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Ramsar湿地 大山・上池(下池)観察記録



ラムサール条約湿地 大山・上池(下池)の観察記録
ネイチャーポジティブ資料
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2023.12.29 大山 下池畔 草島進一撮影 オオワシ
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2023.12.29 大山 上池 オオヒシクイの飛翔 草島進一撮影 

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大山上池 2023.10.6 6:20AM

 

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2023.9.29日より大山上池 毎週金曜朝観測し、映像・写真を掲載していきます。


3.17 大山上池・下池 標識コハクチョウC28確認 野鳥の会山形支部 探鳥会 オジロワシ オオタカ ミサゴ ハジビロガモ トモエガモ ヨシガモ 他32種類確認

3.15 大山上池 ハジビロガモ 初確認 トモエガモ ミコアイサ オシドリ 


3.10 大山 上池 オオヒシクイ 1羽

3.8 大山 上池 マガン10
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3.1 大山 上池 ガン類0 コハクチョウ 130

2.23 大山上池 ガン類0 コハクチョウ 200  
    下池 マガン1


2.17  大山上池 オオヒシクイ6羽飛び立ち 下池 カワアイサ
コハクチョウ上池 250 下池 400 

2.9 大山 上池 ガンは見られず

2.2 大山上池 世界湿地の日 記念観察会 マガン23

1.26 大山上池 マガン30羽飛び立ち

1.19 大山上池・下池 オオヒシクイ 46羽 カワアイサ ミコアイサ オオワシ

1.12 大山上池 ガン類0

1.5 大山上池  オオヒシクイ89羽飛び立ち

2024.1.3 オオヒシクイ 101羽飛び立ち



新春!1.2 大山 上池 オオヒシクイ マガン 272 飛び立ち  下池 コハクチョウ トモエガモ


大山・上池 2023.12.29  マガン187  オオヒシクイ 194+50  244  下池 オオワシ



大山・上池 2023.12.22-23  シジュウカラガン マガン+オオヒシクイ800羽 飛立 居残り マガン オオヒシクイ 200

大山・上池 2023.12.15

大山・上池 2023.12.1


大山・上池 2023.11.24

大山・上池 2023.11.17

大山・上池 2023.11.10

大山・下池 2023.11.6

大山・上池 2023.11.5

大山・上池 2023.10.28

大山・上池下池 2023.10.21 コハクチョウ飛び立ち 3000羽

大山・上池2023.10.20 コハクチョウ飛び立ち 2000羽


10.15 大山上池・下池 マガン初確認80羽

10.13大山下池 コハクチョウ

10.13大山上池 下池 コハクチョウ

10.6.2023 コハクチョウ 今季初観測

9.29.2023.11.27

 


遠征編

伊豆沼2023.12.9 EAAFP


八郎潟2023.11. 27


2023.1.3〜2.26 オオヒシクイ・マガン・シジュウカラガン@大山上池 観測状況


2023年1月3日から大山上池(一部下池)の調査を毎朝、特にオオヒシクイ・マガンの飛び立ちを観察、調査してきました。1000羽を超えるガン類の飛び立ち。ネイチャーポジティブの象徴、シジュウカラガンを確認。
 大山 上池・下池は、世界的に価値のある、ラムサール条約湿地 水鳥の楽園であると再確認しました。


1月3日から2月26日まで、ほぼ、毎朝調査する中で、のべ7000羽を超えるマガン、オオヒシクイを確認。

昨年 ラムサール賞 ワイズユース賞を受賞した、呉地正行さんが 3羽という絶滅危機から、復活に取り組まれた希少種 シジュウカラガンも上池で2月17日、15羽 2月21日に10羽確認。調査員の方にお伝えし環境省の報告に加えて頂きました。

2月17日、18日には、1000 羽を超えるマガン、オオヒシクイが飛びたちました。

上池からはほとんど、水田のある東側に飛び立つのですが、下池から新潟方面に向かって飛ぶ群れは、確実に今般の風車の建設予定地の真上を飛んでいくことを4,5回に渡って確認しました。北は秋田の八郎潟、南はオオヒシクイの国内最大の越冬地である福島潟、佐潟への中継地として上池下池をガン、コハクチョウが使っている事を実感しました。矢引の計画の方法書にもガン、コハクチョウの渡りルートであることは示されており、風車などによる衝突や渡りルートの回避など、影響は必須と感じました。

また、この間、上池下池周辺でオオワシ3回、オジロワシ2回、オオタカ3回 ハヤブサ1回など、稀少猛禽類も目にしました。オジロワシなど猛禽類の風車へのバードストライクは国内で、オジロワシだけで70事例、鳥類全種で580例。大変危惧されます。


*観測、撮影 機器 Nikon 双眼鏡 Kowa TSN-660 60倍 プロミナー  カメラ NikonD5300+Tamron 18-400mm  SONY ビデオカメラ FDR-AX700  Libec TH-X 三脚  一脚 Kenko スマホアダプタ iphone13(プロミナー撮影時)


シジュウカラガン 大山・上池 2月21日  稀少ガン シジュウカラガン 10羽をマガンの群れの中に発見。飛び立ちまで。


1000羽以上の飛びたち 大山・上池 2月18日

2月18日 ズームアップ映像


2月17日 写真 マガンの飛び立ち


 

ガンの飛びたちまとめM3-1JPEG

 

 

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シジュウカラガン を大山 上池で15羽 発見 2月17日

シジュウカラガン 大山 上池 10羽 発見 2月21日

マガン、シジュウカラガン ヒシクイ 翔ぶ 大山 上池  2月21日


大山 上池 2月11日 プロミナーからの映像。


大山 上池 2月19日


 

大山 上池 2月20日


大山 上池 2月22日


大山 上池 2月23日


大山 上池 2月24日


大山 上池 2月26日



323906507_1012789979679398_2004062758505518515_nオオワシ 下池 1.3  朝6時から10時までおうら探鳥館に居る中、目の前を翔ぶオオワシ発見。

394A881C-6C51-4A9E-9F5E-F3878D1448D6_1_105_cオオワシ2オオワシ1

オオワシ 上池 1/30  向かって飛んできました。ノートリミング

 

オジロ113

オジロワシ 下池

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ハヤブサ 上池325756722_567081871666586_6561179355231732874_n

オオタカ 下池taka108オオタカ 上池

 

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オオヒシクイ

 

 

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マガンの群れの飛び立ち


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マガン、オオヒシクイ 1000羽以上の飛び立ち
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マガモ 他
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254CE118-16D3-4EC1-AFD0-235A837A24C8_1_105_cキツネ(笑)


 


ちなみに庄内某所の田んぼで撮った ハクガンとシジュウカラガン 2月15日


ハクガン 庄内某所の田んぼ 2月13日


2/27 大山 上池 マガン、オオヒシクイ 6時7分 140羽 飛びたちました。


2/28 大山 上池 ガンの姿は一羽も見当たりませんでした。 コハクチョウは380羽確認。


5/2 大山 上池 ヨシガモ、ハシビロガモ コガモ 確認。

 


関連資料


参考に 宮城県若柳町でおこなわれたガンの国際シンポジウムのエクスカーションで訪れた伊豆沼 2023.1.19
20万羽越冬する伊豆沼 凄い風景です。


呉地正行さんの講演会 1月15日ほとりあで開催  ラムサール賞受賞者  大山上池・下池の登録の際 ご尽力下さった呉地正行さんの講演会。冒頭に大山 上池・下池の特徴が述べられ、ラムサール締結国会議での受賞式のエピソード、貴重なガン、3羽から1万羽に回復させた、シジュウカラガンの復活の経緯、などが述べられています。

 

 

 



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発信器を使った追跡プロジェクト 山階研究所 澤先生の報告。 オオヒシクイは、カムチャツカ半島から、北海道を越えて大潟村、大山上池・下池を通って福島潟、又それ以南にいくことが示されています。

国際シンポジウム「東アジアにおけるガン類の保全管理に向けて」 2023/1/28(土)10:00-16:30 於宮城県栗原市はさま会館


新潟市 ラムサール湿地自治体登録記念 ラムサールシンポジウム2023.  2.5

 


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この風景を守りたい方は、この署名活動にもぜひご参加下さい


2023.3月議会 一般質問

以上の調査データを紹介しつつ、一般質問をいたしました。



1)風力発電の問題について

先ずはじめに野鳥への影響について 伺います。

私は、この1月3日からほぼ、毎朝、明け方に大山上池に行き、特に国の天然記念物マガン、オオヒシクイの飛び立ちの調査をおこなってきました。

この間、のべ7000羽を超えるマガン、オオヒシクイを確認しました。

又、昨年、呉地正行さんがラムサール賞を受賞したきっかけでもある絶滅危惧1A類のシジュウカラガンを上池で2月17日、15羽。2月21日に10羽確認し、環境省の報告に加えて頂きました。

2月17日、18日には、1000羽を超えるマガン、オオヒシクイが飛びたちました。コハクチョウは今年も5千羽。カモ類は約2万羽確認されています。
 改めて大山 上池・下池は、国際的な価値のある、ラムサール条約湿地にふさわしい、水鳥の聖地である事を実感しました。

ガン類は、上池からはほとんど、水田のある東側に飛び立ちますが、下池から新潟方面に向かって飛ぶ群れは、確実に海岸沿いの尾根伝い。建設予定地の真上を飛んでいくことを4、5回に渡り確認しました。

ガンの一種、オオヒシクイに発信機をつけた山階(やましな)鳥類研究所の調査報告でも北は秋田の八郎潟、南はオオヒシクイの国内最大の越冬地である新潟市の福島潟、佐潟(さかた)との中継地として上池・下池に飛来しており、最近は冬の間、何回も移動する傾向がある。との事です。風車によるバードストライクや飛来地の変更などの影響は十分に想定できます。
また、この間、上池下池周辺でオオワシ3回、オジロワシ2回、オオタカ3回、ハヤブサ1回、等の稀少猛禽類も目にしました。キツネも2回みました。

風車によるオジロワシのバードストライクは国内でも70例確認されており、猛禽類にとって特に脅威となっています。

こうした日々の調査結果でも、風車による悪影響は十分想定できます。

又、昨年のラムサール締結国会議COP14に出席した関係者の報告会の際に確認しましたが、そもそも、水鳥の国際的保護地区である世界で2,314箇所のラムサール条約湿地は、基本的に各国、特別保護地区としてきちんとゾーニングされており、5k圏内に風力発電所があるような事例はほとんどありません。6MWもの巨大風車を、ラムサール湿地2kmに建てるなどという計画は、完全に非常識で、国際的に非難されかねない。ということは、しっかりと認識すべきであります。 

又、以前も伝えましたが、環境アセス上で、開発業者が依頼する鳥類の調査は、決して十分なものではなく、アセス上の意見に対する配慮には「建設中止」というゼロオプションはない。要するに、アセスに踏み込めば、事業を概ね認めることになる。というのが国内事案の通例と言うこと。

●又、2021年10月の法改正で、今回の計画では、配慮書段階での説明や意見受理が省かれ、いきなり、方法書段階に踏み込まれる、リスクもあったと思います。

 風力発電では、環境保全上重要な地域を、「事前に避けるべき」、と言う「予防原則」が、バードライフ・インターナショナルの勧告でもあり、私は日々調査して更に確信をもちましたが、これまで、有識者の声を集め、予防的措置として、この段階で、判断された、今般の市長の中止要請は、極めて妥当であると、評価いたします。
現在集まっている反対署名8千名以上の方々、地元加茂、大山含む多くの市民を初め、野鳥研究の関係者、自然を愛する全国の方々が、大変評価されています。

そこで、改めて、ラムサール条約湿地を、世界遺産のように、5kmのバッファゾーンを含めて、ゾーニングで規制することを、ガイドライン上でしっかりと、明記頂きたいと思います。ご見解を伺います。


次に、風車騒音と健康被害について

前回、風車騒音による健康被害は、1000人規模の疫学調査で明らかになっているという北大、田鎖先生の見解を、ご紹介しました。

今般、その疫学調査を実際におこなった、元 国立科学研究所 主任研究員 
大分県立看護科学大学 影山隆之(かげやまたかゆき)教授に、大分市でお会いし、インタビューをして参りました。

影山先生のチームは、風車騒音による睡眠影響を調べようと言うことで、国際的な精神障害の診断基準の中で、「深刻な不眠」と思える方だけを拾うような質問の仕方を開発。全国3つの調査チームに分けて1件1件、訪問して聞き取るという手法で、3年にわたり調査をし、2年間分析した結果、風車音が41dB以上で不眠となる確率は5倍になることがわかり、統計学的に有意、と結論したとの事でありました。

●騒音などによって深刻な不眠になっているという状況は、健康が侵害されていると言って良い。●風車音のように規則的、間欠的に発する音は、定常的な音よりも睡眠を妨害しやすい。●風車騒音は、睡眠を妨害し、健康被害をもたらすので、
風車の騒音レベルが高い場所に人家があるべきではない。十分な隔離距離をとるべきだ、との見解をいただきました。

又、北大の田鎖先生が開発されたソフトウエアは、風車建設を検討する際に大変有用で、自治体などで大いに活用すべき。という見解もいただきました。

田鎖先生は4MW風車では、1基でも隔離距離が2Km以上必要と、示されています。又、加茂の風車では影山先生の調査を踏まえて39人、矢引では71人の不眠症のリスクという試算結果がでています。

●以上を踏まえ、特に大型風車と民家の隔離距離について、ガイドラインの見直しを、改めて求めます。見解を伺います。

 

又、現在稼働中の三瀬八森山の風車音は、800m離れた場所からも、風切り音が、空を鳴らす、耳障りな反復音が聞こえます。JREの事後報告の資料からは、入眠妨害のレベルである80HZ(ヘルツ) 41dB(デジベル)以上の地域も見られます。

●睡眠障害などが生じていないか。三瀬、小波渡で、(しっかい)調査をおこなう必要があると思いますが、見解をうかがいます。


3)次に、三瀬矢引風力発電 最大4.3MW 7基の建設について伺います。

●現在稼働している、三瀬八森山風車の野鳥のJREの事後調査の報告書に対して、環境省の担当者から、「バードストライクの調査が1ヶ月2度程度では調査にならない。」事業者は、「あまり影響はない」と言及しているが、そう評価するには、あまりにも情報が不足しており大変問題。もっと高い意識と緊張感を事業者に持ってもらう事が必要。との見解を頂きました。

●風車騒音の事後調査については、報告が全く科学的とはいえず、調査頻度、風力、調査手法が不明。と田鎖先生から御指摘いただきました。事業者にはその旨伝え、回答が来たものの、全く回答になっていません。

●また、今回2月5日、加茂や大山の住民をはじめとする市民有志で企画した「風力発電を考える集い」では、事業者からの事業説明を求めていましたが、全く理由なく拒まれております。昨日の議論で加茂住民に対しても、フォトモンタージュを見せたのはたった4名との事でしたが、こうした事業の説明責任を果たそうとしない姿勢は、基本的な企業コンプライアンス違反であります。

●で、矢引の事業の事になりますが、「考えるつどい」では、矢引の風力発電計画について、上郷の住民の方から、三瀬八森山風車との累積的影響や、西目と類似する地質構造の危険性から、いったん凍結してほしい。との声があがりました。

この御指摘はごもっともで、風車騒音の点で、三瀬八森山風車との累積的影響で、加茂の31名よりも多い、71名の不眠症を引き起こすという試算結果がでています。配慮書、方法書への環境大臣、経産大臣意見でも複数の住居及び学校への影響が懸念されていますし、観光地である由良への影響も懸念されます。

又、野鳥への影響の面でも「ラムサール条約湿地への影響が懸念される。」という意見が経産大臣、環境大臣名ででています。

加茂の6MW風車は論外の巨大さです。が、矢引に計画している4.3MW風車も、秋田港で1月31日に稼働した、洋上風力発電4.2MWと同等の大きさ、いわば洋上向きの巨大風車であります。4MWでは2kmの隔離距離が必要という指針にも反します。

杜撰な事後調査、説明責任を果たさぬ姿勢、という点で、この事業者は問題であり、●風車騒音と鳥類の影響を踏まえ、私はこの矢引の計画も予防原則に従い中止、撤退を求めるべきと、考えます。当局の見解をお伺いします。

●又、事業者の説明責任についてですが、現行の「立地2km範囲内の地域住民への説明責任では、今回のラムサールの件など、市全体への影響がある案件では不十分であります。「全市民に対して説明責任がある」というガイドラインに直ちに変更を求めます。見解を伺います。


2)ラムサール条約湿地と生物多様性戦略について

 

今回、風車問題で焦点になったラムサール条約湿地、についてですが、市民の多くが、その重要性を理解されていない事を痛感させられました。

基本的に広報不足です。

昨年11月スイスジュネーブで開催された、ラムサール条約第14回締約国会議では、SDGsの達成につながる湿地活動。又、交流、教育、参加、普及啓発、これらをCEPA(シーパ)といいますが、これらの新しいアプローチをおこなう事が決議されました。
又、12月のカナダモントリオールで開催された、生物多様性条約第15回締約国会議では、正式に2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30」が目標として定められ、ネイチャーポジティブ 生物多様性を含めた自然資本を回復させる、と言う目標が、経済界でもカーボンニュートラルに並ぶ、キーワードとなりました。

又、自然環境学習拠点である、ほとりあ10周年ということもあり、いくつかの提案をしたいと思います。

一つ目が、広報の充実とラムサール湿地をもつ自治体との交流について 

この間、宮城県、伊豆沼、蕪栗沼、化女沼などのラムサール湿地と大崎市。福島潟、佐潟(さかた)をもつ新潟市。又、秋田県大潟村を訪れ、関連施設などを視察し、ガンの国際シンポジウムで、全国の湿地管理者や研究者の方々と情報交換しました。それぞれの湿地で県と連携した広報活動など、取り組みがおこなわれています。

今年10周年になる「ほとりあ」の取り組みの中で、特に外来生物駆除の取り組みは、環境省が2022年に作成した「アメリカザリガニ対策の手引き」でも掲載されています。直近には山形市の小学校や岡山県の高校、兵庫県の中学校と外来生物のオンライン学習の依頼が来るなど、全国の子供たちの環境教育の一助にもなっているそうですが、各地の湿地管理者の中でも大変評価されていました。

ぜひ国、県にもはたらきかけ、全戸配布のリーフレットをつくるなど、「ラムサール湿地の広報面での充実」、拠点施設、「ほとりあ」の充実とともに、ガンカモ類やコハクチョウの飛来地のネットワークとして拠点施設間の交流、連携を深め、施策を前進させていただきたいと考えますが、見解を伺います。

又、特に、ラムサール湿地でガンやハクチョウが飛来する湿地のほとんどが参加しているEAAFP(東アジア・オーストラリア地域 フライウエイ・パートナーシップ)への参加を直ちにおこない、特にガンカモ類の飛来数などの情報共有や発信をおこなって頂きたいと思いますが、如何でしょうか。伺います。


2)次に湿地管理計画についてです。 

昨年ラムサール賞を受賞された呉地正行さんが1月に「ほとりあ」に講演でいらしたときに上池、下池をご覧頂き、ご提案いただいたのは、昨今のカモやオオヒシクイの減少の原因を探る為の調査やラムサール湿地の管理計画をたてることでありました。大崎市では、沼周辺の水田も登録された蕪栗沼があり、ラムサール湿地管理計画に基づいて管理され、「ふゆみずたんぼ」などの取り組みがおこなわれています。こうした取り組みをモデルに「ラムサール湿地管理計画」を策定されてはいかがかと思いますが見解をうかがいます。

次に、湿地自治体について です。

2月5日には、国内初のラムサール条約湿地自治体となった新潟市、出水市(いずみ)市が参加しての記念シンポジウムが新潟でありました。大変有意義なものでありましたが、鳥類の調査体制として新潟市では20年以上、10月から3月まで毎週金曜日ガンやハクチョウ類の飛来数調査が市民有志で継続されています。出水市では地元の中学生が60年、伝統的にナベツルなどの羽数(はすう)調査をおこなっています。自治体認証を獲得するベースにはこうした地道な鳥類調査の蓄積があったと伺いました。ぜひ、当市でも湿地自治体を目指し、そこからバックキャスティングして一つ一つの施策を構築して頂きたいと思いますが、見解をうかがいます。


最後に、ネイチャーポジティブ経済についてです。

「ネイチャーポジティブ」とは、生物多様性の減少傾向を食い止め、 生物多様性を回復させることであります。前述したように、Cop15で、30by30が締結され、ネイチャーポジティブがカーボンニュートラルとともに、世界の目標となりました。

世界経済フォーラムの報告書では、世界の国内総生産の半分以上の約44兆ドルが自然の喪失によって潜在的に脅かされているとしており、ネイチャーポジティブ経済に移行することによって2030年までに約4億人の雇用の創出と年間最大10兆ドルのビジネスチャンスが見込めるとしています。

トキの復元の取り組みをしている新潟県佐渡市では、昨年、産官学連携して、「生物多様性保全はグローバルビジネスの時代へ」というシンポジウムをおこない、自然資本経営としての農業、食文化産業、観光等のあり方を議論し、市長が「ネイチャーポジティブ宣言」を表明しておられました。

ラムサール湿地をはじめ、自然信仰の修験道文化が現存する出羽三山、高山帯から海洋までの生物も文化も多様性に富む当市は、その新たな経済を育むモデルにふさわしい地域と考えます。ぜひ「ネイチャーポジティブ宣言」を掲げ、30by30や自然資本の経営に積極的に取り組んでいただきたいと考えます。ご見解を伺います。

 

伊藤市民部長

初めに、鶴岡市自然学習交流施設「ほとりあ」の充実、広報等でございますけれども、これにつきましては、全国のそういった関連する拠点施

 設間の交流、連携についてということでお答えさせていただきますが、ほとりあにつきましては、県のみどり豊かな森林環境づくり推進事業

 交付金を活用し、庄内自然博物園構想推進協議会において、民間の助成金の獲得なども含め、財源をしっかり確保しながら、総務省の地域お

 こし協力隊制度なども活用し、自然学習、それから広報活動に取り組んでいるところです。今後とも、国・県に対して支援を求めながら、ほ

とりあや本市環境フェアなど、そういった場を通じまして環境学習の充実や広報、周知活動、こういったところをより充実させてまいりたい

と考えております。

また、本市では、ラムサール条約登録湿地関係市町村会議の会員となっておりまして、大山 上池・下池がラムサール条約湿地として登録さ れてから10年を迎えた平成30年には、記念式典 やシンポジウムの開催に合わせ、当該会議を本 市において開催し、交流を深めております。今 後も、ラムサール湿地の保全活動方法や普及啓 発方法についての知見を高めるべく、他の登録 地との情報交換に努めて、併せて周知等にも努 力してまいりたいというふうに考えております。

 次に、フライウェイ・パートナーシップについてお答えいたします。

 このパートナーシップは、渡り鳥の保全に関わる様々な主体によります国際的な連携協力のための枠組みとして、鳥類の重要生息地の国際

的なネットワークを構築するもので、加盟団体は得られた情報を基に普及啓発及び保全活動を促進することとされております。御提言ござい

ましたこのネットワークへの加盟につきましては、現在取り組んでおります保全と再生、それから交流と学習、賢明な利用に取り組む等の中

で検討してまいりたいと存じます。

 また、鳥類の調査体制につきましては、国で鳥獣保護区管理員を雇用し、野鳥の生息状況を調査実施しております。調査で得られた情報に

つきましては、ほとりあのホームページでも情報を公開、発信しておりますし、引き続き国の管理員との情報交換を行い、市民へも市のホー

ムページなどで情報発信するなど、御利用いただけるよう取組をしてまいります。

 次に、ラムサール条約湿地管理計画の策定についてお答えいたします。

 現在大山上池の管理につきましては庄内赤川土地改良区、大山下池につきましては西郷土地改良区が管理を行っております。本市といたし

ましては、両改良区の考えを伺いながら、市として管理計画にどのような関わり方ができるのか、大崎市など他自治体の例を参考としながら

研究してまいりたいと考えております。

 なお、現在上池・下池で取り組んでおりますのは、改良区さんの御理解、御協力の下、水位調整を行いながら、外来生物、植物の増加を防

ぐことや水質改善の研究、それからエコトーンと言われる陸地と水辺の境目の植生調査など、山大農学部の先生からの御協力もいただきなが

ら進めているところでございますので、こういったところも引き続き調査・研究しながら検討してまいりたいと存じます。

 次に、ラムサール条約湿地自治体認証についてお答えいたします。

 フライウェイ・パートナーシップへの参加と同様に、湿地の重要性について市民の皆様の意識の醸成や保全活動への参加などの状況を伺い

ながら、認証を受ける条件など、国からの助言を求めてまいりたいと存じます。また、鳥類の調査については、先に述べましたように、大山

上池・下池については、国が雇用する鳥獣保護区管理員により野鳥の生息状況調査が実施されておりますので、さらなる調査の蓄積の必要性

も含め、他地域の事例等を参考にしながら、有効な方法を研究してまいりたいと考えております。

 

最後にネーチャーポジティブに係る取組についてお答えいたします。

令和4年12月に開催された国連生物多様性条 約の第15回締約国会議において、ネーチャーポ ジティブ、自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め、反転させるための緊急の 行動を取るということが2030年までの目標とさ れました。これを受け、国の次期生物多様性国家戦略の素案の中でも、ネーチャーポジティブ を実現する持続可能な経済活動の実現に向けた取組を基本戦略の一つに盛り込むというような方向で検討されているということを承知しております。本市においても、第2次環境基本計画において、一つの柱として生物多様性の保全を掲げておりまして、重要な取組であると位置づけておりますので、今後の国の動向や他地域の取組などを見ながら、この考え方を自然学習など今後の取組に取り入れてまいりたいと考えております。

草島 今回、上池で日々観測していますと、大阪の喧騒から離れて自然豊かなところを探してこの鶴岡に移住してきました。ここの自然はすばら

 しいですねとの声をいただきました。世界で評価された湿地がここにあるという価値、こうした一つ一つがネーチャーポジティブ経済につな

 がっていくのだと思います。今般の市長の決断というのは、このネーチャーポジティブの時代にふさわしい判断だと私は高く評価をしており

 ます。ぜひこれを契機に、新しい経済を前に進めていただきたいと思いますが、最後に市長の御見解をお伺いします。

○市長 皆川 治  今草島議員さんのほうから御紹介がありましたこのネーチャーポジティブ、 国の次期生物多様性国家戦略の中でも盛り込ま れていくということでございますので、こうし た考え方についても理解を深めまして、生物多様性、またこの湿地の重要性について、しっか り認識をして取り組んでいきたいというふうに 思っております。

○2番 草島進一議員 ありがとうございました。 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 終わります。


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