国の治水策の転換!
朝日新聞 トップ記事より。———————————-
あふれさせる治水へ、住宅周囲に堤 国交省方針
2006年08月13日08時44分
国土交通省は、伝統的な水防技術「輪中堤(わじゅうてい)」や「二線堤(にせんてい)」を活用し、河川の水があふれることを前提として洪水から住宅地を守る「洪水氾濫(はんらん)域減災対策制度」(仮称)を来年度から創設する方針を固めた。次の通常国会で関連新法の制定をめざす。これまで国の治水政策は、あらゆる河川に堤防を築き、上流にダムを建設して洪水を封じ込める手法に重点を置いてきた。これに対して公共事業費が減り続ける中、記録的豪雨が頻発する近年の傾向を踏まえ、川があふれても住宅被害を最小限にとどめる新しい治水の仕組みづくりを本格化させる。
新制度は、堤防整備が遅れている川の流域のうち、過去に浸水被害にあった地域が対象。住宅密集地区と田畑の境にある道路や鉄道の線路などをかさ上げするなどして二線堤を築き、住宅地を洪水から守る。また、二線堤で守れない地区は、住宅地の周りに輪中堤を造り、浸水が中に及ばないようにする。
事業対象地域の川沿いの堤防は、本格的改修の時期までは小規模なまま(小堤)にとどめ、豪雨の際に川の水が安全にあふれるようにする。あふれた水が流れ込む地区は、氾濫時に果たす遊水池的な機能を損なうことのないよう、建物の敷地での盛り土や開発を規制する。
二線堤や輪中堤を活用した治水は80年代以降、肱川(ひじかわ)(愛媛県)や吉田川(宮城県)などで先行的な事例があるが、自治体独自の取り組みだったり、国道整備を兼ねていたりし、事業の対象地域を決める手続きの統一的な規定がなかった。
対象地域は、川を管理する国や都道府県が地元の同意を得て指定する。選定をめぐり不公平感を持たれないよう、計画策定の際には住民などの意見を聴く機会を設ける。
明治以来の河川改修は、下流から上流へ続く堤防を築き、堤防で洪水を防げなければ、ダムを造るのが基本。多額の費用と時間がかかるため、中上流域の整備は遅れがちで、各地で浸水被害が繰り返されてきた。
一昨年、全国で大規模な水害が相次いだことから、国交省は昨年から洪水の「封じ込め」から「減災」へと治水政策を転換。新制度はこうした考えに基づく。
一方、治水上の安全度の「格差」が固定化する可能性があることから、不安視する農村部選出の与野党議員らの抵抗も予想されるなど新法制定への障害も少なくない。
国交省は「流域すべてを洪水から守る目標を捨てるわけではないが、完全な改修には時間がかかる。氾濫が頻発する農村部では、あふれるのを前提とした治水を一つの手法として採り入れたい」としている。
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まさに、今本先生や大熊先生が提唱されている「真の治水」の方向性をようやく国土交通省が打ち出し始めたということだ。
これをトップ記事として採用した朝日新聞にも拍手を送りたい。
ようやくさいた

県に意見書提出。
最上小国川のダム問題。
7月24日のフォーラムでの今本博建 京都大学名誉教授の発言を受け、蒼々たる研究者の皆さんが意見書を作成してくださり、アウトドアライター天野礼子氏がわざわざ来山し、意見書を提出。
以下のもの。
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平成18年8月11日
意見書
山形県知事 斉藤 弘 殿
山形県土木部長 池田 隆 殿
京都大学名誉教授 今本 博健
新潟大学教授 大熊 孝
法政大学教授 五十嵐敬喜
アウトドアライター 天野 礼子
私たちは、この度、ダムのない天然アユ溯上河川・小国川を愛する 人々の要請で小国川を訪問し、貴職らが進められていますダム案よりも、ダムに頼らない“真の治水”を地元住民らと考えるべきであるという想いに達しています。
しかしながら、最上川水系流域委員会最上地区小委員会(大久保博座長)は、平成18年5月23日付にて「最上小国川の治水対策として現制度の下では穴あきダム案に依るほかないと考えられる」との報告を最上川水系流域委員会委員長に提出されています。
最上小国川は、「松原アユ」で知られます全国屈指の清流であり、ダムの計画地点下流には赤倉温泉と瀬見温泉が存在しています。もし仮に穴あきダムが建設されたとしますと、松原アユをはじめとする自然環境に重大な負の影響が及ぶ恐れがあるうえ、計画規模を超える洪水に襲われますと壊滅的な被害が発生する可能性があります。したがいまして、穴あきダム以外の“真の治水対策”を採用すべきであると確信いたしまして、本意見書を提出いたします。
以下に、穴あきダムの問題点と真の治水対策を説明いたします。
穴あきダム(流水型ダムともいう)は、堤体底部に放流口をもち、平常時は水を貯めないので、魚や土砂の移動が妨げられず、環境への影響は軽微であると説明されています。しかし、穴あきダムにはつぎのような問題があります。
平常時の上流からの流れは、暗くて長いトンネル状の放流口を抜け、流れの勢いを弱める減勢工(エンド・シル)に空けられた狭い隙間を通って、下流へと出ていきます。隙間での流れは非常に速く、魚の溯上が妨げられます。
洪水時の流れは、一時的とはいえ、ダムの上流に貯められますので、土砂の堆積が発生します。この土砂は洪水の引き際に水の流れとともに排出されますが、かなりの部分がそのまま残ります。このため穴あきダムにも堆砂容量が設定されるのです。土砂流出の多い最上小国川の場合、総容量630万m3のうち実に24%の150万m3が堆砂容量です。
また、洪水時の流れは泥水ですので、樹木などに泥が付着し、枯れる恐れがあるうえ、その後の降雨で付着した泥が洗い流され、下流は濁流 となります。沈殿していた有機物が徐々に溶出し、水質が悪化する恐れもあります。
計画規模を超える洪水が発生した場合、洪水はダムを越えて流れますので、下流での洪水流量が急激に増え、逃げ遅れなどにより被害を激甚化する恐れがあります。
さらに、穴あきダムは中小洪水をほとんど調節しませんので、自然環境にとって重要なダイナミズムは確保されますが、別の支川の流域に降雨が集中して下流が危険状態となっても、それを緩和することができません。
穴あきダム完工後の湛水試験では、数か月という長期間にわたって水を貯めますので、水没した動植物が死に絶える恐れがあります。
周辺の景観が劇的に改変されることはいうまでもありません。
このように、穴あきダムは、洪水調節機能に欠陥があるうえ、自然環境 に及ぼす影響を無視できません。
現在の治水計画は基本高水を河道とダムに配分するようにしており、超過洪水に対する配慮がなされていません。洪水は自然現象ですので、 超過洪水が発生する可能性はつねにあります。したがいまして、いかなる大洪水に襲われようと、少なくとも壊滅的な被害を避けるようにすべきです。
また、「これからの治水は、まちを安全にするだけでなく、まちを活性化するようにすべき」です。それが“真の治水”です。
最上小国川ダムは赤倉温泉の治水には一定の効果がありますが、まちの活性化にはつながりません。したがいまして、まず河床掘削と拡幅によって河道の流下能力を増大することを優先的に実施すべきです。河道内の建物は再配置し、清流に向き合った温泉街をつくることで、まちが活性化します。矢板やソイルセメントを用いた止水壁の設置により、河床掘削の湯脈への影響を防止することができます。河道の流下能力を超える洪水が発生した場合は、早期避難によって人命の損傷を防ぎ、高床式などの建物耐水化によって物的被害の軽減を図るべきです。
山形県におかれましては、一時しのぎの「穴あきダム」を採用することなく、“真の治水”を実施して、地域に永続的な繁栄がもたらされるように、可及的速やかに勇気ある英断を下されますよう要望いたします。
以上
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ダムよりも真の治水。そして持続可能な赤倉温泉のまちづくりが提案されている。実に秀逸な意見書だ。
最上川流域委員会で無視されないようにワッチしていかねばならない。
あーあ
酒田は公募委員50人で総合計画策定 鶴岡は 公募委員なし この差は協働のありかたとして 大きいと思う。
慶応大学 補助金申請所 情報公開
慶応大学 補助金申請がようやく提出されたとの情報を企画調整課より得、情報公開申請をおこなう。県に提出されたのも7月末近くになってから。市に提出されたのも同時期。申請の許可がおりたのか、情報公開できるとの事で早速申請にいく。
長野ショック
田中氏の応援に1週間。車中泊を繰り返しながらの応援から開票結果、田中の敗戦の弁を聞き、月曜 日の朝に戻って公益文科大 大学院の公開講座SWOT分析の講座を受けて、ようやく眠って、今朝は辻立ち、今僕の 事務所からUPDATEです。
「ああ、もったいない」
僕の一言の感想です。
田中県政の6年間。財政再建団体手前の最悪の赤字状態で引きつぎ、この6年間で透明度などの、行財政ランキングでトップにした実績。923億もの借金を減らしてきた実
績、脱ダム宣言をおこなって、地域雇用のため、また、真の治水のためにはダムではダメなのだとい う発信をしてきた点。木製ガードレール。宅幼老所。
ガラス張りの知事室。知事会見の動画中継……..
日曜日、選挙戦のビラ配りを通じて 知り合うことができた渓流保護ネットワークの田口さんに案内 していただき、松本市内の砂防ダムを撤去し、渓流を再生させる事業を行ったところを視察しまし た。田口さん曰く「田中には、本能的に市民のサイドにつく姿勢がある」
脱ダム宣言以来の長野県では、それぞれのダム開発が検討されている現場で、流域委員会が設置さ れ、議論が展開されていました。構成メンバーも、ダムに依らない治水を唱える委員をダム推進派よ りも多めといえるぐらいいれて、基本高水についても徹底的に議論されてきました。
田口さんたちが取り組んでいる脱砂防ダム事業ですが、トップが、こうした砂防ダムを監視する姿勢があるおかげもあって、様々な対案を話し合うことができ、実際、砂防ダムの撤去、再生がおこなわれていたとのことでした。
これは、山形でもお手本にしないとならないと感じました。
また、木製ガードレールですが、これは間伐材を活用したガードレール。鉄製のガードレールは全国 で5社の会社で独占されているものだそうですが、これは森を健全化する間伐から生産まで地域雇用に貢献します。見た目も頑丈で、自 然の景観にマッチしていました。
森林整備予算を大幅に増やして、コンクリートのダムよりも、緑のダムとして森を健全にすることが 重要。こうしたことは、我々が想像する以上の集中豪雨が頻発する現在、治山、治水の新しい常識に しなくてはいけない本来のあり方であり、これも長野が最も進んでいると感じていました。
選挙最終日の午後11時55分。「あともどりはもったいない!」とお手製プラカードをもち、松本在住の川田龍平君らと松本駅前に立ち、呼びかけ、勝利を祈念しましたが、、、。
この長野ショックが全国に波及する影響は計り知れません。
コミットしてくれた皆さんには感謝します。おつかれさまでした。
しかし、静観者と評論家が多すぎましたね。 市民の盛り上がりという部分では不十分だったと思います。
政治はどんどん右傾化、官僚化の自民党にひっぱられていくことになります。
脱ダムの流れにもストップがかかっていくとも考えられます。
田中の敗北は、市民の敗北です。
この長野ショックを受けて、僕らは次をつくっていかないといけません。
僕は、田中康夫を政治家であり師の一人として支持し続けます。
村井という新知事ですが、公開討論会や街頭演説で「借金はやれるだけやれなければもったいない」とか、「岡谷の件は、脱ダムの罰があたったのだ」などと問題発言をくりかえし、聞いていたものの失笑を買っていた人であり、僕の周辺は誰もが「役者が違う」と感じていました。
おまけに、公開討論会で、最後に思いを4分間で語ってください といわれた村井氏は、住民の顔を見ずにA4の原稿用紙をとりだして、「11項目の課題」などというものを読み上げるという、なかなか公開討論会の歴史上、「えっ」ということをやってのけた方でありました。
なんだかんだ言っても、田中がおこなった6年間の長野県は、「市民の政府」というにふさわしい状況になっていたのだと考えます。長野県政ビジョンとしての「コモンズから再生する信州ルネッサンス構想」は、秀逸でした。
今回、自民党官僚体質に転じた長野県で、その「市民の政府」の何が壊されていくのか、壊れていくのか、僕らはきちっと見ていかなければなりません。
いきなり、ガラス張りの知事室が廃止になるそうで、、、。
長野ショック。
ああ もったいない!
長野からもどり SWOT学習会

休憩上田市視察
休憩時間は視察。 小宮山量平 エディターズミュージアム

長野県知事選 応援中
昨日から長野知事選の応援にはいっています。