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山形新聞社説に小国川ダム問題が掲載。


本日の山形新聞 社説に最上小国川ダム建設問題がとりあげられました。
まずは皆さん、ご一読ください。「賛否のすれ違い解いて」との内容です。

漁業権問題はそれこそ強制収用ともなれば全国初事例でありますので、県民の多くの方々にこの問題を知って頂きたいと思います。そしてこのダム問題の現場は、貴重な生物多様性の宝庫であることを知って頂きたいと思います。

ただ、この中でいくつか問題と思える点がありますので、指摘しておきます。
私達は、ただ、感情論で反対を言っているわけではありません。鮎が大事か人の命が大事か。という論点でもの申している訳でもありません。
科学的に検討をしてくださる学識者の見解も得ながら、真に、流域の安全安心とともに流域の持続可能な発展を叶えられる、持続可能な地域づくりのために何が適切なのか。とまさに「真の治水」を考慮した上で、私達は、あまりにも一方的、乱暴な推論によってダム治水が良しと強行されている事に疑義をもつのです。

自然は一度破壊されたら100年かけても元にはもどりません。自然の改変を伴う公共事業は、未来への責務として、もっと慎重にやらねばならないと思うのですが、県の今の工事は、これから主流になりつつある「ダムによらない治水論」を踏襲し、検討したふりをしながら、実際には強く検討することもなく、ほぼ無視したまま、ダム治水をあまりにも安易に、採用し、強行に至っているということです。

「ダムの目的は何なのか」−川に自分で迫り出した旅館を含む、赤倉温泉街だけ、
約40件の治水対策に巨額なダムをつくろうとしている!?

1.洪水被害の実態について
1975年(昭和49年)8月の集中豪雨ですが、赤倉温泉から下流域一帯で300戸以上浸水とあります。この中で、赤倉温泉地域の浸水被害は約40件でした。この時の資料を見ても、どこから水が越流したのか、定かではありません。内水被害が半分以上とみられます。で、赤倉温泉地域の下流域は、治水対策工事を県がおこなっており、下流域の川に隣接している民家などは、ほぼ50年に1回の治水対策が施されています。なので、最大を見積もっても赤倉温泉地域だけ約40件の治水対策が目的としてのダムということになります。県は、278件とか300件とか、流域全体の数値を提示しますが、「赤倉温泉地域の水害は何件か」と問われると県は「当時の赤倉温泉地域内の件数は残っていないなど答え続け、「たった数十件」と書かれないようにしてきたのです。そこは勘違いしてほしくないのです。今般の、実際的過去の水害で被害が及んだ治水対象の件数は、赤倉温泉地域内の約40件、そのうち内水氾濫被害も含むという実態です。

 「洪水が度重なり」のほとんどは、内水被害であります。それと、赤倉温泉の旅館の実態は、堤防の上から河道内に旅館の建物が迫り出しているような実態であり、これはこれを認めてきた河川管理者の責任を問わなければならない問題なのだということを踏まえるべきです。
 更に言えば、最近水があがりやすい(といっても堤防を越える被害はないのですが)原因は、県がつくったと最近になってようやく認めた堰なのです。以前は粗だや板でくんでいて、洪水時には流されていたものを、県がコンクリートで造ってあげた。そのために土砂がその上流にむけて溜まっている。その上流は溜まった後に更に床止めをつくって、更に土砂が溜まっている。結果として、河床上昇し、溢水しやすく、排水処理も困難になっているということなのです。

要するに「県がつくった構造物が浸水被害を引き起こしやすい原因をつくりだしている」疑惑が歴然として存在するということです。



2.治水対策の科学的な曲解、誤解について

「県が穴あきダム」方式を決めるまでには河道改修や遊水池、放水路建設などの手法も検討してきた。国交省も事業採択に際し専門化(家)による有志医者会議を重ね、最も現実的で環境への負荷が少ない方法としてダム建設を採用した」

 とありますが、これら会議自体に問題があるということです。最も大きな問題は、河床の土砂除去を全く考慮していないという点です。実際に県が依頼して実際の調査にあたった川辺孝幸 山形大学教授は、温泉湯脈に影響を与えずに河床の土砂除去、掘削は可能と主張していますが、県はそれを曲解、全く無視したままです。

基本高水の水量もご多分にもれず過大といえる数値と評価されています。

今本博健 元防災研所長、大熊孝 新潟大名誉教授 は、現地に数回訪れ、不自然な、土砂堆積の現状を指摘しています。
 河川環境の問題については、たかはし河川生物調査事務所 高橋勇夫先生が、「穴あきダムでも甚大な環境への影響が考え得る。「これまでの県の委員会の議論は考慮すべき点を考慮していない」と批判しています。

こうした科学を無視したまま、結論を出してきた。要するに「ダムムラの内輪の研究者の推論」でしか検討をおこなってこなかったことを県は猛省すべきです。


なので、漁業権をもつ漁協に、ただ、今のダムありき論調で、「丁寧な説明をすればいい」ということではないことを、読者の皆さんにはご理解いただきたいと強く思う次第です。


まずは、説明責任不足のまま突き進む、理不尽なダム強行を止めて、徹底議論、再検証のテーブルをつくることです。

草島進一 文責