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2013年6月議会予算特別委員会01(自然資本)


6月議会での予算特別委員会での質疑内容について、掲載して参ります。

1)自然と文明の共生する理想郷 山形について

◆草島進一委員

草島進一でございます。

資料をお認めいただきまして、ありがとうございます。  それでは、早速質問させていただきます。 今期の当初に知事は、「自然と文明が調和する理想郷を目指す」という目標を掲げられております。 卒原発とともに三・一一の原発事故、津波災害を踏まえた意欲的な目標として大いに評価するものですが、山形県として大変大事なテーマだと思います。

私の考えを述べますと、これまでの私たちの文明、文化というものを、改めて真の持続可能な社会という軸に照らし、経済の考え方や発展のあり方を修正していくことではないかというふうに考えます。

そのためには三つぐらい山を越えていかないといけない大変大きな仕事ではないかというふうにも考えております。 エネルギーの分野で持続可能性を実現するには脱原発であり、省エネルギーとともに再生可能エネルギーを普及することと考えます。
 また、自然については、開発に伴う自然破壊が今も進み、生物多様性の危機が叫ばれております。

そこで、今、それをきちんと価値化し経済行動に反映させていこうということが始まっています。

地球温暖化による気候変動には、その経済的な損失を試算し、CO2抑制の経済効果を算出したスターン・レビューというのがありましたが、それと同様に、自然に値札をつけ生態系サービスや自然資本を価値化するTEEB、これは生態系の経済学といいますが、これが二〇一〇年の名古屋の生物多様性国際会議で発表され、昨年六月のリオ+20では、金融機関が、これ日本の金融機関も含めてですけれども、自然資本という考え方を金融商品やサービスの中に取り入れていく自然資本宣言というのが行われました。

 これを受けまして、国内でも、北海道下川町などの自治体で自然資本というものを地域ならではの豊かさの指標として行政経営に取り入れ始めたところがあります。
また、例えば兵庫県などでは、真の持続可能な発展を踏まえて兵庫県GPI、これは真の進歩指標というものですが、推計し、公表することに取り組んでいます。

自然と文明の調和を実現するには、こうした自然を経済の面で、経済の軸で捉え直すなど、新しい政策や研究が必要ではないかと思います。

 知事は、どのような思いでこの理想郷をなし遂げようとしておられるのかお伺いをします。
また、国連が定めた持続可能な開発のための教育、これESDといいますが、その十年の最終年に当たる二〇一四年の秋に、十年間のこのESDの取り組みを取りまとめる最終年会合が愛知県名古屋市で開催されます。こうしたESDの理念や環境教育に関する知事の考え方について、あわせてお伺いをいたします。

吉村美栄子知事

私たち人間による暮らしや産業経済などのあらゆる営みは、自然がもたらす価値ある恵みによって支えられているものであります。

自然資本という捉え方は、持続可能な社会を維持し、さらに次世代へと引き継いでいく上で大切にすべきものであると考えております。
私は、今年度の当初予算において、「自然と文明が調和した理想郷山形」という将来ビジョンを県民の皆様にお示ししたところですが、こうした自然資本の捉え方を踏まえ、時代にあわせて自然と文明の調和というものを考え、山形らしい、山形にしかできない新しい成長の姿が、健全かつ持続可能な形で実現されていくものと考えております。

このビジョンの具体的な考え方ということでありますが、まず、自然とは、本県の豊かな自然環境や天然資源であり、文明とは、先人から受け継ぎ伝えられてきた伝統文化や、機械に代表されるような現代産業全体であります。豊かな自然や天然資源を大切にしながら、現代文明の中で生かせるものは生かし、発展できるものは発展させ、働く場を創出して、県民一人一人が喜びと幸せを実感して生きていくことができる、住んでよし訪れてよしの理想郷を目指していくものであります。

私は、この将来ビジョンを実現していくため、今後の施策展開の軸となる大きな理念として二つの視点を重視し、四本の成長戦略を掲げております。
二つの視点は、産業振興と地域再生であります。

四本の成長戦略でありますが、一本目が、中小企業の振興、世界最先端の技術による産業形成、企業誘致の推進、観光立県山形の実現であります。
二本目が、農林水産業の六次産業化の推進による食産業王国やまがたの実現であります。
三本目が、自然エネルギーで地域経済活性化・産業振興であります。
そして四本目が、これらを支える基盤となる福祉・医療・教育の充実であります。

 私は、これら四本の成長戦略を積極的に推し進めて、本県の力強い発展へと結びつけ、元気な山形を将来の世代へと確実に引き継いでいくという強い意思を持って、「自然と文明が調和した理想郷山形」の実現に邁進しているところでございます。

次に、本県における環境教育ということでお尋ねをいただきました。

 近年、資源及びエネルギーの大量消費を基調とする社会経済活動の急速な進展により、地球温暖化等の環境問題が世界規模の課題となっております。一方、環境問題の多くは、身近な日常生活や経済活動と密接に関係しておりまして、一人一人が身近なところから問題解決のために行動することが求められます。

 本県では、山形県環境基本条例において、持続的発展が可能な豊かで美しい山形県の構築を目指すこととし、環境施策を推進しております。本年三月に策定した山形県環境教育行動計画というものがございますが、その中で、環境を保全、創造・活用する原動力となるのはやはり人づくり、その人づくりについて、山形に深い愛着を持ち、その恵みに感謝しながら、守り、創造・活用し、それらを次世代に引き継ぐため責任を持って行動できる人、さらには、世界的な視野に立ち、愛情を地球そのものにも注ぐことができる人を掲げているところです。

私は、本県の豊かな自然環境を保全することはもちろん、さらに一歩進めて、自然環境資産を創造・活用することで持続的な発展が可能な地域にしていくことが私たち世代の責務であると考えております。

環境教育行動計画に沿って、家庭、学校、職場、地域などで、県民みんながみずから参加、協働する環境教育施策を推進して、持続的発展が可能な豊かで美しい山形県の実現を目指してまいる所存でございます。

◆草島進一委員

知事、ありがとうございました。

 山形らしい、山形にしかできない成長の姿を目指していく、その理念、私も同感でございます。

今のお答えの中で、ESDについてのお答えがございませんでしたので、そこの部分だけお伺いしたいんですが、二〇一四年の秋にユネスコESDの国際会議、これが愛知県名古屋市で開催されるに当たって、大村知事が今、孤軍奮闘しているような状況であります。

この持続可能な開発のための教育、県内でもユネスコスクールという取り組みで頑張っている学校もありますので、ぜひ山形県でも一生懸命取り組んだらどうかというふうに思いますのでその案件。

あともう一つ、この持続可能な社会をかなえていくに当たって、やはり合意形成手法というのが課題になっていくと思います。

今回のダム案件も、また風力発電の問題もやはりこのあたりに課題があったのではないかというふうに思います。
このあたりも、ぜひ自然資本の研究とともに、県でも合意形成手法、研究に取り組んではどうかと思いますけれども、知事の見解をこの二点についてだけお伺いをしたいと思います。

吉村美栄子知事

委員からそういう御指摘二点ございましたけれども、本県は本県として、やはり本県に合った自然資産というものをしっかり活用していくのが大事だと思っております。

ただ、やはり先進国とか先進的な考え方、また、先進県というものがありますので、委員のその御指摘というものをしっかり受けとめて、ちょっと検討してまいりたいというふうに思います。