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月別ア―カイブ: 7月 2013

2013年6月議会予算特別委員会04(最上小国川ダム建設について)


次に、最上小国川ダムの建設事業についてお伺いします。  まず、各論からお伺いします。

草島進一委員

今般計画されているダム建設ですが、湛水した際に県道が水没することになっております。
これは大変珍しくて、河川工学者から、聞いたことがないと、これ危険なんじゃないかと、試験湛水の際には通行どめが続くようになる、なぜそのような計画になっているんだろうという声が寄せられております。
なぜそのような計画になっているのか、県土整備部長にお伺いします。

岡邦彦県土整備部長

今、水没する県道のつけかえについてお尋ねがあったのでお答えいたします。

通常、水をためるダムの場合には、既存の道路がダム湖に水没する場合、その道路については、水没しない位置にかわりの道路を設置しております。

ところで、本県で計画している最上小国川ダムのような流水型ダム、いわゆる穴あきダムについては、通常時はダムに水がたまっておりません。

これは、ダムの底部に常用洪水吐きという穴をあけることで、通常時は水がたまらず、大きな洪水の場合のみ水がたまることになります。

そのたまるような状況でございますが、例えば十年に一回の規模の雨が降った場合、これ大体、降雨量でいくと百三十五ミリ程度になりますが、流水型ダムにたまる水は上流から水がたくさん流れてきますので、水が約十二時間でダムの背面における水位が二十三メーター上昇し、その後また約十二時間で水位が二十三メーター下がることになります。

すなわち、流水型ダムの上流で洪水をせきとめることになり、約一日の間で水位が二十三メーター上がって二十三メーターまた降下すると、そういう現象が最上小国川の流水型ダムで発生いたします。

このため、ダムの付近を通る一般県道最上小野田線は、通常時は水没いたしませんけれども、十年に一回を超える規模の降雨があった場合に、ダムのその上流側に大量の水がたまることになり、その場合にのみこの県道が水没する計画となっております。

このように、通常は全く問題がなく利用できる上に、水没する頻度がおよそ十年に一回と非常に少ないこと、それから、上流に住居がなく交通量が少ないこと、それから、これまでも十一月から翌年の五月までこの県道については冬季閉鎖を行っていること、それから降雨量が時間雨量でいきますと三十ミリ、または連続雨量でいきますと百五十ミリを超えた場合には通行どめをこの県道ではしております。

そういう雨量規制をとっていることなどを考慮し、最上町、それから宮城県、加美町など関係機関と協議を行いながら総合的に判断した結果、あえてこの県道について山を大きく削ったり、あるいは橋をかけかえたり、あるいはトンネルを掘ることが必要となる県道のつけかえは行わずに、現在の県道を十年に一回の洪水による貯水位の高さ以上になるようにかさ上げをして活用するとともに、仮にそれ以上水がたまった場合でも、水没しても道路が壊れないように耐水化の工事を施すことにしたものでございます。

ダムの完成後においても、これまでと同様の雨量規制を行うとともに、通行規制の状況をお知らせする道路情報板や規制周知標識の設置、通行どめゲートの設置、待避所の設置、通行どめを行った後、湛水地の上流側に通行者がいる場合に備え、安全な場所を確認できる案内標識を設置いたします。また、洪水時にはダム管理担当が巡回パトロールを実施するなど、何重にも安全確保のための対策を実施する予定でございます。

一方、試験湛水においてでございますが、ダムの水位が高い場合の安全性を確認するため、ダムの水位が高い状態を一定期間維持する必要があり、その場合には県道の水没が続くことになります。

ただし、現在の計画では、その試験湛水を行う期間を一月から三月の冬期間に実施する予定でございまして、この期間については、現在でも最上小野田線は十一月から五月まで冬季閉鎖期間であることから、通行どめが続くことによる交通上の問題は全くないと考えております。

草島進一委員

 このつけかえ道路をつくらないダムというのは非常に珍しいんですね。

なぜつけかえ道路をつくらないのかというと、私はこれ、BバイCが成立しないからじゃないかというふうに思います。このダムの総便益八十九・九二億円で総費用六十八・一六億円、一・三二倍なんですね、非常に低い。これ、つけかえ道路をつくっちゃうと費用対効果が成立しないからそういうことになっているんじゃないかというふうに思います。

それと、もう時間がないんで質問を続けますが、これは後で答えていただきたいんですが、きょうは先生方に写真の資料を渡しております。県は、この赤倉温泉の浸水被害を殊さらに強調して、赤倉温泉は危険なのだという認識に立っていると感じますが、それでは、なぜ危険とされ、治水論の議論が行われている箇所の川に面した場所にこうした新しい建築物、これは平成二十三年完成しているんですけれども、こういうのが建つんでしょうか。

赤倉温泉地域の目標となるこの建物、右側の建物が平成二十三年に建ちました。これを見ますと、約二メーター以上の耐水壁というのを設けております。このダムの効果ですが、赤倉温泉地域の目標となる三百四十トンの基本降水水量が流れた際に、基準点で一・四二メーター水位上昇すると。ダムでその分を下げる、それがダムの目的だということであります。

一・五メーターぐらいの壁があればそれは防げるということを報告いただいておりますが、これはこの赤倉温泉街の治水対策のお手本になるんじゃないでしょうか。こうした耐水対策を施せば、いち早く治水対策はできるんじゃないでしょうか。

これまず、なぜこういう建物を危険だという地域に認めているのか、そして、この治水対策について改めてお伺いをしたいと思います。

岡邦彦県土整備部長

 今、危険地域における建物が建てられるのかどうか、そういう御質問がありましたので、それについてまずお答えをいたします。

 建築基準法第三十九条第一項では、「地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。」とし、あわせて第三十九条の二項では、「災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、前項の条例で定める。」とされております。

 県の具体的な事例といたしましては、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第三条第一項により、崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのある区域を急傾斜地崩壊危険区域として指定しており、建築基準条例により、この急傾斜地崩壊危険区域を災害危険区域としております。

 これらの区域指定を行った場合には、個人の土地等で施設設置等の行為について私権の制限を課すことになることから、慎重な対応が必要になります。このため、危険の著しい区域を限定して区域指定を行っております。ただし、一般的に浸水が予想される区域については、区域指定は行っておりません。

 したがって、この赤倉地区については、今、建物が建っていると言われましたが、この箇所においても、その災害危険区域の指定はなされておりません。また、当該地域は、都市計画区域内で用途の指定のない区域であるため建築物の用途規制を受けない地域であり、建築制限されていない地域となっております。

 そこで、こういう場合に、建築物を建築する場合には、一般的に事前に建築基準法に基づく建築確認申請というのが必要になってきておりますが、これについては、建築計画が関係している基準に適合しているかどうかを一定期間内に判断する行為でございまして、適合している場合には、その確認済証を交付することになっています。

 この建物については、その建築基準関係規定に適合しているため、確認済みの交付を受けて建設されたものでございます。  次に、委員から、ここでは写真にございますように耐水壁のお話が今ございました。委員御提案のこの約二メーターの耐水壁を設置する耐水対策を行う案については、河川管理施設等構造令で示されておりますように、こうした耐水壁では洪水を防ぐことはできません。その理由としては、一つは壁の端部において、その洪水がその民地側に流れ込むおそれがある。それから二つ目としては、この耐水壁が洪水時の水位の水圧を考慮した設計でないおそれがあること、さらには、その洪水が押し寄せた場合に漏水対策が万全でないおそれがあるなどなど、さまざまな課題が危惧されるところでございます。

 このことは、このような壁を有する場合には、壁を除いた堤防部分の高さだけで計画高水位以上となることが河川管理施設等構造令第二十条四項で必要とされています。つまり、赤倉地区の最上小国川において計画高水流量の流下能力を確保するために、このような壁をもって対応することでは洪水を防ぐことはできないことから、河川管理施設等構造令でも認められておりません。

 そこで、赤倉地区においては、治水対策の決定に当たっては、流水型ダムだとか遊水地、放水路、河道改修の四つの案について七つの評価項目で客観的に比較させていただいた結果、治水効果の発現が最も早く、コスト面でも最も安く、自然環境や歴史ある温泉街を現状のまま存続できるなど、地域社会への影響に関してすぐれているということから、流水型ダムに決定させていただいています。

 県では、赤倉地区の安全安心を一日も早く確保するため、この流水型ダムによる治水対策を進めてまいります。

草島進一委員

 洪水を防ぐことができない耐水壁だと言っていましたね。
そういう壁をつくりながらの建物を、なぜこれ建てることを河川管理者は防災上の問題として指摘しないんでしょうか。

命を守るための治水という、その観点が抜けてると思いますよ。危ない地域に、なぜこれ認められるんですか。

危ないからダムの議論をしている最中に、なぜこの新しい建物が認められるんですか。命を大事にしてないんじゃないですか。

命よりもダムをつくることを優先しているんじゃないですか。その治水のことについては、今、見直しがかけられている。本当にすぐにでもこの治水対策ができる事業を優先して、とことんですね、まだこのこと自体をとっても、だってこれ、もし今の段階で何か洪水があったら県は責任とるんですか、これ認めた県は。いろんな疑問が湧いてきます。

 この土地利用規制まで考えた流域治水ということについては、ほかの県ではもう取り組まれています。我が県だけ取り残されているような気がします。本当に命を救える治水に変えていただきたい。よろしくお願いします。ありがとうございました。



2013年6月議会予算特別委員会03(サクラマス、アユ振興策について)


◆草島進一委員

それでは次に、農林水産部長に漁業の振興についてお伺いします。

サクラマスの振興についてお伺いします。

平成二十八年に開催予定の第三十六回全国豊かな海づくり大会への取り組みの中で、知事は、「森は海の恋人」という言葉を使われております。

 平成四年に選ばれてから二十一年。山形県の魚であるサクラマスですが、このたび環境省第四次のレッドリスト、二〇一三年のレッドリストで準絶滅危惧三十四種の中に含まれてしまいました。

庄内では、桜が咲く時期の貴重な食文化でありますが、それが危機を迎えております。海から川のほとんど、最上流まで遡上、産卵し、約二年間、川で生活するサクラマスは、森と海とをつなぐ象徴的な魚だと思います。県魚サクラマスの再生に取り組むべきと思います。

 県は、サクラマスが減少している原因はどこにあると考えていらっしゃるのか、また、この実態を踏まえ、このサクラマスの再生・振興にどのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお伺いします。

若松正俊農林水産部長

 ただいまサクラマスの振興というふうな御質問をいただきました。サクラマスの状況も踏まえて答弁をさせていただきたいと思います。

 まず、サクラマスの漁獲量でありますけれども、これは平成六年の約三十トン、これをピークにいたしまして、それ以降減少傾向が続いております。ここ数年は十ないし十五トンの間で、決して多くない量にありますけれども、その水準で推移してきております。その内容、内訳を見ますと、沿岸と河川の漁獲量、それが大体半分というふうになっております。

 一方、放流数になりますけれども、サクラマスが県の魚に制定された平成四年以降、いろいろな形で百万尾前後の放流ということで、かなりの放流を続けてまいりました。その後、平成十六年以降になりますけれども、漁協の放流義務といいますか、増殖するというふうなかかわりもある、漁協のほうの関係が出てくるんですけれども、天然アユの遡上数が減少するというようなことがありまして遊魚料収入が漁協にとって減ってくると、こういうふうな状況になりまして、放流するのにも大変厳しい状況になったというふうなことがございまして、サクラマスの放流は、それを境にして減少しているというような経過をたどっております。

 今申し上げましたように、確かにサクラマスの漁獲量が減少して現在に至っているというふうな状況にあるわけではありますけれども、その背景というものを改めて整理してみますと、一つは、先ほど申し上げましたようにサクラマスの稚魚の放流数の減少、これが最も大きいというふうに考えられます。

二つ目といたしましては、河川等での釣りによる幼魚、小さな魚、そういったものが釣られることによって減少するというふうなことが二つ目。

あと三つ目といたしましては、堰堤等に整備しております魚道が、流れてくる土砂によってその中に入り込みまして目詰まりを起こして、十分な本来の機能を発揮できないような、そういうふうな状況もやっぱり時間とともに出てくると、こういうような要因が主なものとして考えられまして、総体的に大きな、こういったものが漁獲量の減少に結びついているというふうに考えているところであります。

 こういうふうな状況を踏まえまして、県といたしましてということになりますが、サクラマスの振興に係る今後の対策というふうなことで申し上げますと、一つは、最近の内水面水産試験場、米沢のほうにございますけれども、そこの調査研究がございます。これは平成十九年からやってきておりますけれども、その研究を御紹介申し上げますと、遊佐町に水産振興協会のふ化場があります。

それで、そこで稚魚から育てて親魚、親の魚にした。そして、それから採卵をしてそしてふ化させるというようなやり方に比べまして、これは従来型なんでございますけれども、海から河川に遡上してくる親魚から採卵をしてそして育成した稚魚、これを比較してみますと、回帰率が高いというようなことが明らかになっております。

 先ほど申し上げましたように、放流量と漁獲量には、トータルとして見ますと一定の相関が見られます。そういうふうなことを踏まえまして、平成十九年からは県内の漁協の協力を得ながら、遡上したサクラマスを親魚といたしましてそれを利用して放流稚魚の生産をやっていくと、こういうふうな取り組みを始めております。

この春の放流を見てみますと、そういうようなやり方でもってしている放流の数が、総数で約四十万尾ほど県内で放流しておりますけれども、そのうち約四万尾、一割というふうなことで、今言ったようなより回帰率の高い、中身を変えるような工夫に取り組んでいるところであります。今後さらにその割合をふやしていくということで、回帰数の増加を図っていくというのをひとつ進めてまいりたいと考えております。

 あと二つ目でございますけれども、河川内では釣り人による漁獲の影響を軽減するというようなことを目的にいたしまして、河川内における遊魚期間の短縮、幼魚が海に下ったり、あるいは遡上した親魚が産卵する期間を禁漁にするというふうな形で保護していくというような考えがそこに入ってくるわけでありますが、そういったような見直しを図ることについて、県の内水面漁業協同組合連合会のほうから要望も受けております。

これまでもいろいろな意見交換をしてきたわけでありますけれども、今後、内水面漁場管理委員会の議論を踏まえまして、県として必要な見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。

 あと、三つ目でありますけれども、種苗放流に頼るだけでなくて、河川内における自然産卵を助長させるというふうなことも極めて大切、重要であるというふうに思っております。関係機関・団体と連携しながら、引き続き魚道の設置や機能の回復、そういった生育環境の改善に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 委員からありましたけれども、平成二十八年度に全国豊かな海づくり大会が本県で開催されます。まずは資源量の増加対策というようなことで、関係機関・団体の理解と協力を得ながら、より効果的・効率的な放流等に取り組むことによりましてサクラマスの振興を図っていきたいと、このように考えております。

◆草島進一委員

 ありがとうございました。

 このサクラマスについては、先日、富山県の水産試験場を訪れました。そして、サクラマスやアユに詳しい研究者にお尋ねしましたが、富山県では、ダムで川が寸断され、対策を施そうにもなかなか手が打てない状況だと。

これはサクラマスに詳しい方から言わせると、自然産卵を維持することがサクラマスの増殖につながる、そのために遡上する親魚の確保だとかスモルトの漁獲制限を徹底するとともに、サクラマスが生息及び産卵可能な河川環境を維持し増大させることが必要だという結論を、これは、山形県も参加した日本海域サクラマス資源再生プログラムの事業でそういう結論だということであります。

要するに、これ以上ダムや河川改修による環境破壊をとめる、そういうことなんじゃないんですか。

 ダムや河川環境の悪化による影響がサクラマスを減らすことになっている、こういうふうに多くの研究者の方が考えているようですけれども、そこに対しての見解だけ、この一点だけ簡潔にお答えください。

若松正俊農林水産部長

 今、委員からダムの整備、建設、そういったものが影響しているのではないかというふうなお話でございましたけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろな統計あるいはその内水面試験場、こういったところを踏まえますと、放流量とサクラマスの漁獲量の関連、あるいは実態調査をこれまでしておりますけれども、魚道の目詰まりによって上れなくなった視点、そういったものの原因、そういったものを総合的に勘案しますと、ダムというふうな形には現在のところ結論づけるということはできませんので、よろしくお願いしたいと思います。

◆草島進一委員

 これ、新聞記事があるんですけれども、山形県内水面水産試験場資源調査部長の見解で、河川環境の悪化が第一であり、ダムなどの工作物で川が分断され、産卵場である上流まで遡上できなくなっている上に、護岸化で流れが直線化し、生息に適したふちなどが少なくなっていることが原因だというふうに見解しているので、これは県の水産試験場の方が言っているわけですから、やはりこういうことを踏まえてこれからを考えていかなきゃいけないのではないかというふうに思います。

 あわせて、小国川の漁業振興、このアユの漁業振興について、県、知事は、この漁業振興に取り組むという考えをお示しになっておられますけれども、どのような漁業振興を考えておられるのか、これ簡潔にお答えいただきたい。ぜひお願いします。

若松正俊農林水産部長

 今、最上小国川における漁業振興というふうなことで御質問ありました。

 最上小国川というのは東北有数のアユの優良漁場であります。その漁獲量は三十三トン、これは平成二十三年度でありますけれども、本県のアユの漁獲量の四五%を占めるというようなことで、まさに山形県の中心的なアユ河川ということができます。御案内のとおり、全国から多くの釣り人が訪れまして、全国大会なども開かれております。流域の活性化というような意味でも非常に大きな役割を担っているというふうに思っております。

 しかし一方で、その流域の状況を見てみますと、漁場を管理する漁協の組合員の高齢化、あるいはその数が減っている、さらに担い手が確保できない、加えて、年々釣り客の方が減ってきているというようなこともありまして、加えて根本的にその漁協の、手狭になったアユの中間育成施設、さらにはサケのふ化場、こういうようなものをどうしていくかといったような総合的な課題が、現に構造的に求められております。

したがいまして、こういったものにいかにして漁協として、最上川流域として対応していくのかと、役割と、そしてこれからの対応をどうしていくかということが求められております。

 そういうふうなことから、県のほうでは、ことしの一月からこれまで、県と流域の舟形町、最上町、あと小国川の漁協の間で意見交換というふうな形でいろいろ議論を重ねてきました。

そして、アユなどの水産資源を活用した地域振興策につきまして検討を進めていこうというふうなことで合意形成が図られたところであります。その上で、できるだけ早く、今申し上げたような団体と、あと農協とか商工団体、そういったものも加えまして、産地協議会を地域主体で立ち上げて議論を進めていくというようになったところであります。

 今後は、漁協の放流事業を強化しながら、地元の両町及び関係者がアユ等の水産資源を活用した六次産業化を進めるため、加工品の開発あるいは観光誘客など、具体的な地域の活性化策を議論していく予定であります。

 これらの活性化の実現には、一つ大きな問題がありまして、アユの中間育成施設あるいはアユのふ化施設の整備とセットで用水の確保が必要になっておりますけれども、なかなかボーリングをやっておりますけれども、うまい水脈に当たらないといったような課題も一方であります。

これをどうしていくかというふうなこともあります。

 いずれにいたしましても、県といたしましては、最上小国川の治水対策と内水面漁業振興は流域活性化の両輪であるというような視点を基本としながら、産地協議会に対して、当面、農林水産部としてはしっかり必要な助言をしてまいりたいと、このように考えております。

◆草島進一委員

 ありがとうございました。

 まさかこれ、振興策ってダムとバーターじゃないですよね。それだけお伺いします。

若松正俊農林水産部長

 今申し上げましたけれども、治水対策と内水面漁業の振興、これは両立を図っていくというふうなことであります。バーターというふうなことには当たらないというふうに考えております。

◆草島進一委員

 私は、この小国川の漁業振興、これはまずはダムをつくらないということだと思います。

幾ら放流などに力を入れても、ダムで川を破壊したらアユ漁は成立しません。今の本当においしい、全国から釣り人が訪れる、そういう小国川漁協の姿は維持できないと思います。

ダムで川を破壊したらアユ漁は成立しない。

それは私が思うところであります。この件についてはまた議論したいと思いますが、農林水産部長、ありがとうございました。



2013年6月議会予算特別委員会02(エネルギーパス政策と再生可能エネルギー戦略)


◆草島進一委員

 ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回、このテーマが軸となり、いろいろ展開をしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 省エネ・再エネによる産業振興・地域活性化について、これは環境エネルギー部長にお伺いしたいと思います。

 現在のエネルギーの事情や私たちの置かれている周辺事情を考えますと、今後、世界的にピークオイル要因などによる原油価格の高騰、また、国内では電力価格、特に深夜電力の値上がりが予測されております。

さらに、きょう委員の御指摘もありましたとおり、二〇五〇年までに半減するといった急激な人口減少による地域経済の衰退が懸念されております。

 この間、私は、人口減少を先取りして取り組んでいるドイツ北部などで、地域を豊かにするために再生可能エネルギーや省エネでエネルギー自立地域というものを地域活性の姿として取り組む自治体について、ドイツ在住の研究者や関係者らと情報交換してまいりました。

 エネルギー自立地域というのは、地域住民や自治体が主体となり、省エネや再エネの普及を徹底し、これまで化石燃料の購入などで地域の外部に流出していったお金を地域の中に循環させ雇用や経済を育む、今、ドイツや北欧で始まり、ヨーロッパ全体に広がる国民運動であります。

 エネルギー自立地域を目指す地域での取り組みとしてまず重要視されているのが、新築住宅、中古住宅の断熱性能をアップする省エネでありました。省エネ改修を行い家の性能を上げれば、その分、海外から購入する石油でのお金の流出を抑え、リフォームする地域の工務店の仕事をふやし、さらに年間光熱費を下げ、結果暮らしが豊かになる。

我が県でもリフォーム補助金制度は地域経済に好影響を与えていると思いますが、ドイツでは、二〇五〇年までに住宅でエネルギー消費量を五〇%削減するなど、徹底的な取り組みがなされております。ドイツの住宅と日本の新築における省エネ性能を比べますと、二倍から三倍の差があり、この差は年々広がっているということです。

 省エネを促進する仕組みとして、ドイツに始まり現在EU全土で採用されているのが、国際規格ISO13790で規定されたエネルギーパスという家の燃費の表示です。これにより燃費の見える化が行われ、客観的な指標をもって無暖房ハウス、エネルギープラスハウスなどが定義されて、消費者は車の燃費と同じように高性能の家を選ぶことができます。

 県のエネルギー戦略上でも、こうしたエコハウスについては、今、総合支庁単位でモデルづくりが進められて、県内でも取り組む工務店もふえているとうかがっていますが、現在、客観的なこうした燃費性能の物差しがないために、正当な性能評価ができていない現状です。施主側も、イニシャルコストとともに実際の燃費性能を把握したいという声も多く聞きます。

 今、このエネルギーパスという燃費性能については、日本国内でも協会が立ち上がり、普及が始まっております。東京都や長野県などでは、省エネ政策の一環としてこうした評価ツールの講習会を行い普及させ、新築の建物を建てる前に、こうしたツールを使っての省エネルギー性能の検討の義務化というものを条例化しております。

 県の省エネ政策をより充実させる一歩として、この家の燃費の制度の導入の検討を提案をいたしますが、いかがでしょうか。

 あわせてもっと聞いていきますが、また、再生可能エネルギーについては、経済産業省の五月十七日発表によりますと、固定買取価格制度が施行された平成二十四年七月から平成二十五年二月までに導入された再生可能エネルギーの発電設備の容量というのは、百三十五・二万キロワットとのことです。県内でもかなり普及しているのではないかというふうに思います。

 再生可能エネルギーは、農業革命、化石燃料による産業革命、ITによる情報通信革命に続く第四の革命という、二十一世紀の産業革命としても捉えられ、大規模集中型から小規模分散型で地域や市民が主体になれる経済や社会の変革であるとも捉えられております。

 私は、前述のエネルギー自立地域や小規模分散型の再生可能エネルギーの特性を生かして、地域がオーナーシップを持ち、地域が意思決定をし、地域が便益を共有する、このコミュニティーパワーとしての再生可能エネルギー普及こそ、地域から流出していくお金を地域に循環させ、地域を福しく豊かにする仕組みであると考えます。

 前回の質問でも、地域自然エネルギー基本条例を制定した滋賀県湖南市を御紹介いたしました。今、この湖南市というところでは、市民の出資でコナン市民共同発電所というものを設置し、太陽光発電で生み出された電気を売電して、得られた利益を出資者に地域商品券で還元するといった取り組みが行われています。

 この三月には、山形県内でも、再生エネルギーの普及に取り組む民間やNPOなどの有志によるシンポジウムで、やまがた地域エネルギー宣言というのが行われました。この内容はといいますと、再生可能な山形の資源を使い、原発にも石油にも頼らない安全な日本を山形からつくる。二番目に、山形の再生可能エネルギーは、山形の企業・組織・個人が主体となって、地域の持続可能な社会的・経済的発展につながるように活用する。三番目に、特に山形の自然資源を生かしてきた農林漁業者とともに再生可能エネルギーの活用に取り組んでいくというものであります。

 こうした、地域、住民が主体となって普及させるコミュニティーパワーや、エネルギー自立地域に向けた事業化モデルづくりこそこれからのモデルではないか、県としても積極的にかかわり、そうしたモデルを応援してはどうかと考えます。

 本県では、エネルギー戦略策定後、この一年間、どのような取り組みを行ってこられたのか、また、省エネルギー対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進による地域を福しくする方策について、私からの今の提案に対する見解も含め、環境エネルギー部長にお伺いします。

森谷俊雄環境エネルギー部長

 再エネ元年の取り組みと、省エネ・再エネによる産業振興・地域の活性化についてのお尋ねでございます。

 エネルギー戦略の策定を受けまして、初年度になります昨年度、平成二十四年度を再エネ元年と位置づけまして、大規模事業の県内展開の促進では、県企業局によるメガソーラー事業の実施など、県が直接事業者となって先導的役割を果たしていく取り組み、これを進めますとともに、県内経済への波及という視点を重視した公募方式による公用地の提供、さらには新たな資金メニューの創設などによる支援、そういったことで県内事業者の取り組みを積極的に支援してまいりました。

また、地域分散型の導入の促進という面におきましても、家庭や事業所はもちろん、先駆的な取り組みとして公共施設への積極的な再エネなどの設備導入の促進、そしてエリア供給システムのための検討、こういったことに取り組んでまいりました。

 こうした取り組みの中で、住宅の省エネルギー化の推進でございますけれども、現在、関係部局との連携のもとで、住宅の新築やリフォーム時の省エネルギー化、そして無料省エネ診断の受診・活用の促進、省エネ住宅の普及啓発や相談対応など、積極的に取り組んでいるところです。

委員のお話にもございましたけれども、各総合支庁におきましては、再生可能エネルギーの設備を備えた省エネ住宅の普及拡大に向けまして、地元の建築・設備業者等との意見交換、そして省エネ施工技術の向上を図るための講習会の開催支援などに取り組んでいるところでございます。

 委員からお尋ねのありましたエネルギーパスでございますけれども、平成十五年に、EU加盟国において、エネルギー消費量の抑制を目的として義務づけされたものであり、住宅の電気、ガス、灯油などで使用される年間エネルギー量が床面積一平米当たり何キロワットアワーというような形で明示されると、いわば家の燃費を確認することができるものというふうに承知してございます。

 我が国のエネルギー消費量の三割以上が住宅・建築物の部門で占められているというふうにも言われております。経済産業省、国土交通省、そして環境省等において、我が国でも、この住宅・建築物について、消費者がわかりやすい省エネ性能の評価・表示のあり方を検討していくというふうに聞いておりまして、県といたしましても、関係部局で連携しながら、先進県の事例なども含めまして研究してまいりたいというふうに考えております。

 次に、再エネ導入を産業振興に結びつけていくための取り組みということでございますけれども、住民参加による事業主体の創設や県内事業者の参画を促していくということが非常に重要になってくると思っております。特に、エリア供給の推進に向けまして、こうした視点を大事にしていきたいというふうに考えております。

 住民参加の取り組みにつきましては、先進事例の研究や勉強会、これも各総合支庁ごとに設置しております地域協議会で市町村も含めまして実施し、再エネ導入への理解促進と、みずからが参画する機運醸成といったことに取り組んでおります。

 また、関係部署や事業者が連携いたしまして、木質バイオマスや地中熱の利活用にかかわる検討を進めるなど、まずは熱資源の利用促進から着手しているところでございますけれども、電力の自由化などの動きも見据えながら、将来的には、熱はもちろん、電力の供給も担うような地域エネルギー事業の創出を検討する中で、具体的な仕組みづくりを検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 今後、エネルギー戦略の推進に当たりましては、省エネルギーの推進、そして再生可能エネルギーの導入促進、こういった両面から産業振興、地域活性化につながるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

◆草島進一委員

 ありがとうございました。エネルギーパスについては、ぜひ検討を進めていただきたいというふうに思います。

 あと、先日、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんを鶴岡にお招きして、いろいろお話をしていただきました。行政の役割、これは民間が仕事をするための開かれた土壌をつくることだ。ルール、仕組み、住民がしっかりと話し合って物事を決めていく、公平で開かれた土俵をつくることだと伝えてくれました。

また、国の政策というのは供給側の目線だった。これはやはり下流側の社会の、使う側からの目線で自治体の政策を組み立てていくことなんじゃないかというふうにありました。

 もう一つお伝えしたいのが、そのエネルギーの熱の利用こそ未開の地だと。そこにこそ地域で生み出せる一番有効な資源、今、バイオマスのことをおっしゃったと思います、そこはまさにそこの部分だと思いますし、省エネというのは、実はエネルギー政策的にもまだまだ未開の地で、できることなんだということなので、それはぜひ受けとめていただきたいというふうに思います。

 このエネルギー戦略の策定の際に、県内のさまざまな有識者の方が集められていたわけですけれども、これはやはりいろんな意味で、地域を福しくというところには、地域政策等徐々にいろんなことが生み出されていく、そのことと一緒になって政策の中に盛り込んでいくことが必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、私は、政策策定の委員の先生方にもフィードバックしながら、改めてこの地域を福しく、これはやはり住民をもっと参加させていく、県民をもっと参加させていく中でいろんな意見を取り入れていくことが大事なんじゃないかというふうに思います。

そうしたことがこれから必要なんじゃないかと思いますけれども、そういった私の意見についてはどうお考えでしょうか、見解をお伺いします。

森谷俊雄環境エネルギー部長

 エネルギー問題につきましては、生活、産業の根幹をなすものということで、国レベルで大きな政策ベースとして議論されている、それと並行して、やはり単に供給を受ける側としてだけでなくて、どう使っていくのか、どう活用していくのかという地域の取り組みも同時並行的に必要なんだと思います。まさにそれを気づかされたのが、今回の大震災であったかなというふうに思います。

 そういった意味では、本県は、熱利用も含めたエネルギー戦略を策定し、大規模事業の展開、そして地域分散型のエネルギー、両面から取り組んでいくということにしておりますので、そういった面からしっかり取り組んでいく必要があるというふうに思っております。

 エネルギー問題については、つくる過程の問題、そして使う上での問題、非常に多岐にわたります。分野も広いです。専門的な有識者の方々のアドバイザリーボード、こういったことも活用しながら、しっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

◆草島進一委員

 ありがとうございます。  有識者のアドバイザリーボード、せっかくかかわって、今もその先生方はいろんな政策を生み出している方がたくさんいらっしゃいますので、ぜひ一緒に、私はこれからやっぱりこの地域の山形で、コミュニティーパワーでいったら、いかにこのビジネスモデルを一つでも生み出せるか、これを目標の一つに掲げていかなきゃいけない大きな課題だと思います。

一つでも山形からすぐれたビジネスモデルをつくり出す、これをぜひ戦略に盛り込んでいただいて、この再生可能エネルギー、省エネとともにいいビジネスモデルをつくっていく、それに邁進していただきたいと思います。部長、ありがとうございました。