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2013年6月議会予算特別委員会03(サクラマス、アユ振興策について)


◆草島進一委員

それでは次に、農林水産部長に漁業の振興についてお伺いします。

サクラマスの振興についてお伺いします。

平成二十八年に開催予定の第三十六回全国豊かな海づくり大会への取り組みの中で、知事は、「森は海の恋人」という言葉を使われております。

 平成四年に選ばれてから二十一年。山形県の魚であるサクラマスですが、このたび環境省第四次のレッドリスト、二〇一三年のレッドリストで準絶滅危惧三十四種の中に含まれてしまいました。

庄内では、桜が咲く時期の貴重な食文化でありますが、それが危機を迎えております。海から川のほとんど、最上流まで遡上、産卵し、約二年間、川で生活するサクラマスは、森と海とをつなぐ象徴的な魚だと思います。県魚サクラマスの再生に取り組むべきと思います。

 県は、サクラマスが減少している原因はどこにあると考えていらっしゃるのか、また、この実態を踏まえ、このサクラマスの再生・振興にどのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお伺いします。

若松正俊農林水産部長

 ただいまサクラマスの振興というふうな御質問をいただきました。サクラマスの状況も踏まえて答弁をさせていただきたいと思います。

 まず、サクラマスの漁獲量でありますけれども、これは平成六年の約三十トン、これをピークにいたしまして、それ以降減少傾向が続いております。ここ数年は十ないし十五トンの間で、決して多くない量にありますけれども、その水準で推移してきております。その内容、内訳を見ますと、沿岸と河川の漁獲量、それが大体半分というふうになっております。

 一方、放流数になりますけれども、サクラマスが県の魚に制定された平成四年以降、いろいろな形で百万尾前後の放流ということで、かなりの放流を続けてまいりました。その後、平成十六年以降になりますけれども、漁協の放流義務といいますか、増殖するというふうなかかわりもある、漁協のほうの関係が出てくるんですけれども、天然アユの遡上数が減少するというようなことがありまして遊魚料収入が漁協にとって減ってくると、こういうふうな状況になりまして、放流するのにも大変厳しい状況になったというふうなことがございまして、サクラマスの放流は、それを境にして減少しているというような経過をたどっております。

 今申し上げましたように、確かにサクラマスの漁獲量が減少して現在に至っているというふうな状況にあるわけではありますけれども、その背景というものを改めて整理してみますと、一つは、先ほど申し上げましたようにサクラマスの稚魚の放流数の減少、これが最も大きいというふうに考えられます。

二つ目といたしましては、河川等での釣りによる幼魚、小さな魚、そういったものが釣られることによって減少するというふうなことが二つ目。

あと三つ目といたしましては、堰堤等に整備しております魚道が、流れてくる土砂によってその中に入り込みまして目詰まりを起こして、十分な本来の機能を発揮できないような、そういうふうな状況もやっぱり時間とともに出てくると、こういうような要因が主なものとして考えられまして、総体的に大きな、こういったものが漁獲量の減少に結びついているというふうに考えているところであります。

 こういうふうな状況を踏まえまして、県といたしましてということになりますが、サクラマスの振興に係る今後の対策というふうなことで申し上げますと、一つは、最近の内水面水産試験場、米沢のほうにございますけれども、そこの調査研究がございます。これは平成十九年からやってきておりますけれども、その研究を御紹介申し上げますと、遊佐町に水産振興協会のふ化場があります。

それで、そこで稚魚から育てて親魚、親の魚にした。そして、それから採卵をしてそしてふ化させるというようなやり方に比べまして、これは従来型なんでございますけれども、海から河川に遡上してくる親魚から採卵をしてそして育成した稚魚、これを比較してみますと、回帰率が高いというようなことが明らかになっております。

 先ほど申し上げましたように、放流量と漁獲量には、トータルとして見ますと一定の相関が見られます。そういうふうなことを踏まえまして、平成十九年からは県内の漁協の協力を得ながら、遡上したサクラマスを親魚といたしましてそれを利用して放流稚魚の生産をやっていくと、こういうふうな取り組みを始めております。

この春の放流を見てみますと、そういうようなやり方でもってしている放流の数が、総数で約四十万尾ほど県内で放流しておりますけれども、そのうち約四万尾、一割というふうなことで、今言ったようなより回帰率の高い、中身を変えるような工夫に取り組んでいるところであります。今後さらにその割合をふやしていくということで、回帰数の増加を図っていくというのをひとつ進めてまいりたいと考えております。

 あと二つ目でございますけれども、河川内では釣り人による漁獲の影響を軽減するというようなことを目的にいたしまして、河川内における遊魚期間の短縮、幼魚が海に下ったり、あるいは遡上した親魚が産卵する期間を禁漁にするというふうな形で保護していくというような考えがそこに入ってくるわけでありますが、そういったような見直しを図ることについて、県の内水面漁業協同組合連合会のほうから要望も受けております。

これまでもいろいろな意見交換をしてきたわけでありますけれども、今後、内水面漁場管理委員会の議論を踏まえまして、県として必要な見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。

 あと、三つ目でありますけれども、種苗放流に頼るだけでなくて、河川内における自然産卵を助長させるというふうなことも極めて大切、重要であるというふうに思っております。関係機関・団体と連携しながら、引き続き魚道の設置や機能の回復、そういった生育環境の改善に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 委員からありましたけれども、平成二十八年度に全国豊かな海づくり大会が本県で開催されます。まずは資源量の増加対策というようなことで、関係機関・団体の理解と協力を得ながら、より効果的・効率的な放流等に取り組むことによりましてサクラマスの振興を図っていきたいと、このように考えております。

◆草島進一委員

 ありがとうございました。

 このサクラマスについては、先日、富山県の水産試験場を訪れました。そして、サクラマスやアユに詳しい研究者にお尋ねしましたが、富山県では、ダムで川が寸断され、対策を施そうにもなかなか手が打てない状況だと。

これはサクラマスに詳しい方から言わせると、自然産卵を維持することがサクラマスの増殖につながる、そのために遡上する親魚の確保だとかスモルトの漁獲制限を徹底するとともに、サクラマスが生息及び産卵可能な河川環境を維持し増大させることが必要だという結論を、これは、山形県も参加した日本海域サクラマス資源再生プログラムの事業でそういう結論だということであります。

要するに、これ以上ダムや河川改修による環境破壊をとめる、そういうことなんじゃないんですか。

 ダムや河川環境の悪化による影響がサクラマスを減らすことになっている、こういうふうに多くの研究者の方が考えているようですけれども、そこに対しての見解だけ、この一点だけ簡潔にお答えください。

若松正俊農林水産部長

 今、委員からダムの整備、建設、そういったものが影響しているのではないかというふうなお話でございましたけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろな統計あるいはその内水面試験場、こういったところを踏まえますと、放流量とサクラマスの漁獲量の関連、あるいは実態調査をこれまでしておりますけれども、魚道の目詰まりによって上れなくなった視点、そういったものの原因、そういったものを総合的に勘案しますと、ダムというふうな形には現在のところ結論づけるということはできませんので、よろしくお願いしたいと思います。

◆草島進一委員

 これ、新聞記事があるんですけれども、山形県内水面水産試験場資源調査部長の見解で、河川環境の悪化が第一であり、ダムなどの工作物で川が分断され、産卵場である上流まで遡上できなくなっている上に、護岸化で流れが直線化し、生息に適したふちなどが少なくなっていることが原因だというふうに見解しているので、これは県の水産試験場の方が言っているわけですから、やはりこういうことを踏まえてこれからを考えていかなきゃいけないのではないかというふうに思います。

 あわせて、小国川の漁業振興、このアユの漁業振興について、県、知事は、この漁業振興に取り組むという考えをお示しになっておられますけれども、どのような漁業振興を考えておられるのか、これ簡潔にお答えいただきたい。ぜひお願いします。

若松正俊農林水産部長

 今、最上小国川における漁業振興というふうなことで御質問ありました。

 最上小国川というのは東北有数のアユの優良漁場であります。その漁獲量は三十三トン、これは平成二十三年度でありますけれども、本県のアユの漁獲量の四五%を占めるというようなことで、まさに山形県の中心的なアユ河川ということができます。御案内のとおり、全国から多くの釣り人が訪れまして、全国大会なども開かれております。流域の活性化というような意味でも非常に大きな役割を担っているというふうに思っております。

 しかし一方で、その流域の状況を見てみますと、漁場を管理する漁協の組合員の高齢化、あるいはその数が減っている、さらに担い手が確保できない、加えて、年々釣り客の方が減ってきているというようなこともありまして、加えて根本的にその漁協の、手狭になったアユの中間育成施設、さらにはサケのふ化場、こういうようなものをどうしていくかといったような総合的な課題が、現に構造的に求められております。

したがいまして、こういったものにいかにして漁協として、最上川流域として対応していくのかと、役割と、そしてこれからの対応をどうしていくかということが求められております。

 そういうふうなことから、県のほうでは、ことしの一月からこれまで、県と流域の舟形町、最上町、あと小国川の漁協の間で意見交換というふうな形でいろいろ議論を重ねてきました。

そして、アユなどの水産資源を活用した地域振興策につきまして検討を進めていこうというふうなことで合意形成が図られたところであります。その上で、できるだけ早く、今申し上げたような団体と、あと農協とか商工団体、そういったものも加えまして、産地協議会を地域主体で立ち上げて議論を進めていくというようになったところであります。

 今後は、漁協の放流事業を強化しながら、地元の両町及び関係者がアユ等の水産資源を活用した六次産業化を進めるため、加工品の開発あるいは観光誘客など、具体的な地域の活性化策を議論していく予定であります。

 これらの活性化の実現には、一つ大きな問題がありまして、アユの中間育成施設あるいはアユのふ化施設の整備とセットで用水の確保が必要になっておりますけれども、なかなかボーリングをやっておりますけれども、うまい水脈に当たらないといったような課題も一方であります。

これをどうしていくかというふうなこともあります。

 いずれにいたしましても、県といたしましては、最上小国川の治水対策と内水面漁業振興は流域活性化の両輪であるというような視点を基本としながら、産地協議会に対して、当面、農林水産部としてはしっかり必要な助言をしてまいりたいと、このように考えております。

◆草島進一委員

 ありがとうございました。

 まさかこれ、振興策ってダムとバーターじゃないですよね。それだけお伺いします。

若松正俊農林水産部長

 今申し上げましたけれども、治水対策と内水面漁業の振興、これは両立を図っていくというふうなことであります。バーターというふうなことには当たらないというふうに考えております。

◆草島進一委員

 私は、この小国川の漁業振興、これはまずはダムをつくらないということだと思います。

幾ら放流などに力を入れても、ダムで川を破壊したらアユ漁は成立しません。今の本当においしい、全国から釣り人が訪れる、そういう小国川漁協の姿は維持できないと思います。

ダムで川を破壊したらアユ漁は成立しない。

それは私が思うところであります。この件についてはまた議論したいと思いますが、農林水産部長、ありがとうございました。