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12月25日、山形県知事に対して政策提言書を提出


 

12月25日、山形県 吉村美栄子知事へ、26年度政策提言書を提出しました。 7項目。


政策提言書

平成26年12月25日

 

山形県知事 吉村美栄子様

 

 みどり山形 草島進一

 

1)農林水産業の政策について

●強い農業=絆の強い農業 地域内、都市と農村を結ぶ新たな絆をつくるCSA(コミュニティサポーテッドアグリカルチャー)の展開を求めます。

 

 今冬、農家の方々は米の概算金の引下げや米の直接支払制度の変更により、所得減で大変厳しい状況であると認識しております。高齢化等が進む中でコメ農家の危機が叫ばれ、又、映画「よみがえりのレシピ」で紹介されている山形の伝統野菜、在来作物についても10年後にその姿がどれだけ残っているかという不安を研究者の方々が抱えております。シードバンクなどの提言も以前させていただきましたが、まずは生産者と消費者との関係性の中で守られ続けることが大切と考えます。

    CSAは直訳すると「地域に支えられた農業」であり、消費者が特定の農家から生産物を直接定期購入する仕組であり農家は収入を安定することができ、都市生活者は農家や食を通じて、普段の暮らしに欠乏している自然を実感できるという関係性の再構築といえると思います。 従来から有機農業の場では生産者と消費者を結ぶ「提携」というカタチがありました。今後、TPP等の影響など、コメ農家、更に特に小中規模、家族農業の農家の方々へのリスクが高まると考えます。そのリスクへの対処として、又、山形ならではの食文化を守るためにも提携、CSA等「絆の強い農業」を政策として構築していただきたく存じます。

   その具体として「次世代に残したい山形の食文化遺産」なるものを創設し、一つ一つの作物、あるいはサクラマス、米沢の鯉、松原アユ等を具体的にピックアップして消費者と生産者、漁業者とをつなぐ。そうした仕組みを展開することを提案します。(12月商工労働観光常任委員会で提案)

 来年開催されるグリーンツーリズム全国大会は、生産者と消費者を結ぶ絶好の機会であります。この機会に都市と地方を結ぶCSAの新たな展開へのしくみづくりに邁進していただきたいと存じます。

 

●  有機農業政策の振興について、オーガニック国際市場も視野にいれ、更なる推進を。

 

「有機農業日本一を目指して」とする平成25年8月策定の山形県有機農業推進計画は、農家戸数、栽培面積、水田面積、推進体制整備の市町村などを目標を掲げ、意欲的に取り組んでいる姿勢については、大いに評価するものです。ぜひより高い目標を掲げてとりくんでいいただきたいと存じます。

  持続可能な農業を考えた際、また、自然とのつながりを求めるIターン、Uターンの新規農業者にとって、慣行農業よりもむしろ有機農業や自然農法による農業が注目されていると聞きます。より安全安心で本来のおいしさを味わえる魅力は農を志す方々にとっても消費者にとっても、そのニーズは以前よりも高まっていると考えます。

 また、2013年9月末に農水省は米国とオーガニック食品に関する同等条約を結んでおりますが、米国のオーガニック市場は世界最大の市場規模。欧州のオーガニック食品市場も急成長しているとのレポートがあり、アジア圏でも市場が拡大とのレポートがあります。(資料)より安全で美味しい山形の農産品、また農産加工品の今後のターゲットとして国際的なオーガニック市場を見据え、それらの参入を支援する事なども有意義ではないかと考えます。

 より一層の有機農業、有機食品政策の推進を、生産と販売、加工、それぞれに求めます。

 

●内水面漁業について  

準絶滅危惧種になっているサクラマスについて。

サクラマスの減少の原因は、これまでのダム、砂防ダムでの川の分断の影響が大きいと、他県また、過去の本県の水産試験場からの指摘があります。今後の河川整備において準絶滅危惧種のサクラマスをこれ以上減らすことのないように、生物多様性戦略を踏まえ、県土整備部の河川担当とともに取り組んでいただきますよう、提言いたします。

 

 2)環境政策について

●鶴岡市の水資源(地下水)の保全と利活用について

12月1日、鶴岡市はユネスコ創造都市ネットワークの食文化部門に認定された。鶴岡の食文化を根底で支えて続けてきた「食材」たる本来の鶴岡の「水資源」である地下水資源を改めて価値付け、実質的な保全策を検討していただきたい。

 

▽鶴岡市の赤川扇状地の地下水資源については、全国有数の地下水盆であり昭和53年から55年、柴崎達雄 東海大学教授(当時)、桑原英夫 山形大学教授(当時)らの調査で、25万トン/日の持続性補給量があるとして全国有数の地下水資源であることが確認されております。実際にこの水源は昭和8年から平成13年10月まで鶴岡水道の水源として利用されてきました。水道水が広域水道事業に切り替わって以降、現在、水道水としては非常用の1万トンのみ確保している状況であります。現在、大変良質な水源であるため、ブルボン社(本社新潟県柏崎市)がペットボトル飲用水用にくみ上げ、食品会社が加工用に、又、中央工業団地では、工業用で利用。そして、冬期は道路、駐車場などの消雪用に大量にくみ上げ活用されている状況であり酒蔵業の一部で仕込み水に利用されているケースもあります。

  現在、これらの地下水の揚水量については、届け出義務も無く、市も県も全く関知していない無秩序の状態であります。このことは2011年9月の一般質問でも指摘しましたが、未だ未解決のままであります。又、元の水道水源地近くでは、地下水障害の原因とも指摘されている砂利採取が、水源切り替え以降頻繁におこなわれています。

 12月1日、鶴岡市はユネスコ創造都市ネットワークの食文化部門に認定されましたが、この食文化を根底で支えて続けてきた「食材」たる本来の鶴岡の「水資源」としてこの地下水を改めて価値付け、実質的な保全策を検討していただきたいと考えます。実際、市内の食堂、又個人宅では慣れ親しんできた地下水水源の水を求め、現在汲むことができる酒造メーカーの井戸、温泉施設の井戸などの水を求めにいくケースや、以前の水質(食味)を求めて、浄水器を付けているケースが見られます。

 昨年、村山広域水道の濁りによって広域水道水源が使えず断水する事故が発生しました。その際、独自水源の活用ができた地域では断水を回避することができ、又、民間の井戸が近くにある地域では、その協力により生活用水、飲用水などに活用できたと伺っております。庄内地域でも庄内広域水道水源が使用不可になった緊急時を想定してその対処策についての検討を促してその際、水道緊急時に対処する1万トンの活用とともに、民間の井戸水についても飲用や生活用水として利用が可能なように調整すべきであると考えます。

 

そのためにも、「地域共有の貴重な資源」として一定量以上の地下水利用者の揚水量の届け出を義務化する新規の「地下水保全条例」の整備について再提案します。

*参考:熊本市 熊本県の地下水保全条例

 

 鶴岡市の地下水盆については、赤川扇状地の水田が涵養源であることが前述の調査によってわかっております。県の平成25年4月1日施行の水資源保全条例は大変有意義と評価するものですが、現在のそれぞれの保全区域は山間地の森林が主であります。これを鶴岡市の水資源である、月山を頂とする赤川扇状地の指定をご検討いただきたいと思います。月山のブナ原生林はもとより、「農を守って水を守る」として実際に機能している涵養源である水田について、水田の多面的利用としての価値付けをするとともに実質的な地下水資源の保全のために、涵養源としての指定を求めるものであります。

 

3)人口減少対策・消滅集落対策・地域創世政策について

 

人口減少対策としてのこども、若者の婚活、子育ての支援については県では現在も様々な取り組みがみられますが視点を変えて提言をしたいと考えます。

 私は、今後山形の「地域創世」を考える上で、最も大事なことは、人口が減らない。若者がもどってきて、子供が生まれ続ける。ということであると考えます。もちろん子育てしやすい環境づくりや教育環境は重要ですが、この事の実現のために私が最も重要視すべきは、地域住民が地域に誇りをもち、その価値やその地域にしかない魅力を残すことにあると考えるものです。

 「若者が本当にその地域を好きになったら、仕事は自分でも探したり、つくり出したりする。その地域にとって、まずは、地域を磨き、いかに魅力的にするかが重要だ」とは、30年前から移住者を受け入れている和歌山県那智勝浦町色川地区の原和男氏の発言であります。

現在、特に3.11以降、都市部の20代30代の若者の中に、田園回帰の                                                                                                                               志向がひろがり、農的暮らし、半農半Xを求めて、農山村に移住する方々が増えている。それはむしろ団塊の世代よりも多いとも内閣府のデータにあります(小田切徳美氏)。山形のIターン、Uターン対策として、こうしたニーズへの発信やはたらきかけはもっと積極的であっていいと考えます。子ども育成・若者支援対策特別委員会でも申し上げましたが、山川海とつながる山形の暮らしの魅力をもっと発信すべきであると考えます。

 山形の在来作物の種を守る人々を描いた映画「よみがえりのレシピ」は上映当初から委員会などでご紹介させていただいておりますが、これまで自主上映などで全国で上映され、山形の貴重な食文化を伝えています。こうした映画もぜひ有効に活用し、山形ならではのライフスタイルを発信していただきたいと思います。

 また、鶴岡、庄内山形の地域づくりとして、出羽三山とのつながり等の文化、里山里海里川の生活文化を生かしたブランドの確立をすることが重要と考えます。しな織り、養蚕から製糸・製織・捺染(なっせん)まで、絹製品生産の一貫した工程を有する国内唯一の地域としての特徴をより活かして、デザイン化、ブランド化についての支援、また、山形の手工業を一同に介したモデルルーム展示など。新しい見せ方を工夫していただきたいと存じます。

 以上、人口減少対策として、山形ならではの自然資本、伝統文化、人的資本を総動員して魅力を最大限発信すること。そして、魅力を感じた方々に、空き屋等を利活用した住まいの提供。ワークショップなどを通じて住民としての役割をもてるようなコミュニティづくり。地域課題を解決するコミュニティビジネスなど「ナリワイ」としての仕事など、新しい働き方も含めた仕事づくりなど、課題を解決する中で、移住、定住とつなげられる仕組みを構築いただきたいと存じます。(参考 島根県邑南町)

 又、地域の経済を考えた際、農業県であり、豊かな自然環境あっての山形であることを踏まえれば、自然資本をベースとした「定常型経済」として「成長」よりも「成熟」型の経済政策として、基本的に徹底して経済(ヒト・モノ・カネ)が地域内で循環する「地域内経済循環」を向上する事が必要と考えます。県としてこうした地域内経済循環を示す指標を定めて、食、商工業、エネルギー政策などにおいてその向上に努めていただきたいと存じます。

4)教育施策に関して 

●県立図書館の充実を

県内の公立図書館のお手本をみせるべき県立図書館の機能を強化が必要と考えます。まず人員として、正規の職員としての図書館司書が3名以上常駐する体制を組んでいただきたいと考えます。更に、歴史的な郷土資料などのデジタルアーカイブ化によって、山形の歴史、伝統、文化関係の文献資料については、どこでも誰でもアクセスできるようなしくみづくりを提案します。また、ビジネス支援図書ブース、リファレンス機能の充実化、更に、県主催の講演などを収録したもののVTRのアーカイブライブラリー、更に、県内の学校図書館を支援できるような仕組みの構築やスタッフの充実など、県立図書館の充実を提案します。

 

●  学校図書館の充実を

鶴岡市の朝暘第一小学校の学校図書館は、全国的に最も高い評価を受けている学校図書館の一つであります。学校司書が学校図書館におり、司書教諭が図書館に専属でいることにより学校図書館を中心に充実した「読育の場」をつくることを可能にしております。

 先ずは、学校司書が特別支援校を含む全ての学校に配置される事を目標に学校図書館の充実をはかっていただきたいし、司書教諭についても専属でいれる仕組みをより充実し、朝暘第一小学校の学校図書館をスタンダードとして県内の学校図書館の充実をはかっていただきたいと存じます。

 また、司書資格をもつ学校司書についての待遇の改善を要望いたします。

 

●  いじめ、不登校など問題行動の防止にソーシャルスキルトレーニングを。

 

いじめ、自死などの問題行動の根本解決をはかるには、児童生徒のコミュニケーション能力などを高める事が必要であります。セカンドステップなど東京都品川区などで実績のあるソーシャルスキルトレーニングを導入することにより、児童生徒の共感力などのコミュニケーション能力が高まることが知られております。こうした社会性と情動の学習(SEL)の研究では第一人者である山形大学 宮崎昭先生が身近にいらっしゃることもあり、今後の山形県の教育のカリキュラムの内外で、如何に導入し、展開すべきか、検討していただきたいと存じます。
 

●  県立博物館の充実について

博物館の学芸員の人員体制について それぞれの部門に正規の職員がいることは最低限確保すべきであり、山形県の博物館としてそれぞれの部門でテーマ性をもって独自の研究を充実していただきたいと存じます。

施設老朽化や時代のニーズに照らして、次の構想を考慮するべき時期にきていると考えます。今後の県立博物館の構想会議を県民参加型でオープンな場で行っていただきたいと考えます。

2014年4月に開催になった、三重県総合博物館が参考になるかと存じます。http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/MieMu/about_MieMu.htm

 

 

5)エネルギー、省エネ政策について

●再生可能エネルギー政策について

地域の資源を使って流出したり植民地化という開発にならないように、以下の定義に基づき、地域の人々がオーナーシップをもって進める自然エネルギーの取り組みとしてのコミュニティパワーを優遇する政策を行う事を再度提言します。

1)地域の利害関係者がプロジェクトの大半もしくはすべてを所有している

2)プロジェクトの意思決定はコミュニティに基礎をおく組織によっておこなわれる。

3)社会的・経済的便益の多数もしくはすべては地域に分配される

(この3つの基準の内、少なくとも2つを満たすプロジェクトは 「コミュニティ・パワー」として定義されます)

現在、メガソーラーについては電力会社によって保留の状況でありますが、50kw未満の低圧については規制外であり、個人や民間でも取り組みやすいため、固定買い取り価格制度変更までの間、大いに情報提供、奨励していただくよう、提言するものです。

 

●  省エネ政策について

県のリフォーム補助金の活用は好調であると認識しております。山形県内の省エネ政策として最も課題なのは建築物、住宅の断熱性能であると認識しております。リフォーム補助金による省エネ改修が進んでいるとしても、これまでは明確な指標がないため、その効果は正確に把握できておりません。

 2013年6月の予算特別委員会で提言したドイツ、EUの家の燃費制度(エネルギーパス)など、明確な指標をもって、インセンティブを高め、省エネ改修をより実質的に進める事が必要だと考えます。

 2014年4月から長野県では、住宅を建てる前に「家の環境エネルギー性能や自然エネルギー設備の導入を検討すること」が義務付けられています。こうした制度を参考に山形の家づくりにも明確な省エネを促すエネルギー性能、再エネ導入を促すしくみづくりを検討していただきたく要望いたします。

 

6)福祉政策について

●共生型デイサービスについて、                         

赤ちゃんからお年寄りまで障がいの有無に関係なく地域密着のケアができる共生型デイサービスについては、富山県で20年以上の実績があり、国もその効果などを認め、被災地などでの普及を支援している実状があります。当初富山型福祉サービス推進特区」において適用された特例措置は、障害児(者)の通所サービス(生活介護)が平成22年6月に、宿泊サービスが平成23年6月に全国で実施できるようになり、平成25年10月には児童発達支援、放課後等デイサービス(旧児童デイサービス)が全国において実施できるようになりました。

富山県では中学校の範囲でこの共生型ケア施設が設置されることを目標に200件を目標に整備が進められています。静岡県、高知県、熊本県、長野県

などにも拡がっている取り組みであり、11月2日の国会でもとりあげられています。山形県でも一部基準該当での類似の取り組みが見られ、現場の声を聞いたところ、利用者にはとても好評とうかがっております。昨年度より取り組みの提案をしていますが、子供、障がい者、高齢者に渡る横断型の担当がいてはじめて取り組める施策ではないかと感じてもおります。今、全国に拡がりつつある地域密着型で互いに機能改善などの効果も認められている共生型デイサービスの普及について充実を求めます。

 

7)      最上小国川ダム事業について

流水型ダムでも環境に影響すること、ダムによらない治水は可能であり、より未来にわたり有利である事が複数の科学者によって立証されております。

 これらはこれまでの検証や協議の中では明らかにされていなかった新たな知見であります。こうした知見に対してなんら説明責任も果たさずにダム事業を進めることはできないと考えます。これらの知見に対して説明責任を果たす場を設け、疑問をもつ科学者や県民に対して説明責任を果たされるよう要請いたします。

 

 漁業補償締結について、小国川漁協の特別決議では、漁業行使権をもつ関係組合員に対する補償締結はおこなわれておりません。「漁業行使権」を財産権として認めないとする県の姿勢は漁業法143条と全く整合性がとれません。実際に現在、漁協行使権の侵害を訴えている者がいる中で、これを無視してのダム着工は法的に許されないことであります。漁業行使権者に対する協議の場を設定をし、漁業補償についての協議を行うことを要請いたします。

 最後に「ダムをつくってもダムのない清流を目指す」とした漁業振興プランは今や科学的にあり得ないことであり、大きな矛盾を抱えております。又、森里海川連環をうたいサクラマスをシンボルに「豊かな海作り大会」を開催する当県において、サクラマスの重要な産卵場所である小国川の自然を改変する小国川ダム事業を行うことは、完全な矛盾ともとらえられる事であり、避けるべきであると考えます。

全国の屈指の清流として鮎釣りだけで年間3万人もの釣り人が来る清流。縄文の女神の時代からこれまで全国屈指の清流環境を活かして地域を営んできた先人の営みと、又、もしダム事業をおこなえば、この恵みが享受できずに大きな矛盾を抱え続ける流域の未来世代の事を考慮し、更に最新の科学的知見を熟考していただきたいと考えます。そして「時のアセス」として、今この時代での見直しを行っていただくよう要請いたします。


SLOW WATER -改めて水道インフラを考える。


水は命の源であり、地域のインフラの根幹です。
この水道インフラについて、ずっと考え続けてきました。

9月3日か4日まで、長野県上田市での緩速濾過ー生物浄化法のセミナーに参加しました。
NPO地域水道支援センターの主催。理事長の中本先生は、その道の第一人者であり、全国の緩速濾過方式の浄水場の再評価をし、更にその管理方法について様々な提言をしておられます。上田市の染屋
浄水場は先生のまさにフィールドであり、実際にここを通じて様々な実験をおこなった成果を伺うことができました。
上田市では染屋浄水場と石船浄水場の二つで10万人の給水人口に対応しています。給水戸数4120戸。1日平均34000トンの水を供給を2つの緩速濾過浄水場でおこなっています。

浄水場にいってみると池があり、1日3〜4メートルの速度で砂を漉す方式で濾過がおこなわれています。中本先生曰くその中で、多様な微生物が水の中の様々な菌や毒素を食べ、とても安定した飲料水を作り上げていくということで、先生は緩速濾過というよりも生物浄化法として改めて発信をしています。
その方式は、特に発展途上国への水浄化システムの支援として評価され、今般のセミナーでもサモアでの支援策が発表されていました。

急速濾過方式のように薬品を使わないので、余計な維持管理費用が発生しない。更に膜濾過のように効果ではなくカートリッジを買い求める必要もない。ということで、コスト面からも更に維持管理が容易ということでも、実際の現場で最も喜ばれているのは、生物浄化の浄水施設と伺いました。

さて、山形県の村山広域水道の断水事件は全国の水道関係者に衝撃を与えており、今回あつまった方々も大変興味を持っておられました。高濁度の原水処理に浄水場が追いつかなくて結果断水に至ったという問題。全国に普及している急速濾過方式の浄水場の脆弱さを見せつけた事件のように思えます。

断水事件が起きたとき、私は原水の源である寒河江ダム周辺、また、その下流域の支川などを写真を撮りながら踏査しました。至る所で土砂崩れがあり、その土砂がダム湖に流れ、濁水となっており、少し多めの雨が降るとその濁度がぐっとあがるような状況が続いていました。

8月補正予算では、濁度対策の補正が組まれ、それについては承認をしましたが、これは対処療法でしかないことをお伝えしたいと思います。補正では、薬品をより多量に入れるためにポンプを数台増設するということでした。薬品を多量に入れた場合、凝集物(フロック)がより多く発生し、その除去についても処理が通常のように除去できず、沈殿槽にあふれたり等するとのこと。ここについての対策は未だ不鮮明のようでした。

更に、、、次に続く。

SLOW WATER -改めて水道インフラを考える。


水は命の源であり、地域のインフラの根幹です。
この水道インフラについて

最上小国川 赤倉温泉地域の治水方策への考察。


赤倉温泉地域の治水について

(県がつくったと認めた堰から上部にかけて土砂堆積している。)

 これを除去することで河床を下げることができ、河道の流下能力を下げることができる。

県は、「河道掘削すると温泉の湯脈に影響を与えるので、河道掘削できない」と主張し続けてきた。しかし、それは県が温泉調査を依頼した川辺教授により完全に否定された。川辺教授は、そもそも県の調査は「温泉調査」が目的で河床掘削できるか否かが目的ではなかった。調査員3名が確認したのは温泉と川の水位が関連しているということのみで、工事期間の補償を含めた影響を除去する対策の検討は十分におこなわれなかった。そして、「『工事が温泉宿の湯船のお湯に影響を与える』から河川改修はできない」は、単に県がダムを優先するために創作した推論をおこなったものであることが論証された。
 河川を掘削しても,対策をきちんととれば問題ないことや、現在も河川水と温泉水が混合して湯船に流れ込んでいるシステムで現在の温泉宿の湯船に流れ込むお湯は成り立っていること。
 さらに、現状では河川の増水や渇水で温泉の利用ができなくなる状態であるが、河川掘削工事に伴ってより効率的な混合システムをつくることによって安定的にお湯を供給できるようになることや、更に、河床掘削による河川改修は温泉宿のお湯の確保の点でも有利になることを、川辺教授は論証した。
 
● 治水方策として優先されるべきこと。
1)現状で水害要因をつくりだしていると思料される落差工、床止めを除去し、河床掘削すること。
2)一軒の旅館(阿部旅館)について、湯量を維持する工作をおこない、影響がないように配慮し工事すること。
3)県は、河川水と関係のない「内水被害」で浸水していた箇所を殊更に強調してダム建設の理由に利用していた傾向があるが、この解消策は河床掘削で河床を下げることである。
4)温泉排水などの垂れ流しを止めること。

等をおこない、清流に面した美しい温泉街を再生しつつおこなう「まちづくり治水」こそ有効な治水対策である。

小国川流域で人口が密集する瀨見温泉地域、月館地域は、1/50確率の治水が完成している。赤倉温泉地域でこうした河川改修に伴う治水対策をおこなうことによって、人命を守る治水を叶えることができる。

河川改修を下流からおこなわねばならないので、河川改修で72年かかると検証の場で論じられていたが、通常の河川整備も暫定確率を設けて段階的に整備するのが通常である。「検証」の場において、ダムが有利と言いたいがために、全ての河道(つまり農地など)についても人家と同様の1/50確率の治水対策を下流からおこない、堤防内から水が逃がさないのが当然というような主張がおこなわれていたが、総合治水管理の流れからいえば一昔前の治水対策である。ゲリラ豪雨が広範囲で降る傾向がある近年、(今年9月の和歌山の豪雨災害がよい事例)、遊水池や田んぼダムなど、流域の氾濫原対策を加味するなどの方策を考慮に入れるべきである。



七窪の冠水は深刻。農林水産委員会視察


昨日まで、農林水産委員会の委員会視察をおこなっておりました。
最上では鮭川村オークファームでなめこの工場を視察。その後、大蔵村で「大蔵トマト」「大蔵わさび」の取り組みを視察し、肘折温泉へ。東北のモスバーガーのトマトを全て生産している良質の大蔵トマト、それから、軽石の地質を活かしたわさび栽培はすばらしい取り組みだと感じました。
 小さな村だからこそできることがある。と美しい村連合に加盟している大蔵村。視察中歓待を受け、肘折に顔を出された後には、村民との座談会にいらっしゃった(全集落をほぼお一人で廻り、いただいた意見を公開し、取り組まれているとのこと)加藤村長の熱意に感服いたしました。肘折温泉、毎朝6時〜7時半までおこなわれている朝市はすばらしかった。旬の天然なめこ、沢もだしが並んでました。
 13日は関川地区の地滑り防止対策の現場を視察。その後、しな織りセンターに立ち寄った後、鼠ヶ関漁協 衛生管理型荷さばき施設視察。全国で後継者問題がある中、ここは40歳代以下の青年部40名と、とてもがんばっていらっしゃることを伺えました。ハセップの取り組みなど今後も期待がもてました。その後、西郷北部地域の県営ほ場整備事業視察。かなり大規模な基盤整備。地元の齋藤元議員らが愛してやまない、平地の水芭蕉の湿地、西茨湿原の保全、日本海様相のハンノキ、ミドリシジミ、http://www.kagakunavi.jp/library/show/71 などをぜひ活かしてほしいと一言伝えました。
 その後、七窪の冠水地域視察。改めて現場で深刻さを感じました。夏の冠水。それもこんなに長期の冠水はこれまでなかった事です。80件ほどの農家の方が対象とのこと。緊急措置から中長期的な課題解決のための調査まで、これは国、県、市、力を合わせてなんとかしないといけない問題と改めて感じました。
 14日はやまがたの木乾燥センターでバイオマスボイラーと高周波の乾燥機、モルダーなどの視察。切り捨て間伐の有効利用などを含め、庄内一円の林業、製材関係者が共同利用できる施設。
杉を構造材として利活用するための施設として大いに評価したい。今後、高周波乾燥の電気代が課題とか。バイオマス発電装置などが今後の課題か。

 以上、今回の視察の内容です、特に七窪の冠水被害は深刻です。短期的な応急対応も必要と思いますが、地下水のメカニズムと水収支の関係をきちんと調査することが求められていると考えます。私も知り合いの研究者の方々に対処法など諸々伺ってみます。


 

広域水道事業について


2 広域水道事業について(企業管理者)

2001年10月20日、鶴岡市民にとっては忘れられない日であります。昭和8年から鶴岡市民が慣れ親しんできた地下水100%の水道水原がダムの水源に切り替えられた日であります。今年、丁度あれから10年になります。改めて月山ダムに伴う庄内南部広域水道事業について検証します。

(1)水道料金について
まず水道料金についてです。
平成22年の山形県の市町村の水道料金平均は10㎥では全国で最も高く2,099円と日本水道協会の統計資料にあります。以前、鶴岡はその中では安価な方でしたが、水道料金はダム水移行後、最大で切り替え以前の1.85倍 約2倍になりました。
 計画の際、ダム建設工事費は780億円でしたが、完成時には1,687億円になりました。その金額が上乗せになったことと、庄内南部広域水道事業の算定の基準となる計画給水量として定めた基本水量10万9千700トンが当時の水使用量と大きく乖離していたこと、つまり水需要予測の失敗のツケが、値段の高騰につながったと考えます。

 2001年切り替え当時、県は私が提出した公開質問状に、この乖離について
「計画給水量は、将来の安定供給を踏まえて、長期的な観点から計画された」と、あたかも将来的にはそれを満たすかのように応えていました。
 しかし現状、鶴岡市地域は、年約1,000人ずつ人口減少する時代となりました。そして、水使用量は平成 6 年度をピークに結局この17年間減少傾向であります。この減少傾向は更に続き、給水量の増加は見込めない状況と鶴岡市水道ビジョンにも実際に記載されています。

庄内南部地域の水の使用量は、20年度で約5万トン。基本水量の46%にしか当たりません。
 使用水量では、例えば20年の年間の実際の使用量と料金算定根拠の責任水量とで127万トンの差が発生しています。その分の水代、年間約2,150万円は実際に自治体は使っていないのに県に料金を支払っていることになります。
 人口が右肩上がりの時代にはスケールメリットがあると思われた広域水道事業ですが、人口減少に転じた今、大きな矛盾が生じています。
この事業ですが、今は末端の市町村の水道料金でつじつま合わせをしている状況ですが、「広域水道事業という制度」そのものがもうすでに破綻しているのではないでしょうか? 
であれば今後、県はどのように見直しをしていくのか、見直すとすれば、県の責任として受水費用の見直しだけではなく、「基本水量」の見直しにも踏み込むべきだと考えますが、企業管理者のお考えをうかがいます。





(2)水質の確保について
次に水質について。うかがいます。
広域水道への水源切り替え後、発ガン性物質 総トリハロメタンの値は、最高値で平成19年度0.062mg/lと、基準値内ではあるものの、以前の地下水源の23.8倍になりました。今は若干改善されましたが、それでも地下水の5倍であります。

この夏、路上での意識調査などをおこない、市民の声を集めました。
切り替え以前は、「ダムの水も十分においしいはず」と当時の市長は説明していましたが、総サンプル488人中367人、75.2%の方が水質が悪化した。水がまずくなったと答えています。

 実際の声として浄水器をつけたり、スーパーの自販機で水を求めたり、飲み水として生で飲まないという水道離れを強いています。
また、地下水では年間13度前後で安定していた水温が、切り替え直後から 冬2度、夏20度以上と不安定になり、光熱費が余分にかかっているという声もいただきました。

結局、住民は水質の悪化、水温の変化にともない、水道料金高騰の他に2重3重の負担をしているのであります。
 当初計画で、鶴岡市水道では1万トンの地下水の自己水をブレンドして供給する予定でした。今、一滴も地下水がはいっていません。見直しの際には、水質の面でメリットがある地下水のブレンドを認め、住民ニーズを叶える水道供給に努めて欲しいと考えますが、企業管理者の見解をお尋ねします。





●企業
私のほうからは、広域水道の事業につきまして、2点お応えさせていただきます。
まず、水道料金についてでございますが、本県の広域水道につきましては、
安全な水道水を安定的に供給しますとともに、効率的な事業運営につとめまして、水道料金は、実施しています、23の中で、安いほうから8番目ということであります。
 庄内の広域水道につきましては、平成20年4月に、地元からの水道事業のの統一、あるいは料金の低廉に関する要望を踏まえまして、運営費用などの
経費節減をはかり、23.9% の引き下げを実施したところであります。そしてあわせまして、責任水量の見直しをおこないまして、受水団体の;
負担軽減をはかってまいったところでございます。今後におきましても、人口減少にともなう、給水量の減少が懸念されますが、お尋ねの基本水量の見直しにつきましては、原価主義を原則とする公営企業におきまして、事業の根幹に影響を与えかねないものでありますので、見直しは、難しいものと考えているところでございます。
企業局としましては、県および、市町村の水道事業が将来にわたって、安定的に役割を果たしていけるように、給水量の将来の見通しに加え、施設の耐震化、や老朽化による更新を加味した、中長期的な収支を勘案しまして、料金の水準等について、関係市町村と話し合いながら、様々な角度から検討して参りたいという風に考えているところでございます。

次に水質の確保についてでございます。県民に提供する水道水の水質の確保というものは、極めて重要でございまして、企業局では、水道法にもとづき、浄水場などの水質検査を定期的に実施しておりますが、水質基準の各項目については、良好な値となっているものでございます。特に朝日浄水場における総トリハロメタンにつきましては、平成21年11月から従来の浄水行程を見直しまして、水のにごりを取り除いてから塩素消毒をおこなうこととしまして、対策前の値に比べまして、3割から5割の低減をはかったところでございます。

また、夏場の水温対策としまして、月山ダムの取水深、水をとる位置を下げまして、水温の低い層から取水しまして、できるだけ冷たい水を提供できるようにつとめているところでございます。議員ご指摘の自己水源と広域水道のブレンドにつきましては、関連市町村の判断により実施される

地下水資源について


3 地下水資源対策について(生活環境部長)

次に、地下水資源と対策についてお尋ねします。
3月11日の福島原発事故で、東京都の水道水から放射性ヨウ素210ベクレルを検出し、首都圏のスーパーでは、ペットボトル水の品切れ続出が続く「水パニック」がおこりました。「今、放射能汚染で汚染されにくい地下水の水源が見直されています。
県内の地下水資源としては山形、米沢 そして鶴岡の赤川扇状地の地下水盆、の3つが、学会でも認められている良質の地下水盆であります。

 鶴岡市の赤川扇状地の地下水資源について、改めて紹介しますが、昭和52年から3年にわたり、地下水研究の第一人者である東海大学の柴崎達雄先生らにより、約90本の井戸データを使い当時最先端の技術で地下水源の調査がおこなわれ、「赤川水系の扇状地一帯は、地下水を含む能力が非常に高く、循環の速度も速い。赤川扇状地の地下水は日量25万トンの持続性補給力があり、日量5万7千トン程度は十分に取水可能」と報告されています。

現在、水源地周辺にはミネラルウォーターの工場があり、工業団地には大手半導体メーカーが立地しています。冬になると道路、駐車場などの消雪水として大量に揚水されています。しかしどの企業がいくら揚水しているかわからない、まさに秩序のない状況が続いています。
 県は、県条例で、山形、米沢の地下水の管理はされてきましたが、全国有数の地下水資源と評価されていた赤川扇状地の地下水については、無策のままでありました。
今、まさに新たなニーズに応えた秩序化が必要と考えます。
 
鶴岡市は、今「食の都」の施策としてユネスコ創造都市ネットワーク食文化部門への加盟を目指しているところであります。


集落の誕生からずっと使い続けてきた、おいしい地下水の恵みは、鶴岡の食文化を支えてきた重要な要素であり、今後も持続的に活用すべきものと考えます。
 まずは赤川扇状地の地下水資源を山形県の宝として認識し直し。地下水を公水としてとらえ、利用者に揚水量の届け出を義務づけるなどして「水収支」を把握する。

県の水資源政策として、一歩進んだ地下水政策を提案いたしますが、生活環境部長の見解をおたずねします。
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●佐藤生活環境部長

最初に地下水資源対策についてでございます。

本県には庄内南部地域をはじめ、各地域に豊かな自然に支えられた地下水資源があり、県民の生活や産業を支える貴重な資源であると認識をしておりまして、過剰な揚水による著しい地下水の低下や地盤沈下などの問題を引き起こさないように適正な採取により保全していくことが重要であると考えております。
こうしたことから、県では、地下水位と地盤沈下の状況を把握するために、県内各地域で地下水37地点、地盤沈下変動量5地点の観測をおこなっており、赤川洗浄地に位置する鶴岡市においても地下水3地点、地盤沈下1地点の観測をおこなっております。近年、地下水位の変動はみられず、地盤沈下においても、環境省公表基準の年間20ミリ以上の沈下はみられない状況になっております。
また、昭和40年代から、著しい地盤沈下が見られた山形地域と米沢地域とを、山形県地下水採取の適正化に関する条例にもとづく、地下水採取適正化地域に指定をおこない、揚水量などの事前の 更に庄内南部地域を含む県内7地域に地下水利用対策協議会が設置され、それぞれの地域の特性にあわせて、地下水適正利用対策や啓発活動等が実施されておりますので、今後とも協議会と連携をして取り組みを推進して参ります。
 昨年県内で外国資本等による森林買収など、地下水への影響が懸念される事例が発生したところであります。地下水への規制は、財産権の制限という難しい課題を含みますが、このたび、尾花沢市がケンカに先駆けて、水環境保全条例を制定するなど、県内市町村の関心も高まっておりますので、県としましても、関係市町村とともに地下水資源の保全確保について、検討を進めて参ります。





一般質問3 広域水道事業について


2 広域水道事業について(企業管理者)

2001年10月20日、鶴岡市民にとっては忘れられない日であります。昭和8年から鶴岡市民が慣れ親しんできた地下水100%の水道水原がダムの水源に切り替えられた日であります。今年、丁度あれから10年になります。改めて月山ダムに伴う庄内南部広域水道事業について検証します。

(1)水道料金について
まず水道料金についてです。
平成22年の山形県の市町村の水道料金平均は10㎥では全国で最も高く2,099円と日本水道協会の統計資料にあります。以前、鶴岡はその中では安価な方でしたが、水道料金はダム水移行後、最大で切り替え以前の1.85倍 約2倍になりました。
 計画の際、ダム建設工事費は780億円でしたが、完成時には1,687億円になりました。その金額が上乗せになったことと、庄内南部広域水道事業の算定の基準となる計画給水量として定めた基本水量10万9千700トンが当時の水使用量と大きく乖離していたこと、つまり水需要予測の失敗のツケが、値段の高騰につながったと考えます。

 2001年切り替え当時、県は私が提出した公開質問状に、この乖離について
「計画給水量は、将来の安定供給を踏まえて、長期的な観点から計画された」と、あたかも将来的にはそれを満たすかのように応えていました。
 しかし現状、鶴岡市地域は、年約1,000人ずつ人口減少する時代となりました。そして、水使用量は平成 6 年度をピークに結局この17年間減少傾向であります。この減少傾向は更に続き、給水量の増加は見込めない状況と鶴岡市水道ビジョンにも実際に記載されています。

庄内南部地域の水の使用量は、20年度で約5万トン。基本水量の46%にしか当たりません。
 使用水量では、例えば20年の年間の実際の使用量と料金算定根拠の責任水量とで127万トンの差が発生しています。その分の水代、年間約2,150万円は実際に自治体は使っていないのに県に料金を支払っていることになります。
 人口が右肩上がりの時代にはスケールメリットがあると思われた広域水道事業ですが、人口減少に転じた今、大きな矛盾が生じています。
この事業ですが、今は末端の市町村の水道料金でつじつま合わせをしている状況ですが、「広域水道事業という制度」そのものがもうすでに破綻しているのではないでしょうか? 
であれば今後、県はどのように見直しをしていくのか、見直すとすれば、県の責任として受水費用の見直しだけではなく、「基本水量」の見直しにも踏み込むべきだと考えますが、企業管理者のお考えをうかがいます。





(2)水質の確保について
次に水質について。うかがいます。
広域水道への水源切り替え後、発ガン性物質 総トリハロメタンの値は、最高値で平成19年度0.062mg/lと、基準値内ではあるものの、以前の地下水源の23.8倍になりました。今は若干改善されましたが、それでも地下水の5倍であります。

この夏、路上での意識調査などをおこない、市民の声を集めました。
切り替え以前は、「ダムの水も十分においしいはず」と当時の市長は説明していましたが、総サンプル488人中367人、75.2%の方が水質が悪化した。水がまずくなったと答えています。

 実際の声として浄水器をつけたり、スーパーの自販機で水を求めたり、飲み水として生で飲まないという水道離れを強いています。
また、地下水では年間13度前後で安定していた水温が、切り替え直後から 冬2度、夏20度以上と不安定になり、光熱費が余分にかかっているという声もいただきました。

結局、住民は水質の悪化、水温の変化にともない、水道料金高騰の他に2重3重の負担をしているのであります。
 当初計画で、鶴岡市水道では1万トンの地下水の自己水をブレンドして供給する予定でした。今、一滴も地下水がはいっていません。見直しの際には、水質の面でメリットがある地下水のブレンドを認め、住民ニーズを叶える水道供給に努めて欲しいと考えますが、企業管理者の見解をお尋ねします。

●企業管理者


●企業
私のほうからは、広域水道の事業につきまして、2点お応えさせていただきます。
まず、水道料金についてでございますが、本県の広域水道につきましては、
安全な水道水を安定的に供給しますとともに、効率的な事業運営につとめまして、水道料金は、実施しています、23の中で、安いほうから8番目ということであります。
 庄内の広域水道につきましては、平成20年4月に、地元からの水道事業のの統一、あるいは料金の低廉に関する要望を踏まえまして、運営費用などの
経費節減をはかり、23.9% の引き下げを実施したところであります。そしてあわせまして、責任水量の見直しをおこないまして、受水団体の;
負担軽減をはかってまいったところでございます。今後におきましても、人口減少にともなう、給水量の減少が懸念されますが、お尋ねの基本水量の見直しにつきましては、原価主義を原則とする公営企業におきまして、事業の根幹に影響を与えかねないものでありますので、見直しは、難しいものと考えているところでございます。
企業局としましては、県および、市町村の水道事業が将来にわたって、安定的に役割を果たしていけるように、給水量の将来の見通しに加え、施設の耐震化、や老朽化による更新を加味した、中長期的な収支を勘案しまして、料金の水準等について、関係市町村と話し合いながら、様々な角度から検討して参りたいという風に考えているところでございます。

次に水質の確保についてでございます。県民に提供する水道水の水質の確保というものは、極めて重要でございまして、企業局では、水道法にもとづき、浄水場などの水質検査を定期的に実施しておりますが、水質基準の各項目については、良好な値となっているものでございます。特に朝日浄水場における総トリハロメタンにつきましては、平成21年11月から従来の浄水行程を見直しまして、水のにごりを取り除いてから塩素消毒をおこなうこととしまして、対策前の値に比べまして、3割から5割の低減をはかったところでございます。

また、夏場の水温対策としまして、月山ダムの取水深、水をとる位置を下げまして、水温の低い層から取水しまして、できるだけ冷たい水を提供できるようにつとめているところでございます。議員ご指摘の自己水源と広域水道のブレンドにつきましては、関連市町村の判断により実

鶴岡の水博士 桑原先生 の1999当時の水問題まとめ


2000年、鶴岡水道住民投票運動をご一緒した桑原先生のコラム。
広域水道事業の策定の歴史と10年前すでに抱えている矛盾を見ることができる。

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 -鶴岡市水道の地下水源を守るために-

    環境カウンセラー  桑原 英夫

 1980年9月に、鶴岡市議会が承認した「庄内地域広域的水道整備計画」は、「目標年度昭和80年」の鶴岡市の計画給水人口は115,420人、計画1日最大給水量は82,602 m3として立てられています。82,602 m3のうち、10,000 m3は既存の地下水源で賄い、残り72,602 m3を赤川ダムに頼るというものです。
 その後、「社会経済動向の変化に対応し、給水人口、給水量などを全面的に見直す」として、1985年に「計画変更」が行われました。その内容は、数字がゴチャゴチャといじられていて、私には十分に理解できません。分かったのは、「赤川」から「月山」へダムの名前が変わったこと、しかし、ダムに頼る水量は変わっていないことです。まさに、「始めにダムありき」なのです。
 その後とも、どこがどうなっているのか、数字的のことはよく分かりませんが、一昨年の水道料金の値上げを前にした『広報つるおか(1998.6.1)』に、「今の広域水道の計画では、鶴岡市が広域水道から受水する水を平成22年で1日最大72,602 m3、1日平均50,821 m3と予想しています」とあります。また、1996年から始まった鶴岡市水道の「第4期拡張事業」の「目標年度平成22年」での数字は、計画給水人口106,400人、計画1日最大給水量72,700 m3となっています。そして、「地下水」は、どこに消えたか、潜ったか、分かりません。

 ところで、鶴岡市水道の給水人口は、1990年代に入って完全に横ばいです。給水量も、ほぼ横ばいですが、1994~96年ころをピークにして、減少傾向が現れてきました。
 先に挙げた、『広報つるおか』所載の数字、「1日最大72,602 m3、1日平均50,821 m3」を1人1日給水量に換算すると、2010年に、給水人口が計画通り106,400人に増えたとしても、最大給水量682l、平均給水量478lです。現在のままならば、最大726l、平均508lです。人口が減少すれば、さらに多くなります。こんなにたくさんの水が要るのでしょうか。

 昔、「水道の使用量は文化のバロメーター」という言葉がありました。この度、『平成9年度水道統計』を調べて驚きました。鶴岡市の1人1日当たりの給水量が、東京都のそれを上回っているのです。平均給水量でいえば、鶴岡市428l、東京都415lです。先の言葉に従えば、鶴岡市民の文化度は東京都民のそれを抜いているのです。
 でも、何か空しい気がしませんか。「消費は美徳」という時代は終わったのです。今や、量より質が問われる時代なのです。
 20年余り前から「渇水都市」の名で呼ばれる福岡市の市民は、306lの水で九州一の大都会を支えています。
 早くから「村山広域水道」からの給水を受け、県内で一番高い水道料金を払わせられている村山市民は、312lで暮らしています。
 さらに、東京都営水道への移行を拒み、鶴岡市と同じように「100%地下水」を守っている東京都昭島市(人口10万8千人)は、372lで「おいしい水」を誇っています。
 鶴岡市民にも、できないわけがありません。現在の水道使用量を少し減らすこと。それが、掛け替えのない「おいしい地下水」を守る第一の要件です。
 いま、鶴岡市民にとって必要なことは「足るを知る」ことです。

1999年、鶴岡の水道問題の市議会での初質問ー再掲載


□9月27日の山形県議会での質問を前に、鶴岡市議会で10年取り組んできた鶴岡の水道問題について、一般質問での質疑を再掲載していきます。99年当初の議会より、人口減少時代へ突入する日本社会にともなう転換を投げかけておりました。また水質の事では、トリハロメタンの問題について触れ、議事進行がかかり、初っぱなからもめることに、、、。
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一般質問:庄内南部広域水道計画の現状と今後の措置について

                            草島進一 

                        1999年6月 16日

議会制民主主義に基づき、鶴岡市民2968名の志の代表として質問いたします。

 庄内南部広域水道計画は、月山ダムの堤体工事が9月にほぼ完成する予定であり、また、広域水道の導水管も90%が完成していると聞いております。計画は、給水の開始に向けて着々と進んでいるといっていいでしょう。しかしながら、今、この計画が実現されるにあたって2つの重大な問題が、われわれ市民の前に立ちはだかっております。一つは言うまでもなく、今後長年にわたって非常に大幅な水道料金の値上がりを余儀なくされることであります。

もうひとつは、これまで慣れ親しみ大切にしてきた地下水からの水道用水がダムからの表流水にかわることによっての、水質、安全性、味の面での大きな変化の問題であります。

1、今後の水道料金の値上げについて

 まず、水道料金の大幅値上げに関する問題について問うてみたいと思います。

鶴岡市の水道事業経営にとって現在、もっとも切実な懸案となっているのは、予定どおり行けば2年後に迫った平成13年度から始まる広域水道からの受水にともなう費用をどうまかなうか、ということであります。 

 市水道部が平成9年度に「水道料金協議会」に出した資料によりますと、平成13年度の受水費の総額は、24億4476万円と試算されております。その前年までまったくゼロであった経費が一気に24億円以上も激増するという、たいへんな事態が起ころうとしています。しかも、この負担額は、平成13年度一年こっきりのことではなくて、平成14年度も15年度も、それ以降毎年毎年、ずっと将来にわたってかかってくる経費なのであります。

 現在、鶴岡市水道の年収はほぼ20億円です。これに対して維持費用、受水費併せて約45億円。24億円余りの新たな負担が今後ずっとかかってくることが明らかですから、このまま行けば当然のことながら、水道会計は毎年数十億円の赤字を積み上げてゆき、近いうちに経営破綻に追い込まれることは必須です。

そこで市水道部としては、「水道料金協議会」にはかり、まずは第一弾として昨年平成10年10月から平均30%の値上げの承認してもらう答申を得て、実際に、市民の水道負担は重くなりました。

現状、県からの受水費が明快に提示されておらず、水道料金の試算については、村山広域水道をもとに算出されていますが、それによると、値上げ前の2.5倍、平均家庭で使う水量20mlで2037円だったのが5092円になります。鶴岡市の平均水量の23mlだと、2285円だったのが、5712円。この値はほぼ全国トップクラスというべき水道料金負担です。

2、広域水道の人口・水需要計画について

 水道料金協議会は、平成10年度1月に富塚市長に出した答申の中で、次のように述べています。諮問された49.53%という改定率についてですが、「市民生活への影響が大きく、また、受水前の改訂でもあり市民の理解を得ることが困難であると思料されることから、改定にあたっては市民生活及び低所得者層等へ及ぼす影響を十分に考慮し、水道財政の維持を損なわないことを考慮しつつ、35%以下に抑えるべきである」というものです。

 実に、水道料金の値上げというものは、市民の生活への影響が多大であります。第1弾の値上げを35%以下に抑えたからといって、その後の市民負担が減るどころか、かえって後の負担増が大きくなるわけです。たいへん残念なことですが、鶴岡市民は今、水道料金に関してたいへん過酷な負担を新たに背負わされようとしていることだけは事実であります

では、なぜ市民にこのような過酷な負担を強いなければならない事態におちいってしまったのでしょうか。「庄内南部広域水道計画」の中身について点検したいと思います。

 

当計画は、昭和55年に県によって策定され、鶴岡市も55年の市議会でこれに参加することを決定しました。厚生省の認可も受けたこの広域水道事業計画の目標年は、平成17年、西暦2005年です。当初その時点での鶴岡市の給水人口は、11万5420人と見積もられています。その後、昭和60年に一度修正され、計画給水人口11万人とされています。

現在、鶴岡市の人口は10万549名人です。ここ数年、人口は10万人代をほぼ横這いの傾向をたどっています。

 計画策定よりずっと前の昭和40年(1965年)ごろは、どうだったでしょうか。

9万5000人台です。ということは、この30数年間で鶴岡市の人口は、4000人から多くて5000人しか増えていないのです。

 さて、この先はどうでしょうか。厚生省の人口動態予測をごらん下さい。全国の(グラフを提示)人口は、2007年にピークを迎え、年間60万人づつ人口が減少するということです。また、この青色のグラフは山形県なのですが、山形県の人口、約125万人の人口は、なんと、ピークが昭和25年だそうで、それからほぼ横這い。そして、95年からは、年間4000人あまりづつ、減少の傾向にあります。

 このような全体的な傾向と、鶴岡市のこれまでの人口推移からみて、今後の鶴岡市の人口は、減ることはあっても11万人台に到達することは考えられません。仮に現状を維持できたとしても、広域水道計画だと給水人口が1万人余り、過大予測となるのではないでしょうか。

 

○計画給水量はどうでしょうか。一日最大給水量が7万2602トンと設定されています。これはいったいどれくらいの量かと言いますと、現在、鶴岡市の1日最大使用実績が多めの平成8年で5万3301トンです。1日ざっと2万トンもの水を、今よりも多く保有する勘定になります。2万トンの水の量というのは、現在平均的に鶴岡市で使っている1日の水量の半分弱にあたります。言ってみれば、この広域水道計画は、これまでの1・5倍もの水量をまったく新規に確保する、どう考えてみても過大な計画だといえましょう。

また、料金制