R7 6月議会総括 1)キッズドームソライ 2)給食と農政の市長の決意を
草島進一
市民の声・鶴岡を代表し、 質問いたします。 初めに、こどもの遊び場利用料軽減実証事業 についてであります。 3月議会において、私たち市民の声・鶴岡は、 子育て支援施設、キッズドームソライの無料化 及び低廉化について、市の福祉サービスの一環 としての官民共創事業と捉え、賛同をいたしま した。この案件は、「市内に大型の屋内遊戯施 設が欲しい」「ソライがあるが、1回1,500円 と有料であるため、天童市・山形市・寒河江市 まで行くしかない。何とか無料化できないか」 という市民の皆様の声に応える形で提案された ものです。1年間の実証実験を経て、施設と協 定を結んだ上での提案に対し、私たちは県内各 地の施設実態を踏まえ、官民共創は当然の選択 であると判断をいたしました。
また、民設民営の施設についても群馬県太田 市が民設民営の屋内型遊戯施設、こども広場B のくにに対し、自治体の児童館の補完施設とし て10年前から料金低廉化の補助を拠出している 事例からも、その提案は妥当であると賛同した 次第です。
先日、私は東京銀座にあるふるさと回帰支援 センターを訪れました。全国の移住・定住促進 策を展開する同センターにおいて、子育て環境 は移住・定住政策の最重要課題の一つとして認 識されており、鶴岡市のソライの無料化の行方 は注目の問題として、スタッフの話題になって おりました。
今般の再提案は、このソライと、こがたランドやスパールを含む3施設での実証実験を実施 するものであります。私もこがたランドの現場 を視察しましたが、この施設は旧小堅小学校を 地域の方々が手作りでイノベーションをし、地 域の有志が運営する人気の施設であり、スパー ルも水遊びを中心に親子連れでにぎわう人気の 施設です。これらの3施設での実証実験は実に 妥当な提案であると考えます。
現在開催されているこどもの遊び場に関する 協議会では、子供を真ん中にという視点から、 市内全域を視野に入れ、今後のプレーパークの 議論まで大変有意義な協議が行われていると感 じております。今般の提案について、また今後 の遊び場整備に関する市長の思いをお伺いしま す。
次に、給食と農業政策についてであります。
この5月27日に、前回議会で話題となりまし た武蔵野市が出資する一般財団法人武蔵野市給 食・食育振興財団が運営している新しい給食セ ンターの視察を遠藤初子議員と共に行ってまい りました。武蔵野市職員・財団職員・栄養士・ 調理師の皆様から説明をお伺いし、試食をさせ ていただきながら、幾つかの驚きがありました。
まず、食材については、牛乳は低温殺菌、米 は有機または無農薬を優先、野菜・果物は市内 産で優先し、顔が見える安全・安心な農家から 仕入れ、パンは国産小麦、国産バターを使用、 麺は国産小麦粉から作られたものを使用、肉・ 魚は毎月開催される食品選定委員会で生産地や 加工地の履歴を確認し決定、卵は非遺伝子組換 え飼料、抗生物質不投与で育てられた国産鶏の 卵を使用、乾物・調味料類は保存料・着色料な どの食品添加物が無添加で原材料が確認できる ものを選定。
調理については、うまみ調味料や添加物を一 切使用せず、カレールーやホワイトルーを手作 り、ハンバーグなどの加工品も極力使わず、手 作りに徹していました。塩は、伊豆大島の天然 塩、海の精、しょうゆは丸大豆しょうゆ、みそ も無添加・天然醸造のものを使用されていまし た。こうした食材・調理については、平成22年 に中学校給食の全校実施に合わせて、財団が設 立された際に策定された献立作成・食材選定・ 調理指針から成る学校給食の献立作成及び給食調理の指針に明記され、栄養士や調理師の明確 な指針となっていました。
食器は強化された陶器製で、箸も木製のしっ かりしたものでした。食器洗い機もそれに対応 するものでした。また、その新センターは有事 を想定し、プロパンガスを使用し、自家発電装 置があり、有事の際は3日以内に炊き出し可能 な施設になっていました。
視察した財団運営のセンターも、また市内の 自校式も、親子方式の給食も同じ指針の下で財 団職員と市の担当職員がタッグを組んで、安 全・安心でおいしい、誇りある給食を一生懸命 に提供されているなと感じました。
今回の視察を通じて、私たちは今給食の質に 求められているトレンドと高いレベルを感じま した。武蔵野市では、「中学校給食の開始や給 食センターの改築に際し、調理が民間では伝統 的なこだわりの給食が守れない。周辺自治体で 民間事業者の撤退によって給食が停止した事例 などを踏まえ、現在の財団方式での運営を開始 した」とのことでした。日本一の給食を目指す 鶴岡市として、ぜひ職員や食農教育推進本部の 委員による武蔵野市への現場視察や交流を通じ て、積極に学びを深めていただきたいと思いま した。
現在、米の価格問題の報道が続いていますが、 自治体の取組として、大阪府泉大津市が給食の 米として生産者と直接連携し、金芽米という独 自流通を確保して提供していることが報道され ていました。この夏には、その給食用の米を基 盤に市民向けに5キロ3,500円で提供を開始す るとのことです。これは給食の公共調達という 仕組みを活用して、安全・安心な有機米や特別 栽培などの生産者とネットワークを組み、独自 の流通で入手する先進的な取組であり、鶴岡市 でもこうした視野を持つべきではないかとも考 えます。
現在、鶴岡市学校給食・食農教育推進本部の協議が進められており、第1回、第2回ともに 大変有意義な議論が行われていると感じており ます。ぜひこうした他自治体の先進的な取組を 視野に入れ、以前から市長も明言している日本 一の給食を実現するための協議を進めていって いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 お伺いします。
次に、農業については、今備蓄米2,000円の 小泉劇場のようになっていますが、備蓄米の放 出は半年以上前から野党が求めてきたものを選 挙直前になって出してきた感がありますし、輸 入米を活用などという言説にはポストハーベス ト農薬の問題もあり、絶対に容認できません。 私は、米騒動の根本の原因は、これまで農家に 減反政策をし、市場任せにしてきた自民党政府 の農業政策だと考えます。
この3月30日には、私も参加しましたが、欧 米並みの所得補償を求めて、東京渋谷・原宿で 30台のトラクターと4,500人による令和の百姓 一揆というデモが行われました。そして、その 実行委員会などが協賛し、この6月5日に緊急 院内集会が開かれたのですが、その実行委員長、 山形県長井市の菅野芳秀さんは、その会の結び に、米農家の平均年齢70歳、時給10円、この5 年で消滅するかもしれない米農家の危機を改め て訴えられました。
そして、山田正彦元農林水産大臣は、民主党 政権の大臣の時代に、年間4,000億円で戸別所 得補償制度が実現したことに触れ、「5,000億 円の政府拠出による戸別所得補償制度を行うし か道はない」と発言されました。
2018年に戸別所得補償制度を廃止して、減反 政策をずっと続け、農業予算を2兆円台までに 減らし続けてきた。そして、食料安全保障より も武器の安全保障に43兆円のような、これまで の自民党政府の農業政策のままでは本当に農家 は消滅してしまいます。私は、農業予算は5兆 円まで倍増させ、減反政策を転換し、戸別所得補償を実現するなど、根本からの政策の転換が 必要と考えるものです。国の政策を促すことと 並行して、米どころ鶴岡の自治体として、小規 模の農家であっても安心して、所得も安定させ て、未来の何世代にもわたって米作りができる ような農政を確立することが重要であります。
市長は、戸別所得補償制度が行われた民主党 政権時の副大臣秘書でもあり、今オーガニック 給食を推進している農水省幹部も元同僚とのこ とです。最近も、市長は山田正彦元大臣や東大 の鈴木宣弘先生とも意見を交わしておられます。 こうした人脈や市内農業者の現場の声、市民の 声を最大限に生かし、給食発祥の地であり、ユ ネスコ食文化創造都市である鶴岡から、未来に 希望が持てる持続可能な農業と日本一の給食の モデルを今後、来期以降も長期的な視野に立っ て、対話のリーダーシップを取ってぜひともつ くり上げていただきたいと思いますが、市長の 決意をお伺いします。
○市長
草島進一議員さんからの総括 質問に対しましてお答えをさせていただきます。
まず、子供の遊び場に係る実証事業について 考え方をお答えをいたします。
子供の遊び場の利用料軽減につきましては、 3月定例会での議論を踏まえて、4月16日に第 4回鶴岡市こどもの遊び場に関する協議会を開 催し、今後の取組について御意見を伺いました。 協議会での議論も踏まえ、遊び場の利用料軽減 に向けては対象となる施設を公募、選定する仕 組みづくりが必要と考えているところでございます。
一方で、子供はどんどん成長してまいります ので、事業の実施が遅れることで取り残される ことのないよう、早期に対応する必要がござい ます。
このことから、今年度は来年度以降の公募の 仕組みづくりに向けた実証事業として、タイプ の異なる3つの施設の利用料を軽減するとともに、遊び場について利用者へのアンケートや運 営者へのヒアリングなどの調査を行い、今後の 検討の基礎資料とするものでございます。
次に、今後の遊び場整備の考え方についてお 答えをいたします。
昨年度、市全体で子供の成長に必要な遊び場 の整備を進めるため、遊び場の整備方針である 遊びに本気宣言!を策定いたしました。方針で は、こどもの創造性や主体性を向上させる遊び の環境の整備、こどもにとっても大人にとって も魅力的で多様な遊び場の整備、鶴岡の地域資 源を活かした遊び場の整備の3つの基本的な考 え方を示し、屋内・屋外の遊び場整備を進める こととしております。
遊び場整備を進めるに当たっては、鶴岡市こどもの遊び場に関する協議会での議論を踏まえ るとともに、引き続き子供や子育て世代、地域 の皆様の御意見を伺いながら取り組んでまいり ます。
続きまして、新学校給食センター整備、また 農業政策について、これにつきましては関連し ている点がございますので、一括してお答えを させていただきます。
本市の学校給食を食材、また食育の観点から も支え、ユネスコ食文化創造都市の基盤でもあ る農業・農村については、現在米価が高騰する 中で、農業経営の在り方、特に水田政策の動向 に大きな注目が集まっております。国において は、令和9年度に水田政策の抜本的な見直しを 行うとしており、その動向を注視しながら、こ の庄内平野の農業・農村を将来にわたって持続 可能なものにしていく必要があります。その際、 中山間地域の小規模な経営を含む多様な営農実 態を十分踏まえつつ、農業の生産基盤の整備や スマート農業の導入、カントリーエレベーター の再編整備、担い手の育成といった各種施策に 取り組むとともに、新学校給食センターの整備 に合わせた有機農産物を含むさらなる地産地消 の推進が必要であると考えております。 現在、学校教育・食農教育推進本部会議での 議論においても生産者と給食センターをつなぐ コーディネーターの設置の必要性といった御意 見も出されております。こうした御意見や、た だいま草島議員さんから御紹介のありました武 蔵野市の取組など、他団体の先進事例も参考に しながら、新学校給食センター整備の議論を進めてまいります。 今、農政が大変注目されております。転換期にある国の農業政策と現場の動向を注視しつつ、 新しい学校給食センターの整備は学校給食発祥 の地である本市の農業生産現場と学校給食との 結びつきを強化するチャンスだと捉え、日本一 の学校給食を目指し、積極的に取り組んでまい ります。
最後に、10月の任期満了を迎えます中で、今 後の施政方針に関してのお尋ねがございました。 私は、父母が米やだだちゃ豆を生産するのを手伝いながら、このまちで成長させていただき ました。農業・農村のために働きたいという思 いから、農林水産省でも17年間働かせていただ きました。農業・農村に育ててもらった者とし て、1次産業と食こそが地方創生の本丸である と考え、市政運営に当たってまいりました。そ の思いはいささかも揺らいでおらず、米政策や 学校給食と食農教育が焦点となる中、国と地方 の両方の農政を理解した自分こそが市政を担う べきと改めて決意したところであります。先ほ ど3番田中 宏議員の際にも申し上げたところ でありますが、本日、次期鶴岡市長選挙に出馬 することを表明させていただきます。