デビッドブラウアーの遺言と生物多様性    なぜ僕は川を守りたいのか。 | 前 山形県議会議員 草島進一

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デビッドブラウアーの遺言と生物多様性    なぜ僕は川を守りたいのか。


9月15日、某環境関係の学校の講師として、一時間半、ダムと公共事業の話をしました。
月山ダムのと鶴岡の水問題、埋められた井戸の事。日本のダムの問題。世界のダムと治水の事、ダム撤去の話などなど、前日まで、資料を手繰っていって一冊の本と再会しました。そして、1遍の詩に出会いました。

川の音楽に  耳を傾けなさい

あなたの目で 川を見て

あなたの手で 川に触れ

そして

ふたたび、人間になってください。

                                     D ブラウアー

 本は  岩波ブックレット、長良川から見たニッポン   天野礼子 Dブラウアー
この本は、1992年に長良川を訪れた当時八〇才のデビッドブラウアー氏が、当時、長良川河畔でおこなった講演をまとめたものです。
 ブラウアー氏は、当時の講演で、四五億年の歴史の、天地創造と破壊の文脈の中で長良川問題をとらえていました。そして、1938年からのダムとの戦いについて語っています。当時二三才の彼は、一人でその闘いをはじめ、ついにはグランキャニオンにダムをつくることを止めさせることに成功します。
   
 ダムによってどれだけの川が破壊されたか。堆砂で結局機能しないダムの問題。文明が続く限り、ダムは無用の長物と化してしまうということが明確に述べられています。そして我々はどのような成長をおこなうべきか。又、当時、リオのサミットで主流となった「持続可能な発展」「サスティナブルディベロップメント」についても彼は、「発展」というのは矛盾していないか。これまでの破壊の状況を考えたら、持続可能な社会を求めて「回復」「RESTORE」の時代なのではないか。と。問いかけています。
 そして、二〇〇〇年にドイツ、ハノーバーで開かれようとしている万博の事について話し、その時に 「開発を持続させる」のではなく、人類と社会を持続させる事を目的とした万博としてハノーバー原則を唱え、その原則が、日本の当時の社会や未来に、そして長良川にどのように適用できるか考えてみて欲しいと問うています。
このハノーバー原則が、その後どのような扱いになって世界に広がったかはわかりませんが、このことは「ナチュラルステップ」の持続可能な社会の定義を僕に想起させてくれました。

そしてデビッド氏は、生物多様性の事に触れて講演をしめくくっています。
彼が唱える生物多様性の節は、とても心惹かれるところがあり、重要と思われますのでここで引用しておきたいと思います。

生物の多様性は、私たちの生存を可能にし、また私たちが祖先から敬称してきた遺産でもあります。日本もそうですが、人類は、生物種の多様性を重視しなくなってきています。しかし、あなた自身の中にこういった野生、多様性があることを認識しなけれななりません。
 あなたは、今、私の話を耳で聞いておられます。あなたは、人間の耳の構造を見れば、その複雑さや優れた機能に驚かれるでしょう。あなたの口、ここには一億二〇〇〇万もの電極があります。朝食を食べると、無意識のシステムによって消化されていきます
貴方が食べた食物は、何兆もの細胞に送られて、消化されていくのです。実にすばらしい流通システムです。考えたり、人を愛したりする能力、二つの目が絶えず計算して物を立体的に見る能力、 このような能力をふくめて、私たちの身体のどんな小さな一部分をとってみても、そこには、生命の誕生に始まる三五億年の地球の歴史が刻まれているのです。三五億年前に誕生した生命の奇跡、生命のマジックが現在まで引き継がれて、みなさんが今日あるのです。他の生物もそうです。あなたに引き継がれている遺伝物質が、この事を可能にしたのです。どのような科学技術でもなしえない奇跡が、この歴史のなかに脈々と流れているのです。

そして彼はゲーテの言葉を引用し、講演を終えています。

誰しも夢を見ることができる

夢から始めよう。

大胆さこそ力であり、

天才であり

奇跡の源である


この宇宙のなかで、奇跡が起こったのはこの地球だけです。私たちは、この地球に新たな責任を負っています。あらゆる努力を方向けて、地球を回復させなければなりません。それを可能にしてくれるのは、皆さんの誇りと技量なのです。
ここに居る誰しもが大胆さをもっています。現在ほど、それが求められているときはいまだかつてありません
あなたがた一人一人が、奇跡を起こす力を持っているのです。

                          出典 「長良川から見たニッポン」天野礼子 Dブラウアー  岩波ブックレット 313

僕は、当時、カヌーデモの現場で、遠くから、熱心にビデオカメラを回しながらデモに参加しているデビッドさんを見ているだけでした。でも、この美しい一本の川ぐらいは守りたいという思いは共有していたと思います。

その後、デビッドさんとは1998年、私が米国のInternational rivers network にインターンしている時に再会しました。
  ブループラネット賞受賞で来日されたとき、「世界最強の環境保護活動家」と紹介してニュース23に取り上げて頂き、映像にして頂いた物が残っています。www.youtube.com/watch?v=cZdestjQwmI
    2000年の年末に彼は天国に召されました。

僕らが地球のために動くとき、いつも彼が天国から見守っていてくれる。いつも彼のスピリットが胸にある。そんな思いでこれまでも運動をしてきました。そして、今取り組んでいるナチュラルステップについても、実は彼がブループラネット賞の受賞記念講演で触れていたものだったのです。

改めて今、彼の想いに再会し、私も原点をかみしめることができました。

長良川のカヌーデモで知り合った仲間達と、デモの前日や終わってから、中流域をカヌーで下りました
その時の透き通った川。川面と空の合間がわからないようになって、空中遊泳しているような錯覚に陥るような瞬間をカヌーの上から、体感しました。大量のアユがザッとのぼってくるのが川面から見えました。
郡上八幡の吉田川の川ガキたち。漁師さんからうまいアユをたくさんいただきました。
楽しかったなあ  そうだ。当時は野田さんや、椎名さんら、あやしい探検隊なる怪しい大人たちもいたんだっけ。
長良川の事を思い出すと、今でも心躍りますし、僕は、あの清流での体験が原点となって、これが本来の川の姿なのだ。んじゃ、このうすら汚れた川はなんなん