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農政の改革。真に希望の農業を求めて。


朝日の社説。2月2日。
「農政改革—減反の廃止に踏み切れ」 より。

 政府が「減反政策」の見直しに取り組み始めた。現在はコメの消費量減少に合わせて生産量を減らすため、農家がコメの生産をやめて他作物に転換すれば補助金を出している。官民一体で、米価を支えるため需給を調整する「生産カルテル」だ。

 その改革案を夏までにまとめるため関係6大臣の会合が発足した。河村官房長官と石破農林水産相を中心に財務、経済財政担当、総務、経済産業の大臣が参加する。財政や地域政策なども含め多面的に検討しようという意気込みがうかがえる。重い腰をあげて農政改革へ乗り出すことを歓迎したい。

 朝日新聞の昨春のシリーズ社説「希望社会への提言」は、「コメの生産調整をやめ、増産へ大転換しよう」と訴えた。石破農水相は「タブーをもうけず、あらゆる角度から議論する」と話している。減反を廃止し、新しい農政へ思い切って踏み出してもらいたい。

 民主党も改革案を発表した。1兆円を投じて戸別所得補償制度を導入するという。欧米でも導入されている農家への直接支払いだ。しかし、民主党は減反を続けるとしている。これではなんのための新制度かはっきりしない。また、大半の農家を補償対象としているので、ばらまき的な「農家版の定額給付金」になりかねない。強い農家を育てる誘導策を組み込むべきだ。

 減反が本格的に始まって約40年。政府はこれまでに約7兆円もの税金と膨大な労力をつぎ込んできた。その結果、食糧自給率は主要国で最低水準の40%へ落ちた。耕作放棄地と休耕田を合わせた面積は東京都の3倍近くにまで増えた。もはや弊害は座視できないほど広がっている。

 もっとコメを作りたいという農家にも減反を迫る「締め付け」が全国の農村でおこなわれているのだ。一方で、農業人口335万人の6割近くが引退間近の65歳以上なのに、受け継ぐ世代が育っておらず、新規参入も少ない。出るくいが打たれるような職業に若者が魅力を感じるはずがない。

 昨春、高騰した穀物の国際価格は、世界同時不況の影響もあって今は落ち着いている。だが世界人口の増加と新興国の経済成長が続く限り、食糧が不足し高騰することは間違いない。日本がこれまで通り大量の穀物輸入を続けられる保証はないのだ。

 いまこそ農業改革を進めるときだ。

 減反政策をやめてコメ増産にかじを切る。主食用の需要が減っているので、米粉を小麦の代わりに普及させる。飼料米の生産を拡大する。さらに、生産性をあげるため耕作規模拡大を促し、将来性ある農家を重点的に支援する制度改革も不可欠だ。企業の農業参入も実現しなければならない。

 処方箋(せん)はこれほどはっきりしている。後は実施するだけだ

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自治体として、また、県としていかに農政の改革をやっていくか。これは最大といっていい課題だ。

カフェにいらした農業と飲食業に取り組む方とのよもやま話から、もっと現場の声が聞きたくなって、今日、2つの農業法人を尋ねた。今、庄内の米づくりの周辺の中、希望の動きを生み出している法人だ。一つは、除草剤を一成分しか使っていない藤島型と認証されている米の流通を東京、神奈川向けに「子育て健康米」として提携を進めているところ。このところ順調に需要がのび、東京都の学校教育用米(大田区、品川区)との提携。などを通じて、「藤島型」「鶴岡型」を流通させている。提携先との交流も盛んであり、田植え交流会だけにとどまらず、上流から海までの「いのちのツアー」を行うなど、なかなか素晴らしい取り組みをされている。高付加価値米としての「藤島型」「鶴岡型」の提携米の取り組みはひとつの希望だと感じている。
  また、有機農業に取り組む老舗の法人にも伺い、諸々意見交換。ラムサールやふゆみずたんぼへの取り組み、生き物調査の取り組み。諸々のお話。実に貴重なお話をうかがった。
色々情報交換していて、実際の政策を考えてみると、やはり減反政策が壁だと思った。
   まずは「有機農法の米づくりは減反対象からはずす」 事からはじめてはどうだろう。
  慣行農法では10俵とれるところ、無農薬無化学肥料の有機農法だと8俵止まりなのだとよく聞く。それを杓子定規で同様に扱っているところにそもそも無理がある。
   安全安心、そして健康にいいとして、有機農法の玄米を求める消費者のニーズは確実にある。でもこうしたシステムがその値段を上げざるを得ない要因のひとつを作っているのだと聞く。
  「米だけでも十分に食っていける」庄内農業を復活させ、後継者が育まれる持続可能な農業の営みをつくりにはどうしたらいいか。米づくり用のインフラづくりのために莫大な投資をしてきた適地である庄内の土地なのだから、米をなんとしても作り続けたい。
   欧米の「持続可能な社会」には、オーガニックな、地産池消の農作物、加工品が農業の軸として明確にある。環境保全型農業のエリアでもある鶴岡から、農業の「次の希望」をなんとしても見いだしたいものだ。