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FUTURE EARTH ヒューチャーアースに応えてー山形の未来をつくろうーみどりの日2013にて


みどりの日

先日、大変興味深いシンポジウムに参加することができました。アジア保全生態学gcoe、生態適応gcoe、日本生態学会、環境経済政策学会、環境社会学会、環境評価、それぞれのリーダー、学会長がそろった改めて凄いシンポジウム「自然共生社会を拓くプロジェクトデザイン。環境省、文科省、JST、100名超の学者、企業の方々が参加していました。
 私自身は、ダム問題をこの20年ほど取り組んできて、何で未だに解決に至らないのか。未だにダムをつくり続ける常識が生態系を保全することよりも優先されてしまっているこの状況をなんとか変えないとと感じつつ、行動をおこしてきました。そのご縁でつながったのが東北大のGCOE生態適応というプログラムでした。生態学を学んでいる大学院生を通じて、社会的な取り組みについて企業やNGOなど、領域を超えて、持続可能な社会づくりについて学びあうというものでした。スウェーデンのNGO ナチュラルステップの高見元代表などとの関わりのある竹本さんがリーダーとなって、この5年間にわたり学び合いを続けてきました。私もコンソーシアムの一員として、また、中静先生をはじめ、東北大を中心とする生態学者の先生方に学ぶ機会を得、私自身も稚拙ながらダム問題の講義としてこれまでの体験をお話するなどをおこなって参りました。そのご縁で昨年は環境経済政策学会に参加しました。今般のシンポジウムは、その環境経済学と保全生態学、適応、など生態学をご専門にされている先生方を中心に、理学的な領域と社会学的な領域とが集う極めて意義深いものでした。

その中で中心の先生が述べ、そして文部科学省の担当官が示したものがFUTURE EARTHでした。

このシンポジウムの趣旨にも以下のように述べられています

このシンポジウムは、Future Earthという新たな国際プログラムの推進にも貢献することを意図して企画された。Future Earthは、DIVERSITAS(生物多様性国際研究プログラム)、IGBP、IHDP, WCRPという4つの地球観測プログラムを統合し、人文社会科学を加えた統域的研究(trans-disciplinary research)を推進することによって、人類が直面する持続可能性に関わる課題の解決をめざす、10年間の科学プログラムである。このプログラムがめざす統域的研究とは、単なる学際的研究(multi-disciplinary research)ではなく、多分野の知識を統合し、さらに新たな科学の創生をはかるものである。しかし、Future Earthがめざす統域的研究は、現状では概念にとどまっており、具体性に乏しい。
 このシンポジウムでは、生物多様性・生態系を題材として、Future Earthがめざす統域的研究の具体化をはかる。生物多様性・生態系分野では、自然再生・生態系管理など地域の具体的諸問題をめぐって、文理協働が進んでおり、統域的研究の具体化をはかる準備が整ってきた。この状況を背景に、2012年度には3回の研究会を持ち、自然科学者と社会科学者の対話を積み上げてきた。今回のシンポジウムでは、これらの議論の成果をふまえて、文理協働による研究プロジェクトの提案を具体的に検討し、統域的研究の推進計画を立案したい。

シンポジウムで感じたのは、現場重視ということでありました。「現場の問題をなんとか解決したい」と思っている僕みたいなものにとっては大変ありがたいことであり、一言発言もさせていただきましたが、参画されている学会長さんはどの方も現場をお持ちの先生方であり、これ以上の日本の自然生態系を失う前に、こうした先生方の本意を受け止めた政治を実現せねばならないと思った次第です。

ヒューチャーアースについては、以下、日本学術会議の大西会長も新年のメッセージで以下のように述べられています。以下転載。
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日本学術会議
 大西隆会長からの新年のメッセージ
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新年明けましておめでとうございます。

 昨年末の総選挙で、安倍晋三内閣が誕生し、新たな気分で新年を迎えた方も多いこ
とと思います。新政権の下で、科学技術政策がさらに拡充され、科学技術立国が推進
されることを期待します。

 Future Earth(地球の未来)という国際的な研究プログラムが、日本学術会議も参
加するICSU(国際科学会議)や、ISSC(国際社会科学評議会)、国連組織等によって
準備されています。まだ全貌が見えていないのですが、地球環境問題で警鐘を鳴らし
てきた大気、海洋、陸地や地殻の地球観測に加えて、人間社会の政治、経済、文化等
も観察対象に取り込み、人間の活動と地球の変化を統合的に考察すること。地域間、
地域内等、様々なレベルでの公平性を重視しつつ世界の発展を追求すること。これら
を踏まえて、持続可能な未来を築くために、様々な主体による適切なガバナンスを構
築すること。という包括的で学際的なテーマが設定されていて、文明史的な観点から
現代工業社会を見つめ直し、新たな文明への手掛かりを掴もうという意欲的な試みで
す。日本学術会議も、Future Earthの国際的な取り組みに積極的に参加していきた
いと考えています。その理由は以下です。

 第一に、2011年3月11日の大震災によって、科学の探究とその応用が本当に人の生命
や幸福を重視して行われてきたのかに大きな疑問が投げかけられたことです。科学的
探究を中途半端なところで切り上げていないか、安全性に未だ不安があるにもかかわ
らず安易に応用されていないか、科学の応用を中止したり大きく方向転換したりする
勇気を持たなかったのではないか、という疑問に、特に日本の科学者は真剣に向き合
う責任があります。Future Earthは、人と地球の相互関係という大きな枠組みで、人
の営みを再考する大きなきっかけになります。

 第二に、日本が急速な人口減少社会に向かうことも、根本に立ち返って文明の在り
方を考える動機を与えます。総じて幸福で、不安の少ない人生を送る人が相対的に多
いと見られる日本社会では、子孫を残して同じような生活を送らせたいと思う人が多
くてもよさそうですが、現実は人口ゼロに向かって着実に進んでいるともいえます。
何がそうさせているのかを深く考えることは、これまで享受してきた物質文明、それ
を支える社会構造や価値観の全体を見直して、未来社会への革新の手掛かりを掴むこ
とに繋がります。これもFuture Earthの重要テーマです。

 第三に、Future Earthは文字通り地球規模で国際的に発想し、交流することを求め
るの