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清流を守る会よりー小国川漁協の漁業権更新についての声明


清流を守る会で12月20日に提出した「要請」と「声明」を掲載します。
この物事の本質を捉えていると思います。
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2013年12月20日
山形県知事 吉村美栄子 様
最上小国川の清流を守る会
小国川漁協の漁業権更新についての要請 
2013年12月17・18日の山形県議会農林水産常任委員会の質疑、およびマスコミ報道等によれば、山形県は「内水面漁場管理委員会」に対し小国川漁協の漁業権付与の諮問を見送ることによって、小国川漁協の漁業権を更新しないことも検討しているといわれます。
ダムによらない最上小国川の治水対策を求めて運動してきた私達にとって、この問題はダム建設を強権的に進めようとする動きの一環として、見過ごすことは出来ません。
県知事は、漁業法の規定に基づいて、不当な条件をつけずに小国川漁協の漁業権更新の手続きを行うよう要請します。

1,県が主張する「ダム建設の公益性」は、「河道改修による治水対策」という対案が出されていることかもら分かるように、漁業をある程度犠牲にしても他に方法がないほど、誰もが認める正当なものではありません。
小国川漁協の漁業権を更新しないことになれば、漁業者の主体的な漁場管理機能が失われる無法河川となり、最上川水系全体の生態系や入漁権に対しても大きな影響を与えることになりかねません。

2,たとえ小国川漁協の漁業権を更新せず消失させたとしても、小国川漁協と全組合員が同意しない限り、河川内のダム本体工事に着手することは出来ません。
 漁業法23条に「漁業権は物権とみなし、土地に関する規定を準用する」と定めていることから、知事が「許可漁業権を与えない」としても、「慣行の権利・財産としての漁協組合員の漁業権」が無くなることはありません。
 漁業権者の同意なしに本体工事に着手しようとすれば、違法行為となり漁業権者に法的対抗措置をとられ手も足も出なくなり、混乱は深まるばかりです。

もし、万一にも、「ダム建設に同意しない」ことを理由に小国川漁協の漁業権を更新しない
ことになれば、これまで多くの県民から支持されてきた、吉村県政の大きな汚点となりかね
ません。県民との対話と相互理解を大切にしてきた吉村県政の原点に立ち返り、多くの問題
点を指摘されている最上小国川ダム計画を、勇気を持って自ら見直し、この問題での県民と
の対話を続けるべきです。
 どんなことがあっても、小国川漁協の漁業権を消失させるような強権的な行政措置を行なわないよう強く要請します。
以上
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小国川漁協の漁業権更新についての声明
2013年12月20日 最上小国川の清流を守る会

2013年12月17・18日の山形県議会農林水産常任委員会の質疑、および同18日付の山形新聞記事等によれば、山形県は「内水面漁場管理委員会」に対し小国川漁協の漁業権付与の諮問を見送ることによって、小国川漁協の漁業権を更新しないことも検討しているといわれます。
ダムによらない最上小国川の治水対策を求めて運動してきた私達にとって、この問題はダム建設を強権的に進めようとする動きの一環として、見過ごすことは出来ません。
今回の漁業権問題と最上小国川ダム建設の関係について、私達の見解は次のとおりです。

1,関係者からの聞き取りによれば、2014年1月1日の漁業権更新を前に、県の県土整備部職員は「最上小国川ダム計画にご理解を得るため」と称して、繰り返し執拗に小国川漁協を訪問しダム建設計画の“説明”を行いました。そしてなぜか、これに内水面漁業振興に携わる農林水産部職員も同行したとのことです。
 今回の事態は、小国川漁協の「ダム建設への協力」の説得に行き詰まった県当局が、漁業権更新時期をとらえて、その許可権限を利用して、「最上小国川ダム建設への協力」を強制するものに他なりません。

2,県の主張は、漁場計画案にある『公益上必要な行為に対しては、十分配慮しなければならない』という漁業法に定める条件を、「ダム建設容認」の一点にすり替えるものです。
 県が主張する「ダム建設の公益性」は、「河道改修による治水対策」という対案が出されていることかもら分かるように、漁業をある程度犠牲にしても他に方法がないほど、誰もが認める正当なものではありません。
また、小国川漁協が行ってきた事業は、最上小国川の漁場管理、水産資源の増殖という公益性の高い事業です。小国川漁協の漁業権を更新しないことになれば、漁業者の主体的な漁場管理機能が失われる無法河川となり、最上川水系全体の生態系や入漁権に対しても大きな影響を与えることになりかねません。

3,たとえ小国川漁協の漁業権を更新せず消失させたとしても、小国川漁協と全組合員が同意しない限り、河川内のダム本体工事に着手することは出来ません。
 漁業法23条に「漁業権は物権とみなし、土地に関する規定を準用する」と定めていることから、漁業権は「物権」すなわち「財産権」として、憲法29条と民法709条で保護されています。知事が「許可漁業権を与えない」としても、「慣行の権利・財産としての漁協組合員の漁業権」が無くなることはありません。
 漁業権者の同意なしに本体工事に着手しようとすれば、違法行為となり漁業権者に法的対抗措置をとられ手も足も出なくなり、混乱は深まるばかりです。
従って、漁業権を消失させて、漁業権者が不在だとして河川内のダム本体工事に着手することは出来ません。

4,漁業権の免許にあたり、将来行われるダム建設等を予想して制限や条件を付すことは違法とされています。(昭和38年10月21日、水産庁漁政部長・通達)
 県農林水産部はこのことを十分承知していることから、県議会で「今回の免許申請ではダムに賛成・反対は直接関係ございません」(12月18日農林水産常任委員会)と答弁しています。その一方で、小国川漁協が自主的に「ダム建設に同意します」と言わせようと、執拗に働きかけ、さらに「漁業権更新見送りの可能性」を示唆することで、漁協と漁協組合員を不安にさせ、その動揺をねらったものです。

5,この問題に対する農林水産部の対応は、異様としか言いようがありません。同じ知事部局の中にあって、開発部門と規制部門が互いにチェック・牽制し合ってこそ公平・公正な行政が進められるものです。ところが今回の問題では、内水面漁業振興担当の農林水産部がダム建設担 当の県土整備部のお先棒を担ぐように、漁協に対し「ダム建設に賛同」するよう執拗に働きかけているのです。
農林水産部は、内水面漁業振興の立場でダム計画をどうチェックしたのでしょうか。ダムの専門家でなくても、最上小国川ダム計画のズサンさは指摘することが出来ます。
たとえば、「穴あきダム」の穴の目詰まりの危険性について、現地には径50cm~1m以上もある転石が無数にあるにもかかわらず、ダム計画では「現地には径25cm以下の転石しかないので、40cm格子のスクリーンが目詰まりすることはない」という計画になっています。
こうした矛盾や、小国川漁協が示しているダム計画への疑義について、内水面漁業振興の立場で県土整備部の計画をチェックすべきだったはずです。

6,「内水面漁場管理委員会」は、漁業者の自主組織であり県当局の意向に無条件に従う義務はありません。あくまで漁業法の定めに基づいて『漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化をはかる』ために、公正・公平な立場で、この問題の判断をすべきです。

 もし、万一にも、「ダム建設に同意しない」ことを理由に小国川漁協の漁業権を更新しないことになれば、全国の物笑いの種になるでしょう。
 これまで多くの県民から支持されてきた、吉村県政の大きな汚点となりかねません。
 県民との対話と相互理解を大切にしてきた吉村県政の原点に立ち返り、多くの問題点を指
摘されている最上小国川ダム計画を、勇気を持って自ら見直し、この問題での県民との対話
を続けるべきです。
 どんなことがあっても、小国川漁協の漁業権を消失させるような強権的な行政措置を行わ
ないよう強く求めます。

以上