったく検討されていなかった事が明らかになっている。改めて代替プランを真摯に再検討すべきである。

4、「風評加害」という口封じ

政府は、ALPS処理汚染水の海洋放出の影響を「風評被害」に矮小化している。そして、メディアも政府見解を繰り返し報じている。代替案やトリチウム以外の放射性物質についてはほとんど報じられていない。本来、原発事故は人災であり、その加害者は国及び東電である。「風評被害」のみを強調する政府の手法は、メディアの報道ともあいまって、放射性物質の海洋放出の影響やリスクについて指摘することを、「風評加害」とレッテル貼りし、健全な議論を封じ、民主主義を蹂躙するものとなっている。

5、意図的な放射性物質の放出はロンドン条約議定書に違反する可能性

2011年3月11日の原発事故以降、すでに大量の放射性物質が環境中に放出されてしまった。今回の放出は、それに上積みをする形で、政府によって意図的な放出を行うものである。放射性物質は、集中管理し、環境への放出を行わないことが原則であり、放射性廃棄物の海洋への投棄は、ロンドン条約96年議定書によって全面的に禁止されている。海洋放出はこの議定書に違反する可能性がある。

【請願事項】

国及び東京電力は、福島第一原子力発電所からの処理汚染水の海洋放出を即時中止すること。

  以上、地方自治法第99条の規定により、国に対して、意見書を提出されるよう請願いたします。

請願者 緑ふくしま 蛇石郁子

鶴岡市議会 紹介議員 草島進一 長谷川剛


 

2023.8.18 福島県民をはじめ、全国から約300名が

首相官邸前に終結し、緊急行動!


海渡弁護士 脱原発弁護団 の発言に注目
「汚染水放出による害は風評被害ではなく実害です」

今回の汚染水汚染処理水の対応法律は国際法上も国際法上も違法である。これは東京電力と国が事故を起こし、その無策。要するに遮水措置をとらなかったために増やしてしまった水。その汚染物質を作り出した人が責任を持って処理するというのが原則です。汚染物質というのは環境から隔離して保管するというのが原則です。環境汚染物質をを貯めてたものを故意に洩らすなんてことはありえない 。そして国際法上のですね予防原則というのは確立した考え方です。予防原則というのは安全性が確認されていない行為をしてはならないというもので、汚染処理水の中、トリチウムも危険ですけれども、セシウム、ストロンチウム、ヨウ素などが大量に含まれている。仮に希釈としてもそれもともとあったものが全部出てしまうんです。生体濃縮される危険性もあります。これらの評価はきちんとなされていません。したがって、これらの海洋放出が行われたときに消費者の魚を買わなくなるのは風評被害ではなくて正当な自衛行動です。それによって漁業者は大変な被害を被るでしょうけれども、それは政府の行為、東電の行為による被害であって風評被害ではない。実害です。

又、より安全な方法があればその他による安全な方法を選択すべきであって、そちらを選択すべきです。タンクで長期に保管する。モルタル固化する。とした方式があるにもかかわらずそれらについて正当な評価がなされていない。そのもとで海洋放棄するということは明らかに違法です。

 最後にIAEAが、報告書を出しました。この報告書は、確かに政府の言っていることを鵜呑みにしている部分はありますけれども、政府のやった政策決定について推奨も支持もしないとはっきり言っている。IAEAの報告書は決して政府の海洋放出を正当化するもではないということをを確認したい。
 私ども脱原発弁護団としては 非常に困難な状況では何らかの裁判手続きでですねこの違法な海洋放出を食い止めるそのための努力を最後の最後まで続けたいと思っております

Lawyer Kaiwatari, Lawyers for Nuclear Power Plant Phase-Out, notes that "the harm caused by the release of contaminated water is not reputational damage, but actual harm."

The law to deal with this contaminated water contamination is illegal under both international law and international law. This is an accident caused by TEPCO and the national government and its inaction. In short, water that was increased because they did not take measures to shield the water. The principle is that the person who created the contaminant is responsible for its treatment. The principle is that contaminants should be stored in isolation from the environment. There is no way to intentionally leak a stored environmental pollutant. The precautionary principle is a well-established concept under international law. The precautionary principle is the principle that one must not take any action that has not been confirmed to be safe, and in the contaminated treated water, there are large amounts of cesium, strontium, and iodine, as well as tritium, which are dangerous. Even if we dilute the water, all of the original contents will be released. There is also the danger of bioaccumulation. These have not been properly evaluated. Therefore, when these discharges are made into the ocean, consumers stop buying fish, which is not a reputational damage but a legitimate act of self-defense. Fishermen will suffer greatly from this, but it is damage caused by the actions of the government and TEPCO, not reputational damage. It is actual damage.

If there is a safer method, we should choose the safer method by other means, and we should choose that. Store in tanks for a long period of time. Solidify with mortar. There are other methods, such as long-term storage in tanks, solidification with mortar, etc., but these methods have not been properly evaluated. It is clearly illegal to abandon the site at sea under such a method.

 Finally, the IAEA has issued a report. The IAEA report does not justify the government's decision to abandon the oceans.
 We, the lawyers for a nuclear power free Japan, would like to continue our efforts to stop this illegal ocean discharge until the very end, through some kind of court proceedings, under very difficult circumstances.

Translated with DeepL


8月22日より連続 街頭演説


8月25日 夕方


8月23日 夕方 17:30~  


8月23日 朝 7:30~


8月22日 夕方 17:30~


「不都合な真実」がずらり 
2023.8.24  Videonews.com 配信のハワイ大  ロバート・リッチモンド博士×神保哲生


何が処理水か?何が希釈すれば安心か?どこがIAEAのお墨付きか? 世界で初の事故炉からの汚染水。プロパガンダで国民を騙すな!
東電は、汚染水の中身を未だ明らかにしていない。IAEAがお墨付きを与えたというのはマチガイだ!「関係者」は私達だ!

2023.8.18 緊急首相官邸前行動 ならぬことは、ならぬものです。


2023.8.18 東電、経産省への要請と、緊急集会
国会議員 弁護士 福島県民、NGO有志が続々スピーチ。

 

 


2023.8.17 東電、経産省に汚染水放出の中止を求める署名を提出。その後、東電、経産省 との協議 FOE-Japan

34億円と言っていたのに1200億?
放出期間は88ヶ月と言っていたのに40年以上!?

それでも強行? 
市民側が提案していた代替プランも全く議論していないって、どういうこと?
 

当日の要点 まさのあつこ  88ヶ月が40年? 34億が1200億!?


 


私、草島は、世界、国内連携のキャンペーンとして7月17日、以下のような街頭演説をしました。

で、Twitter に

東京ドーム一杯以上の133万トン、トリチウム以外の7割処理されてない放射能汚染水とトリチウム汚染水を今後50年も福島から世界中に垂れ流す。放射性物質はDNAにインパクトし、人を含み動植物が奇形、生殖異常の恐れがある。何処が処理水?何処が風評か?

と書きました。すると、なんと炎上!? 変な誹謗中傷、議会事務局にも問い合わせがあったり。大変迷惑です。

別に持論のみで演説、見解しているのではないし、資料をお読みになればわかるように、風評の問題ではないのです。

私の演説や、書き込みの根拠は以下です。どうぞ確認して下さい。

反論ある方は、科学的に反証してください。プロパガンダの押しつけ、誹謗中傷は辞めて下さい。


原子力市民委員会 公開フォーラム 「いま改めて、処理汚染水の海洋放出問題を考える」必見。何をどのくらい放出するかもよくわからない。汚染水放出。他、政府やTEPCOの「不都合な真実」がしっかりと述べられています。

当日のプログラムや資料はこちらに掲載しています http://www.ccnejapan.com/?p=13868

00:03:14 (1)IAEA報告書の矛盾、そして見過ごされていること(細川弘明・京都精華大学名誉教授) 00:15:41 (2)何をどのくらい放出する?(満田夏花・国際環境NGO FoE Japan 事務局長) 00:28:00 (3)放出されようとしている「処理汚染水」とは(天野 光・いばらき環境放射線モニタリングプロジェクト) 00:47:39 (4)海洋放出は避けられる――現実的な代替案(川井康郎・CCNE原子力技術・規制部会 00:59:28 (5)「処理水」の夢物語と廃炉をめぐる過酷な現実(菅波 完・CCNE原子力技術・規制部会) 01:12:59 (6)福島県の漁業の今(柳内孝之・小名浜機船底曳網漁業協同組合専務理事) 01:29:42 (7)復興と廃炉の両立とALPS処理水問題を考える福島円卓会議について(林 薫平・福島大学食農学類准教授) 01:54:32 (8)海洋放出に対する地元住民の受けとめ(武藤類子・CCNE委員) 02:01:07 (9)福島第一原発の廃炉と真の復興とは(八巻俊憲・CCNE福島原発事故部会) 02:12:25 ■今後に向けて リレートーク


IAEA レビュー 報告書には問題がある。★世界初の原発事故炉の汚染水放出という認識が乏しい。★★報告書で扱っていない重要な事がたくさんある。★★★東電と政府見解をなぞっただけで汚染水の中身もわかっていないIAEA ★★★★正当化(justification)に大問題あり!他

2023_0718 ALPS処理汚染水・海洋放出に関するIAEA報告書への「見解」発表記者会見

 


2023.1「汚染水はなぜ流してはならないか」

小出裕章 先生 講演会  とても分かり易いです。



2023.5.7 Don’t Nuke the Pacific 「科学者が語る放射能汚染水を海に流してはいけない理由」


2022.12.17 放射能で海を汚すな!国際フォーラム~環太平洋に生きる人々の声


マクジャニ博士ら5名の科学者の覚え書き 2022年  ←必読です。問題が満載です。


以下は、DNAにインパクトの論拠です。

トリチウムの人体への影響を軽くみてはならない ビデオニュース.comより

川田昌東先生 

 

 

福島原発のトリチウム汚染水(1)—- 何が問題か

2021年6月13日

河田昌東(NPO法人チェルノブイリ救援・中部)
名古屋大学理学部定年退職。現在、NPO法人チェルノブイリ救援・中部理事。遺伝子組換え情報室代表。専門は分子生物学、環境科学。活動暦多数。

 

はじめに

 事故から10年経った今も続いている福島第一原発の放射能汚染水問題は今後も簡単には解決出来そうにない。その大きな原因は「トリチウム」にある。東電の発表では事故直後の2011年5月~2013年7月にかけて海に流出したトリチウム量は約20~40兆ベクレル(2~4×1013Bq)で、この中には事故直後に流出した高濃度の汚染水や東電が意図的に放出した汚染水中のトリチウムは含まれていない。現在1200個のタンクに貯蔵されている汚染水120万トンに含まれるトリチウムは860兆Bq(8.6×1014)で、今なお毎日150トン増え続けている。東電と政府はこれを基準以下に薄めて海洋放出するという。何が問題か。

 

 

  1. トリチウムって何?

トリチウム(Tritium:略号T)の和名は三重水素と呼ばれ化学的性質は水素(H)と同じである。水素は原子核に一個の陽子(P)、その周りを一個の電子(e)が回っている最も小さい安定元素である。トリチウムは原子核に一個の陽子(1P)の他に2個の中性子(2N)を含み(1P2N)、不安定なため中性子の1個が電子を放出して陽子に変化し、原子核に2個の陽子(2P)と1個の中性子(N)を含む(2P1N)新しい元素(ヘリウム3:3He)になって安定化する。この時放出される電子がベータ線(β線)である。トリチウムの半減期は12.3年である。原子炉の中では、冷却水(H2O)に僅かに含まれる重水(H-O-D)の重水素(D)の原子核に中性子が取り込まれたり、不純物のリチウムや加圧水型原発の冷却水に含まれるホウ素という物質が分解したりしてトリチウムが出来る。従って、原子炉の冷却を続ける限りトリチウムは新たに生産され続けることになる。一方、我々が生きている生活圏でもトリチウムは存在する。過去の核実験や宇宙線の影響で、地球上の水の中には1~2Bq/L程度のトリチウムが含まれている。

 

  1. トリチウムは何故除去出来ない?

化学的性質が水素と同じで、トリチウム(T)を含む水(T-O-H)と通常の水(H-O-H)が区別出来ないからである。セシウム137やストロンチウム90など多くの放射性物質の除去には、その元素の化学的性質を利用し吸着や濾過などを行い除去する。しかし、通常の水とトリチウムを含む水はこうした方法では区別できず除去できない。その結果、沸騰水型原発では原子炉内で年間2兆Bq(2×1012)、加圧水型原発(PWR)では87兆Bq(8.7×1013) のトリチウムが生成されるが、その殆どを放出可能な海洋放出基準が定められている(濃度では60000Bq/L)。余談だが、青森県六ヶ所村の再処理工場が通常に稼働すれば、年間1900兆Bq(1.9×1015)を大気中に、1.8京Bq(1.8×1016)を海中に放出する予定である。トリチウムの放出基準は事実上存在せず、現実追認でありそれが根本的な問題である。

 

  1. トリチウムの何が問題か

トリチウム水は通常の水と同様、経口や呼吸、皮膚を通じて体内に入る。体内でも普通の水と同様に血液や体液を通じて細胞内の様々な代謝反応に関与し、タンパク質や遺伝子(DNA)の中の水素に取って代わりその成分として入り込む。体内で水として存在する場合は新たに入ってくる水に置きかわり体外に排出される(生物学的半減期は12日)が、細胞の構成成分として取り込まれたトリチウムは容易に代謝されず、その分子が分解されて水になるまで長時間留まり(放射線生物学者ロザリー・バーテルによると少なくとも15年以上)、ベータ線を出し続けることになる。盛んに細胞分裂する若い細胞ではより多くのトリチウムを成分として取り込む。体内の有機物に取り込まれたトリチウムは有機結合型トリチウムOBT (Organic Bound Tritium)と呼ばれ、セシウムのように単に元素として体内に存在し放射線を出す放射能とは区別が必要である。しかし国際放射性防護委員会(ICRP)はこの点を過小評価している。トリチウムの出すベータ線はエネルギーが極めて小さく、外部被曝は殆ど問題にならないが、こうして体内に取り込まれると、全てのベータ線は内部被曝の原因になる。

 

  1. DNAに取り込まれたトリチウムの問題

トリチウムは遺伝子DNAの中の酸素や炭素、窒素、リン原子と結合し、化学的には通常の水素原子と同じ振る舞いをするが、半減期とともに電子(ベータ線)を放出して周囲を内部被曝させ様々な分子を破壊する。しかし、それだけではない。トリチウムが壊れヘリウム原子に変わると、トリチウムと結合していた炭素や酸素、窒素、リン等の原子とトリチウムとの化学結合(共有結合)が切断する。ヘリウムは全ての元素の中で最も安定な元素で他の元素とは結合しないからである。その結果DNAを構成している炭素や酸素、窒素、リン原子は不安定になり、DNAの化学結合の切断が起こる。このように、トリチウムの効果は崩壊時に出すベータ線の被曝だけではなく、一般的な放射性物質による照射被爆とは異なる次元の、構成元素の崩壊という分子破壊をもたらすのである。いわゆる照射被曝は確率論的現象だが、DNAの破壊はトリチウムの崩壊と共に100%起こる。

 

  1. トリチウム汚染で起こること

核実験が始まる1950年代以降、トリチウムの生物学的影響に関する研究は数多く行われている。最も広く知られているのは染色体の切断などの異常である。人リンパ球を使った実験ではトリチウム水に晒されると3700Bq/ml 位から染色体異常が起こり、370万Bq/mlではほぼ全ての細胞で染色体が壊れる。DNAの構成要素の一つチミジンの水素をトリチウムで置換した場合、37Bq/ml位から染色体の異常が始まり19万Bq/mlの濃度では100%の細胞が染色体異常を起こす(堀、中井:1976年)。このように有機結合型トリチウムOBTの危険性は通常の放射能による被曝とは次元が違う。生体次元での研究も数多くあり、染色体異常(突然変異)の結果、致死的なガンなどの健康障害が指摘されている。特に問題なのは子宮内胎児への影響である。トリチウム水やトリチウムを含む体内の分子は、胎盤が通常の水や分子と識別出来ないため、そのまま胎児の細胞に取り込まれる。その結果、胎児に異常が起こり、死産や早産、流産などの他、様々な先天異常などの原因になる。米国カリフォルニア州のローレンス・リバモア国立核研究所のT. ストラウムらの研究(1991~1993)ではトリチウムによる催奇形性の確率は致死性ガンの確率の6倍にのぼる。 カナダのオンタリオ湖はカナダ特有の重水原子炉から出る大量のトリチウムによる汚染が知られている。その結果、周辺地域で1978~1985年の間に出産異常や流死産の増加が認められ、ダウン症候群が1.8倍に増加し、胎児の中枢神経系の異常も確認された(カナダ国立原子力エネルギー規制委員会報告1991年)。

また最近明らかになった重大な事実がある。英国の核燃料加工施設でトリチウムを扱う作業に従事した34名について調査したところ、平均被曝線量がγ線は1.94mSv(ミリシーベルト)、トリチウムによるβ線被曝が9.33mSvしかなかったにもかかわらず、血液中リンパ球の染色体異常が多発していた。

 

このように、トリチウムは放射線のエネルギーが低いためにその影響が過小評価されがちだが、ベータ線被曝だけでなく、生体分子の構成成分の破壊を通じて、他の放射性物質とは全く異なる生物への影響もたらすことが大きな問題である。

●こちらの頁も参考のこと。ヒロシマの

 


福島原発のトリチウム汚染水について(3)

「海洋放出は安全」に対する反論

2021年6月24日

河田昌東(NPO法人チェルノブイリ救援・中部)

 

福島原発のトリチウム汚染水の海洋放出について海外での反対も広がっている。4月15日、国連人権理事会の特別報告者は日本政府がトリチウム汚染水の海洋放出を決めたことに対し「深い遺憾の意」を表明する意見書を公表した。一方で、海洋放出を主張する日本の原子力村の専門家らは従来の「トリチウムは安全、これまでも世界中の原発で海洋放出してきた、風評被害対策をすれば良い」と主張している。この小論では、今年6月9日、宮城県女川町議会原発対策特別委員会で講演した茨木大学の鳥養祐二教授の報告について反論する。同教授の議論は国の政策に通じており、海洋放出論の典型だからである。

 

鳥養教授の主張

  1. これまでも世界中の原子力施設からトリチウムの海洋放出は行われてきた。
  2. トリチウムは地球上に既に存在する。
  3. トリチウムのβ線はエネルギーが小さいので影響が小さい。
  4. 1500Bq/Lの飲用水を毎日飲んでも被曝は無視できるほど小さい。
  5. 海洋放出しても希釈されるので安全。
  6. トリチウムの検出は困難。

 こうした主張の根拠は既に知られているICRPのトリチウムによる被ばく線量の計算を基にしたものである。しかし小論の著者(河田)は、これまでトリチウムが生体内の有機物に結合した場合に出来る「有機結合型トリチウム(OBT)」の危険性は、トリチウムのベータ線のエネルギ―吸収を根拠にしたシーベルトの大小では判断できない事を指摘してきた(前出小論参照)。

この点について、鳥養教授は「有機結合型(OBT)トリチウムは容易には出来ない」と主張している。こうした主張は汚染水の海洋放出を主張する専門家の共通認識である

 

反論1) 

 鳥養教授は、OBTは海水中の海藻や植物プランクトンによる光合成で作られるが、光合成で出来るのはセルロース(細胞膜等)で魚や人がそれを食べたとしても、殆どはそのまま外に放出されDNAに取り込まれることはない、と主張している。これは大きな間違いである。海藻や陸上の植物が育つのは主に炭酸ガスと水による光合成だが、その結果、最初に糖類が生成される際に必要な水素(トリチウム)が炭素と酸素に結合する。その出所は水である。こうして細胞内の代謝反応の第一歩が始まる。光合成で出来た糖類は勿論、セルロース合成にも使われるが、細胞が行う膨大な代謝反応で分解と合成が行われ、アミノ酸や蛋白質、RNAやDNAの原料が作られる。植物細胞内の有機物に結合している水素原子の殆どは根から吸い上げた水(陸上植物)、や細胞表面から吸収した水(藻等)に由来する。その際にトリチウム水が存在すれば水素の代わりにトリチウムが取り込まれる。

 トリチウムの環境影響については、過去の核実験による大気や水の汚染がおこり、沢山の研究が行われ論文が発表されている。その最初の論文は1959年に書かれたカリフォルニア大学のV.MosesとM.Calvinの論文である。彼らは緑藻類のクロレラをトリチウム水と14CO2(放射性炭素14を含む炭酸ガス)で培養し、光を当てた場合と暗闇の場合でどのような成分に取り込まれるかを実験した。光合成で最初に出来たのは糖リン酸、リン酸グリセリン、アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、リンゴ酸であった。その後、これらの物質が様々な代謝経路を経て多くの有機物に取り込まれた。

 その後も数多くのトリチウムの取り込みに関する研究が行われた。それらをまとめたレビューがフランスのC.Boyer 等によって書かれた(2009年)。その中でBoyerらは光合成が植物の非交換型有機結合トリチウム(DNAなど)の最も重要な供給源であることを指摘している。

  また原発推進で知られる国際原子力機関(IAEA)は1981年に「いくつかの典型的な生態系におけるトリチウム」という117ページに及ぶ報告書を出している。この中でベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、メキシコ、オランダ、フィリッピン、タイ、アメリカ等の研究者が参加し、トリチウム・ガスとトリチウム水の環境影響、主に動植物による取り込みのメカニズムに関する研究結果をまとめている。

 一例を紹介すると、アメリカのローレンスリバモア研究所はトリチウム水で海藻のアオサを8か月栽培した。また他の研究機関は緑藻のセネデスムスとクラミドモナスを12~42日間トリチウム水で培養しその濃度を調べた。その結果によると細胞内のトリチウム濃度は最終的には培養液中の濃度とほぼ同じレベルにまで達した。細胞内の組織結合性トリチウム(TBT:訳注OBT

と同じ意味)濃度は藻類の種類によって異なるが、培養液中濃度の40~90%に及んだ。TBT濃度が最大に達する時間は培養を始めてから約10日だった。その他、膨大な実験結果とその解釈が記録されている。

 鳥養教授は植物プランクトンや海藻のトリチウム汚染は細胞のセルロースの汚染でありDNAには取り込まれないと主張するがそれは明らかな間違いであり、植物に取り込まれたトリチウム水は細胞の様々な有機物成分の原料となって汚染をもたらす。DNAの汚染もその一部である。

反論2) 

 鳥養教授は光合成では汚染が起こらず、細胞内の有機物のトリチウム汚染は「同位体交換反応」と呼ばれる原子の交換で起こるが、その速度は遅いのでDNA汚染は小さい、と主張する。

細胞内で有機物に結合する水素原子が周辺の水(H2O)と水素原子を交換する「同位体交換反応」は良く知られた現象である。鳥養教授のレジュメでは炭素原子に結合する水素がトリチウムに置き換わる図が示されている。

 同位体交換反応における水素原子の置換は相手の原子で大きく異なる。アミノ酸やATP等の窒素や酸素、リン等に結合する水素は比較的容易に細胞内の水の水素原子と置き換わる。トリチウム水があればトリチウム原子が水素と置き換わり有機トリチウムが出来るし、その逆の交換反応も起こる。これらの交換反応は早いことが分かっている。問題は炭素(C)に結合した水素の交換である。この結合は安定で容易に水の水素原子とは置き換わらない。鳥養教授はこの炭素と結合した水素の交換反応のみを示しているが、それは正しくない。反論1で示したように、OBTの多くは炭素原子に結合しており、そのトリチウムの由来は同位体交換反応ではなく、細胞内の様々な代謝反応である。従ってトリチウム水のトリチウム元素が交換反応で有機物の炭素原子に

結合しにくい事象は汚染の起こりにくい理由にはならない。鳥養教授はこうした事情は知っていながら、敢えて起こりにくい事象を例示し、トリチウム水放出の危険性を過少評価しているのではないか。

 

反論3) 

 魚介類のトリチウム汚染の真の原因は「食物連鎖によるOBTの摂取」である。海産動物の魚介類の多くは食物連鎖によって成長する。小さな魚介類はプランクトンを摂取し、大きな魚類は小さな魚介類を餌にして成長する。水中の無機物を摂取して有機物を合成する事はない。即ち、魚介類の多くは最初からトリチウム汚染のあるプランクトンや藻類、小魚を食べる事によって、有機物として蛋白質や糖、核酸などを取り込み、分解してアミノ酸やブドウ糖、核酸の成分であるヌクレオチド等にしてから自らの細胞成分を合成する。魚介類は最初からOBTを取り込むことで自らのOBT汚染が速く、高濃度になると考えなければならない。DNAのトリチウム汚染の原因として同位体交換は論外である。

 実際の例がある。英国のセラフィールド再処理工場はトリチウム汚染水の大量排出で著名である。データによると2004年のトリチウム年間排出量は3500TBq(テラベクレル1012Bq)で、周辺海域の魚介類のトリチウム汚染はカレイ(200Bq/Kg)、ムール貝(15Bq/Kg)、何れも湿重量あたりである。これに対し排水に有機物が多い英国カーディフ生命科学研究所の排水中トリチウムは2000年に年間100TBqで、セラフィールドの35分の1に過ぎないが、その周辺の魚介類のトリチウム汚染は20000~50000Bq/Kg(湿重量)と、セラフィールドの200~500倍も高い。これは排水中に有機トリチウムが多く含まれているのが原因であることが分かっている。このように、魚介類の餌に有機トリチウムが含まれているか否かで、汚染は大きく変わる。この事に関して注意すべき事がある。魚介類のトリチウム汚染を心配する漁協や鳥養教授も提案している「トリチウム水で魚を飼う実験」である。上述したようにトリチウム汚染の主な原因は水や餌にOBTを含むかどうかであり、汚染したプランクトンや餌を与えない実験は意味がない。

反論4)

 福島原発の汚染水の成分について。

福島原発に貯蔵されている汚染水の量は既に述べた通り、120万トン、トリチウム量は860兆ベクレルと言われている。既に報道されているが、この汚染水は純粋なトリチウム汚染水ではない。トリチウム以外に、ストロンチウム90やヨウ素129、ルテニウム106等の放射能が基準を超えた濃度で全体の約70%に含まれている。東京電力はこれらを再処理して基準以下にしてから海洋放出するというが、除去できるかどうかは確かでない。加えて、大きな問題はこれらの汚染水には放射性炭素14(C14)が含まれている事である。炭素は水中で単独の元素では存在しない。その多くは有機物の形で存在する可能性が高い。即ち、C14とトリチウムを同時に含む有機物の可能性が高い。このC14有機物は東電の試験によればALPSの再処理では除去出来ない。

 また、タンクの一部から硫化水素が発生しており、その貯留タンクには硫酸還元菌が繁殖していた。この菌も当然トリチウムで汚染しOBTとC14を含んでいる。こうした汚染物質を除去しなければ放出された汚染水は速やかに魚介類の汚染につながる。

 何故このような汚染が起こるのか。それは原子炉内に流入する地下水が原因である。現在もメルトダウンした原子炉には毎日140トンの冷却水が投入されているが、その他に山からの地下水が流入している。事故直後は膨大な量が流入した。今も大雨が降れば地下水には山からの汚濁物や泥水が混入している可能性がある。汚染水は決して水道水や蒸留水の様に純度が高くない。

その結果が細菌の繁殖や有機トリチウム(OBT)の発生につながり、最終的には海の魚介類や海産物の汚染をもたらす事を忘れてはいけない。東電は全てのタンクについてOBT含量を分析し除去すべきである。

 


NEW!

 



日弁連の声明 2022.1.20. 福島第一原子力発電所事故により発生した汚染水等の処理 について海洋への放出に反対する意見書