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山形県24年度予算。最上小国川ダムへの5.7億。僕はこれは許せない。


山形県議会、24年度予算の審議が20日からはじまっています。
この図の中で、今般おこなわれようとしているのが赤い線のダム工事用の取り付け道路です。そして本流にダムをつくるために、川をバイパスさせる転流工の事業もついています。

僕はこの図を取り寄せた際に山形県県土整備部ダム担当の竹内氏に尋ねました。「漁業権をもっている漁協が反対しているのに、取り付け道路つくるの?おかしいんじゃないの?」
すると「あくまで道路です。川に触れませんので、漁業権にはさわりません。だからできるんです」
僕「川に全く影響与えないでできるのかな」と。
 小国川については、1300人の組合員がいる小国川漁協が理事会で反対を決議し、ずっと反対を貫いています。全国多くの漁協では、補償金の札束を見せられると即妥協して補償交渉に乗ってダム容認をしてしまうという中で、この小国川は沼沢組合長をはじめ骨のある理事の方々がいらっしゃるために真っ向からダムに反対し続けられているのです。
 熊本県の川辺川ダム問題の際、川辺川の漁協がまさに、反対を貫いていました。なので川辺川ダムは本体着工についにいたりませんでした。

 今般の予算で取り付け道路と転流工ということがついていますが、漁業権を持つ漁協が納得しない限り、ダム本体工事は不可能なのです。なので、今回の予算が盛られている取り付け道路をつくったからとて、ダムがつくれる保障はありません。もし、川辺川のように周辺をやってもダム本体をつくられなかったとしたら、そこまで投資してきた税金は全くムダということになります。今回のケース、5億7千万円で取り付け道路、転流工をつくってしまうとなっていますが、漁協や反対を押し切って既成事実を積み上げてしまおうということなのだと考えます。
 
 昨年、12月21日、私を含む清流を守る会では、11月27日の検証などで得た、1)アユへの影響、2)「温泉に影響があるから掘削できない」の真相(実際は全くそうではないこと)3)一軒の旅館(A旅館)の温泉確保のために県がつくった堰によって土砂が堆積し、周囲を危険な状況にしていること。などを突きつけた公開質問状を提出しています。
県は、2ヶ月以上たつのに、回答がありません。要するに説明責任を怠ったまま、予算を付けているということです。

 私は、2003年のこのダム構想、最上川流域小委員会の傍聴からずっとこのダムがつくられようとするプロセスを見てきました。流域小委員会は、10人の委員の内、沼沢組合長だけがダムに依らない治水論を唱え、毎回それを提案するたびに、県が「できない」」理由だけを述べる。また委員のほとんどは推進派で、20年前からの地域要望だ(そのときは多目的ダムで利水が目的だった)などといっている始末でした。東北大の風間先生はダム推進論、座長の山形大学の大久保先生もダム容認の立場をとって進められ、その場には、ダムに依らない治水論を明確に主張できる河川工学者は皆無のまま、議論が進められておりました。
 私達は、天野礼子さんとともに、2004年に大熊孝新潟大学教授、元京大防災研所長の今本博健先生をこの委員にいれるようにも要望をしました。しかし当時の齋藤知事は、全く聞く耳もたずで「十分に検討をつくした」等と言っていました。そして、2009年政権交代後の「検証」には、各県で検証委員会がをたちあげ、検証がおこなわれていますが、山形県の「検証」には河川工学者がはいっていません。「治水と地域振興を考える懇談会」がおこなわれていますが、基本的に「ダムありき」論で会が進められていました。

 結局、今般提示した3点の論点についてはきちんと説明が果たされないまま此までに及んでいます。
 この小国川のアユは種苗用の種アユとしても優秀で、三瀬の孵化場で採卵されるアユはここのアユと聴いています。そしてそのアユは昨年75万匹、そして今年春には170万匹、津波で被災して孵化場を失った岩手などに送られているのです。山形のアユ資源の要、源の川がこの最上小国川なのです。

穴あきダム、流水型ダムというダムを、日本の国土交通省は、ダムの延命策として広げようとしています。その内、全国で最も清流、そして、生物多様性のホットスポットにつくられようとしているのが最上小国川ダムなのです。
 
アユ釣りに来る客が年間3万人(舟形町発表)、その流域に対する経済効果は年間21.8億円と試算されました(近畿大有路研究室調べ)流域にはクマタカ、ヤマセミが生息し、ハナカジカ、トウホクサンショウウオも生息、更に最近、蛾の一種、ワタナベカレハの有数の生息地であることがわかりました。
生物多様性については、COP10で、愛知ターゲットで掲げたとおり、国で国家戦略を立てる一方、各自治体にも戦略計画をたてることが促されています。

愛知ターゲットとは「人類が自然と共生する世界を2050年までに実現するために、国際社会が2020年までに実効性のある緊急行動を起こすことを求めている。2020年までに保護地域を陸域で17%、海域で10%に拡大することをはじめとする20の目標を掲げている。」というものです、

これに照らしても、今どき、生態系を破壊するダム事業など、やるべきではないということであり、実際に米国ではダムをつくるよりも撤去する時代(もう700ものダム撤去をおこなっている)であり、EU諸国も同様。ダム水力発電は再生可能エネルギーにははいっていません。

それともうひとつ、「穴あきダムなら環境にやさしい」「日本一環境にやさしい穴あきダム」と吹聴しているのは、山形県だけということです。このことに、実証はないし、全く根拠がないことは明らかになっています。鹿野県土整備部長も「全く影響がないわけではない」と認めています。

なのに検証の際、そうした自然資本の経済については、議論は全くされていませんでした。有路研究室の試算、年間21.8億の経済効果、そして、環境悪化すると年10億円の損失という試算を踏まえた検証は皆無のままです。


今、山形県知事に、この小国川ダムの見直しを求める、署名活動をおこなっています。
http://www.ogunigawa.org
WEB署名もはじめました。目標10万人です。

何卒よろしくお願いいたします。