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雪害の防止


19日午前中から夕方にかけて朝日村地域の雪の状況を見に行く。大網、注連寺。寺のとなりにある母屋はほとんど1階部分が雪で埋まっている。「今年はいつもより全然早い。11月にはじめに降った時から根雪になっている。こんなことは最近ないよ」との事。気になる雪おろしだが、聞けば寺も母屋も屋根に上がることはないのだそうだ。
先週末のような一時気温があがるときなどにストーブを2階などで焚いて自然落下させるのだそう。ただし注意しなければならないのは窓が割れたりしないように板をはめたりすることを忘れないこと。だ。昨年、中越、塩谷地区での「雪掘り」で行ったときの事を思い出した。1階が完全埋没。2階から出入りするのは当たり前といった集落の文化が中越では当たり前のようにあった。朝日村地区などは同様の文化がある。

 「周りが雪で完全に囲まれると倒壊のおそれもあるのでショベルカーで掘るしかない」と聞いた。今年はいつもより早めにやることになるだろう。との事。
 さらに田麦俣へ。道路の雪の壁はますますすごい。おばあさんお一人で玄関の雪除けをしている姿。「今年はもう3回雪おろしやった」とうかがった。「この雪がいやで嫁は鶴岡市内に嫁いでしまった」とも。その後、鷹匠のMさん訪問。玄関先に雪山。
お茶の間でご夫婦にいろいろお話をうかがう。とにかく冬は雪おろしが大変。昨年は結局9回雪下ろしをしたが今年はもう4回やった。田麦地区。今26世帯。年に1世帯か2世帯ずつ山を下りているのだそうだ。その大きな理由がこの雪の対応。高齢になってくると雪おろしができない。いちいち業者委託したりすれば、毎回5万円から10万円ぐらいかかる。そんな事には対応できない。結局、自分で除雪、雪おろしができなくなれば山をおりるしかない というのが現状のようでもある。「今年は、講演会を通じて鷹を見に来てくれた学生達が1回雪おろしを手伝ってくれたので良かった」とのこと。
 以前、田舎暮らし、山暮らしに憧れて、大網地区にアトリエと別荘を持ちたいと相談した陶芸家の方がいらっしゃったそうだが、冬の家屋の維持の委託にいくらかかると相談したところ、約100間年相当といわれ、断念したという話もうかがった。

 田麦俣の多層民家も維持するには雪の対応が大事。年に何度か招集がかかり、村の人総出で雪おろしをしているそうだ。以前は雪おろしツアーを旧朝日村で企画したのだとも聞いた。
 帰り際、除雪作業をしている人を見たがみなさんご高齢の方々ばかり。若い人は昼間会社に行っているから当然なのかもしれない。70歳を超えても屋根の上にあがるのは日常だ。中越でもやったのだけれどそこに一緒にのぼって作業するボランティアがあってもいい。昨年、僕らはボランティア保険では対応できないといわれ、僕らはAIUの別個の保険を手配してこの作業をおこなっていた。
 お話をうかがううち、田麦俣でも屋根の上にのぼった時に、雪を滑らせて落とすためのタキロンに足をのせて、地面に落ちて亡くなった人がいるというお話や、屋根の上から谷へ落ちてしまった方の話しなどもうかがった。
 作業にはよほどの注意が必要。でも、高齢者一人でのぼってまた事故という事態は防ぎたい。かといって業者に委託しさえすればいいというのでは、生活がなりたたない。
 
 地域のコモンズ(きずな)はとても強いものがある中山間地だが、これからの雪害防止施策をどうするのかは、大きな課題であり、新しい仕組みが必要なのではないかと感じた。

●本日、羽越本線運転再開 25日ぶり。
受験生もたくさん利用している鶴岡→酒田間。物流の貨物列車も今日からなんとか動き始める。なによりだ。ただし、今回の事故と犠牲を教訓に突風対策をしっかりと講じられなければならない。
再び、犠牲者のご冥福と負傷された方々の一日も早い回復を祈念します。