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TPP 「国会決議」は守られたのか? 否!その1


TPP問題

4月7日、8日、真っ黒黒塗り「のり弁」のようなTPP論点ペーパーと西川TPP特別委員長の著書「TPPの真実」問題で揺れている国会。4月8日の石原答弁は実にひどかったし委員長の裁きもひどすぎた。私は国会論戦をラジオで聞いていて腹が立って思わず怒りの声を挙げました。そんな方も多かったのではないでしょうか。

改めてTPPの農業への影響にて検証してみる。まずは、TPP協定の交渉参加の際、懸念されていた国内農業などへの影響を最小限にするために国会決議がおこなわれている。「国会決議」とは何か。以下である。以下衆議院資料より引用

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   環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する件

 

本年三月十五日、安倍内閣総理大臣はTPP協定交渉への参加を表明し、四月十二日、TPP協定交渉参加に向けた日米協議に合意した。

そもそも、TPPは原則として関税を全て撤廃することとされており、我が国の農林水産業や農山漁村に深刻な打撃を与え、食料自給率の低下や地域経済・社会の崩壊を招くとともに、景観を保ち、国土を保全する多面的機能も維持できなくなるおそれがある。また、TPPにより食の安全・安心が脅かされるなど国民生活にも大きな影響を与えることが懸念される。

これまで本委員会では、平成十八年十二月に「日豪EPAの交渉開始に関する件」を、平成二十三年十二月に「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件」をそれぞれ決議し、二国間、複数国間の経済連携協定が、我が国の農林水産業や国民生活に悪影響を与えることがないよう、政府に十分な対応を求めてきたところである。

こうした中、本年二月に行われた日米首脳会談における共同声明では、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識」したとしており、政府は、この日米首脳会談において「聖域なき関税撤廃が前提ではない」旨確認したとして、TPP協定交渉への参加を決断した。

しかしながら、我が国には一定の農産品以外にも、守り抜くべき国益が存在し、この確認がどのように確保されていくのかについても、その具体的内容はいまだ明らかにされていない。そのため、各界各層の懸念はいまだに払拭されておらず、特に、交渉参加について農林水産業関係者をはじめ、幅広い国民の合意が形成されている状況ではない。

 よって政府は、これらを踏まえ、TPP協定交渉参加に当たり、左記の事項の実現を図るよう重ねて強く求めるものである。

               記

一 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。

二 残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、BSEに係る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわないこと。

三 国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮すること。

四 漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。仮に漁業補助金につき規律が設けられるとしても、過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、更には震災復興に必要なものが確保されるようにすること。

五 濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと。

六 交渉に当たっては、二国間交渉等にも留意しつつ、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。

七 交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。

八 交渉を進める中においても、国内農林水産業の構造改革の努力を加速するとともに、交渉の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。

 右決議する。

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この1、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。

結局、TPP交渉はどうなのかといえば、現時点で、日本の関税撤廃率は95%。農林水産品では2594品目のうち2135品目(82%)が撤廃。「聖域」の重要品目も170品目(29%)が撤廃。重要品目以外では98%が撤廃。

 これまでの日豪EPAを上回る、史上最悪の農業つぶし協定であることが明らかになっている。そして更に「除外又は再協議について」だが、​これまでの自由貿易協定FTA、EPAにはあったこの「除外又は再協議」という規定が TPPには存在しないことが明らかになっている。そのため、一切の物品が撤廃対象となり、今回は撤廃にならなかった品目も将来的に撤廃を迫られる可能性があるとのこと。

そして日本は、7年後に、米国など農産物輸出5か国の要請に応じ、関税、関税割当、セーフガードを含む全面的な見直し協議を行うことが義務づけられる条項がもりこまれているとのこと。日本のように複数国の見直し要請に応じる約束をしている国はないということである。そして段階的に関税を撤廃する品目は、撤廃時期の繰り上げについても協議ができるとのことだ。(付属書2−D) 

国会衆議院2月3日に当時の民主党 福嶋伸享氏がこの問題をとりあげている。

石原TPP担当大臣と総理がそれに応え「国会決議に違反していない」と強弁したものの、その根拠は定かではない。

日本は、常に関税撤廃に向けての協議に臨まなくてはならないことは事実であり明白なのだ。

TPPの目標は完全関税撤廃。

「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。」

という1)には完全に違反することは明白だ。

4月3日の報告会でも指摘されていたことだが、そもそも関税が減るということは約2000億円といわれる関税収入が減るということになる。これまでの農業補助金はこの関税収入に頼ることが大きかった。TPPの影響への対策のための農業補助金もいつまでもつけられるとは限らないのではないだろうか。

以下、取材してきた4月3日のTPP協定の全体像とその問題点 報告集会 のVTRをご覧下さい。

6120ページの英文のテキストを読み解いた先生方が真実を語っています。

政府が翻訳したのは400ページほどだったとのことです。

1)農業について 

テキスト

http://www.parc-jp.org/teigen/2016/TPPtextanalysis_ver.4.pdf